高齢者をターゲットとして行われるオーナー商法は、被害額が大きくなりやすい手法であることで知られています。

商品や権利を購入したけれど商品自体は届かず、保証券のみが渡されるというケースのほとんどはオーナー商法です。

では、オーナー商法とはそもそもどのような手口で行われているのでしょうか?

今回は、オーナー商法の手口や見分け方、騙された時の適切な対処法を解説します。

オーナー商法とは?

オーナー商法は、ターゲットに商品や権利を購入させると同時に「運用して利益をつくる」として購入した商品を事業者が預かり、得た利益から配当や利子を支払うと言って資金を集める商法のことを言います。

オーナー商法は「現金まがい商法」「ペーパー商法」「販売預託商法」とも呼ばれています。

オーナー商法を行っている事業所にはきちんと商品が存在し、運用されているところもありますが、商品や権利の実態がない「ポンジスキーム」という詐欺であることが少なくありません。

オーナー商法の手口

「商品を運用する」と言って出資者からお金を集めるものの、最終的には配当の支払いが滞り、経営破綻するケースが多くあります。

被害者から見れば立派な詐欺ですが、事業所は「震災の影響で経営破綻した」などと説明し、詐欺であることを否定します。

さらに経営破綻した時点でお金はほとんど残っていないため、返金されません。

上記の一連の流れがオーナー商法の手口です。

オーナー商法は被害額が大きくなりやすい

オーナー商法は被害額が1人当たり数百万円から数千万円と多いのが特徴です。

被害額が大きくなりやすい理由は、はじめのうちはきちんと配当が支払われ、安心した出資者はさらに商品を購入しようと出資してしまうからです。

いい話だからと友達や知人を勧誘するケースも多く見られ、ねずみ講のように被害が広がっていくのです。

実際にあったオーナー商法の3つの事例

日本では実際にオーナー商法を利用した巨額詐欺事件が発生しています。

今回はその中でも、被害額の大きさから特に注目されている3つの事件の手口や特徴を見ていきましょう。

安愚楽牧場事件

安愚楽(あぐら)牧場事件とは、和牛を商品としたオーナー商法を行い、7万3000人から約4200億円の資金を集めて経営破綻した事件です。

出資者がメスの繁殖牛を購入し、子牛を産めば売却代金によって高いリターンが得られるという触れ込みだったことがわかっています。

安愚楽牧場の元社長は「私たちは口蹄疫で指摘を受けているが、国も応援してくれている」などと嘘をつき、出資者たちを信じ込ませていました。

口蹄疫については実際に安愚楽牧場の複数の農場で発生し、1万千頭の牛が殺処分されています。

表向きは口蹄疫や東日本大震災による福島原発被害の影響で経営破綻したと説明されましたが、蓋を開けてみると、契約個数に対し、実際に農場にいた牛は3万頭以上少なく、独自の耳番号を表示して実在しない繁殖牛を販売していたことがわかっています。

ケフィア事業振興会事件

ケフィア事業振興会事件は加工食品のオーナー権を1口数万円で購入すれば、半年後にケフィア事業振興会が元本に約10%の利息を上乗せして買取るという触れ込みで出資金を集めていました。

2018年までに集めた出資金は約2200億円にも上るとされています。

しかし、2017年11月から配当が停止し、2018年9月には破産手続きが開始されました。

警察が捜査したところ、加工食品を仕入れていた実態はなく、集めた資金を別の出資者の配当に回す「ポンジスキーム」という投資詐欺を行っていたことがわかっています。

ジャパンライフ事件

「この磁気ベルトを購入してレンタルすれば年は6%の利益が手に入る」と磁気治療器のオーナーに勧誘し、商品を購入させると同時にジャパンライフが預かります。

しかし、実際には契約者が預けた商品の9割はレンタルされておらず、実際の商品もほとんど在庫がなかったことがわかりました。

ジャパンライフ事件は高齢者をターゲットにして行われたもので、被害額は総額2100億円、1人あたりの平均金額は約2857万円に上っています。

オーナー商法の見分け方

オーナー商法には以下のような誘い文句がよく使われます。

  • 「元本保証です」
  • 「年間利回り20%です」
  • 「こちらで預かって運用します」

上記のような言葉が出たら、まずは「何か裏があるはず」と疑うことが大切です。

それぞれ詳しく解説していきます。

「元本保証」を謳っている

オーナー商法の勧誘で頻繁に用いられる言葉の1つに「元本保証」があります。

元本保証とは、元手を保証するというものなので、安心してお金を出してしまう方も見られます。

しかし、そもそも元本保証ができるのは一部の銀行や金融機関が運用している定期預金や国債、政府保証債などの金融商品。のみです。

一般企業が勧誘する投資商品で元本保証と謳っている場合は出資者を騙そうとしているケースがほとんどなので注意しましょう。

異常なほどの高配当・高金利を提示している

オーナー商法を行っている事業所は「配当利回り20%」「月々3%を配当金としてお渡しします」など、異常なほど高配当・高金利の勧誘をしていることが多くあります。

オーナー商法で勧誘されて出資を行うのは投資になりますが、そもそも日本の投資の世界の配当利回りは、高くても9%前後が相場です。

さらに元本保証されている金融商品となると年間利回りはかなり低く、0.05%〜3%が相場となっています。

相場よりも異常に高い配当が得られるという勧誘には注意しましょう。

商品が手元に届かない

商品を購入したのに「こちらで預かって運用する」などと言われ、手元に届かないのはオーナー商法です。

中には、安愚楽牧場事件の商品となった和牛のように、預けることが前提の商品を利用するものや、「レンタルして運用する」と言って事業所が預かる「レンタルオーナー商法」というものが存在します。

手口は様々ですが、共通しているのは商品が手元に届かず、事業所が買い取ったりレンタルしたりして運用する点です。

「購入すればこちらで運用して配当を配る」「オーナーになれば高い配当が得られる」などと言った勧誘には注意しましょう。

オーナー商法の被害に遭った時の対処法

オーナー商法の被害に遭ってしまったら警察に相談するのが一番ですが、現時点ではオーナー商法を証明することができても捜査対象になりません。

捜査を依頼するためには、詐欺行為があったことを証明する必要があります。

詐欺行為があったことを証明する時に役立つのは弁護士や探偵などの専門機関です。

また、「とりあえず相談したい」「お金をかけずに解決したい」という場合はNPO団体や国民生活センターに依頼するという手段もあります。

それぞれの対処法について詳しくみていきましょう。

警察に相談する

2021年の6月16日、販売預託商法(オーナー商法)を原則禁止とする改正預託法が公布されました。

改正預託法が施行されれば、商品がきちんと運用されている場合でも「オーナーになれば配当が得られる」として出資金を集めること自体が違法になります。

しかし、現時点では効力を持たないため、すぐに捜査をしてもらうことができない可能性があります。

また、詐欺を働くための手法としてオーナー商法が用いられているケースでは、警察に捜査してもらうためには、詐欺の事実があったことを証明することが重要です。

事実確認ができない場合や証拠がない場合、警察はすぐに対応することができません。

事実関係の調査や証拠集めを行う際は弁護士や探偵などの専門機関に相談しましょう。

弁護士・探偵に相談する

証拠を集めてから警察に相談し、確実に詐欺の事実があったことを証明したい場合は弁護士や探偵に相談しましょう。

まずは探偵に証拠集めを依頼し、弁護士に詐欺罪の構成要件に当てはまることを立証してもらうことでスムーズに警察に捜査を依頼することができます。

探偵というと、人探しや浮気調査のイメージがありますが、詐欺行為の証拠集めや犯人の割り出しなどについても得意としています。

一方で弁護士は法律の専門家として被害の立証や事業所側との交渉を行うことができる法律行為の専門家です。

オーナー商法の改正預託法が施行されれば、詐欺を働いていなくても違法になるため、弁護士や探偵に依頼し、オーナー商法を行っているという証明ができた時点で警察に相談するのがよいでしょう。

NPO団体や国民生活センターに相談する

詐欺を専門としているNPO団体や、事業所と消費者間のトラブルの相談窓口である国民生活センターは、被害の相談や、解決への手助けを求めることができます。

特に、国民生活センターでは、裁判を用いずにトラブルの仲介や仲裁を行うADR(裁判外紛争解決手続)を実施しています。

ADR(裁判外紛争解決手続)を依頼できるのは「重要消費者紛争(消費者と事業者との間で起こる紛争のうち、その解決が全国的に重要であるもの)」と定められていますが、申請自体は誰でも行うことが可能です。

「お金をかけずに解決したい」という方が頼りやすい対処法です。

オーナー商法の立証には事実関係の調査や証拠集めが重要!

なぜオーナー商法には事実関係の調査や証拠集めが重要になるかというと、オーナー商法を詐欺の手法として利用していることがあるからです。

現時点ではオーナー商法自体に違法性はないため、事業所が詐欺を働いて経営破綻しても「詐欺をするつもりはなかった」と言い逃れができてしまいます。

事実関係を調査し、証拠集めをきちんと行えば、事業所は言い逃れをすることはできません。

警察に届け出る場合は、被害の証拠をきちんと提出すればスムーズに捜査に乗り出すはずです。

オーナー商法の被害に遭わないための予防法

オーナー商法の被害に遭わないために大切なのは、商品の実態を確認できない投資話を契約しないことです。

オーナー商法には、今回事例として紹介した安愚楽牧場事件の和牛やジャパンライフ事件の磁気治療機器の他にも、「太陽光発電パネル」「エビ養殖」などの商品や権利を利用して行われています。

また、被害に遭ったあとに弁護士から「お金を取り戻しましょう」と連絡が入ったので信用して費用を支払うと連絡が取れなくなり、二次被害に遭ってしまうケースもあります。

「元本保証」「高配当高利回り」などといった魅力的な話には必ず裏があると心に留め、きっぱりと断りましょう。

ローリスクハイリターンのもうけ話のほとんどは裏がある!

オーナー商法は高配当・高利回りなのに元本保証という「ローリスクハイリターン」を売りにしているという特徴があります。

しかし、リスクとリターンは比例するのが原則です。

ローリスクハイリターンのうまい話には必ず裏があることを知っておくことはオーナー商法の被害を最小限に抑えることに繋がります。

すでに被害に遭ってしまった場合は、事実関係の調査や証拠集めて詐欺行為があったことを証明することが解約や返金への一番の近道です。

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