【投稿日】 2021年9月17日 【最終更新日】 2022年10月27日

寸借詐欺とは、「財布を落とした」「お金を盗まれた」などと言ってお金をだまし取る詐欺のことです。今回は、寸借詐欺とは何か、その手口と特徴、対処法、予防法などをご紹介していきます。

公共交通機関やお店など、どこにでも発生する寸借詐欺は誰でもあう可能性のある詐欺です。皆さんが寸借詐欺に合わないためにも、寸借詐欺について良く知り、その対処法や予防法を知っておきましょう。

寸借詐欺とは?

寸借詐欺とは、人の善意に付け込んでお金をだまし取り、そのお金を返さないという1種の詐欺行為になります。

「交通費を貸してほしい」というような内容で公共の場所で声をかけてくる典型的なパターンが多いです。「財布を落とした・盗まれた」「ATMが使えない」「早くいかないと困る用事がある」など非常に困った様子でお金を貸すように言ってきます。

寸借詐欺の被害者は少数のお金だと言う事もあり被害届を出さないため、犯人が捕まりにくいという特徴もあります。大規模に行った人以外は逮捕に至っていません。

また、「返すつもりだった」という言い訳も通用してしまうのがこの詐欺の卑怯なところです。返すつもりがなかった、という事を立証するのは難しく、逃げられてしまう事の方が多いです。

同情を誘うような言動をして被害者の善意に付け込み、「お金を貸しましょうか」と誘導するような手口も使います。もし自分が逮捕された時に、「貸してあげるといわれた」と主張し、詐欺として立証しにくくするためです。

その額が少額なことから、被害者は「このくらいならいいか」となってしまい、被害届が出されないことも問題の一つになっています。もし被害にあったら、被害届を出すことで同様の被害が集まり、警察が捜査を行ってくれる可能性もあります。

「駅で困っている人にお金を貸して、後日返すといわれたが一向に返されない」なんてケースが多いです。

このように、少額のお金を借りて返さない、寸借詐欺は意外と身近な所に潜んでいます。

少しでもおかしかったら疑え!寸借詐欺の手口とその特徴

寸借詐欺には、いくつかのパターンがあります。その手口と特徴をまとめたので見ていきましょう。実際当事者になったとき、すぐ詐欺だと気付けるように覚えておくと良いでしょう。

寸借詐欺の手口

「手持ちのお金が無くて困っている」「財布を盗まれてしまった」というような理由で交通費レベルの少額のお金を貸して欲しいという言い方をしてきます。詐欺師の困った様子に同情した被害者が「貸しましょうか?」と声をかけてしまい、そのまま返されないというケースもあります。寸借詐欺は人の善意を巧みに利用した詐欺です。困っている人を装って金品を要求してきます。

時には、外国人観光客などを装っている場合もあり、困っている様子にお金を貸してしまう人も多いようです。

寸借詐欺の特徴

寸借詐欺の細かい特徴についてご紹介していきます。もしかしたらこれから被害者になってしまうかも知れないのでこの特徴をよく覚えておきましょう。過去に経験のある人は自分に当てはめてみてください。

少しのお金を要求してくる

高額のお金ではなく、少額であることがポイントです。主に交通費や電話代など、数百円から数千円ほどの金額を提示してきます。

「少額だし、貸してあげてもいいか」という心理を利用して貸してもらいやすくするために安い金額を提示してきます。お金を貸すことのハードルを下げていく、という詐欺師の作戦です。金額が少額なため、断ったときの罪悪感を考えて貸してしまう人が多くなっています。

急かしてきて考える時間を与えない

「もう電車が来てしまう」「早くしないといけない」などといって急かしてきます。今すぐお金がないと困るという事をアピールすることで被害者がよく考えたり、誰かに相談したりするのを防ぐためです。焦らされると判断が鈍ってお金を出しやすくなってしまうという心理を上手くついた特徴となっています。

判断を急かして来る場合のほとんどが寸借詐欺の可能性が高くなっていますので、急いでいるといわれても一旦落ち着いて考えることが大切になります。

断りにくい言い方をする

「子供が病院に運ばれたらしくて電車代がほしい」「どうしても行かないと仕事に関わる」など、断った方が悪くなるような言い方をしてきます。断ったら罪悪感が残ってしまうような理由付けをしつつ、お金の要求をしてきます。その困った様子に自分から「お金を貸しましょうか」と声をかけてしまう人もいるほどです。困っている人を放っておけない、人の優しさを踏みにじる詐欺行為です。

連絡先が繋がらない

お金を返すから、といって渡された電話番号が不通、なんてこともあります。でたらめの電話番号を教えてその場をやり過ごすという手口です。「携帯電話も忘れてしまった」などといってそもそも携帯電話を教えてくれない可能性もあります。電話番号に限らず、住所でも同じことが言えます。適当な住所を教えて一旦被害者を安心させるという方法です。電話番号を貰ったらその場で試しに賭けてみるなどの対処が必要になります。

騙されたと思ったら…対処法3ステップ

いくら気を付けていてもいざ自分が当事者になってみないとわからないことがたくさんあります。

寸借詐欺は、物的な証拠が残りにくく、騙されたことがわかるまでに時間が経っているケースが多く、さらに金額も少ない、などの理由から警察に被害を届けても捜査してもらいにくいというケースが多いです。

しかし、被害からしばらく経っているから…などといって泣き寝入りせず、自分のできることをするのが大切です。もし自分が寸借詐欺の被害者になってしまったら何が出来るのでしょうか。その対処法を見ていきましょう。

証拠を集める!

まず大切になってくるのが証拠を集めることです。証拠が無ければ警察も動いてくれませんので、証拠を集めましょう。

有効な手掛かりになるのが以下の情報です。

  • 詐欺師の顔写真
  • 身分証明書の控えや写真
  • 詐欺師が書いた借用書
  • 被害の詳細(日付や場所、身体的特徴など)

もしこれらの情報を持っていなかったとしても、探す方法はあります。

SNSなどで同じような被害者がいないかを呼びかけてみたり、現場付近で聞き込みをしたりして情報を集めていきましょう。

証拠をもって警察へ!

集めた証拠をもって警察へ行けば警察が捜査を開始してくれるかもしれません。

被害届を出すには以下の項目が必要になるのでこれも予め用意しておきましょう。

 

  • 被害者の住居、職業、氏名、年齢
  • 被害の年月日時
  • 被害の場所
  • 被害の模様
  • 被害金額(品名、数量、時価、特徴、所有者)
  • 犯人の住居、氏名又は通称、人相、着衣、特徴等
  • 遺留品その他参考となるべき事項

証拠不十分であっても他にも詐欺被害者の被害届が出ていれば捜査に乗り出してくれるかもしれません。自分が被害届を出すことで犯人特定に至る可能性があります。

警察が動いてくれない場合には、弁護士や探偵など民間機関に!

本当に騙そうとする意思があったかわからないのが寸借詐欺の難しいところです。寸借詐欺は、お金を取り戻すのが難しい詐欺といわれています。証拠をもって警察へ行ったとしても弁償してもらえるとは限りません。理由としては、詐欺と断定するのが難しく、被害に遭ってしばらくしてから詐欺だったと気づくからです。これにより証拠も不十分で被害の立証が難しく、警察が動いてくれない場合が多くなっています。

その時は弁護士や探偵などの民間の企業に依頼をしているのも良いでしょう。

詐欺師に被害額を弁償させるためにも民事訴訟を起こさないといけません。その民事訴訟を行うのにも民間機関に依頼する必要があります。

弁護士は法律に違反しているのかを判断し、裁判資料の作成を行います。

探偵は調査をして裁判資料に必要な、より強固な証拠を集めます。

これらの機関に依頼することで詐欺師を訴え、法で裁くことが出来ます。

寸借詐欺にあわないようにするためにできる予防法!

寸借詐欺の対処法は非常にお金と手間のかかることになります。また、あとから訴えることが非常に難しい詐欺になりますので、寸借詐欺は合わないように予防していくことが大切になってきます。

お金を見ず知らずの人に貸さないようにしよう

当たり前のことですが、知らない人にお金を貸さないようにするのが最も有効な予防法です。罪悪感が残るかもしれませんが、自分が詐欺の被害者にならないように、断る勇気も必要になります。知らない人にお金を貸してしまったら、もう返ってこないと思うくらいが良いでしょう。しかし、他にも被害者を増やさないためにも、お金を貸して欲しいという頼みは断り、詐欺師の思惑通りには行かないようにしなければなりません。

困っている人がいたら警察に案内しよう

お金を貸して欲しいといわれて断り切れない場合は、最寄りの交番を案内しましょう。交番では「公衆接遇弁償」といって本当に必要なお金を貸してくれる制度があります。

  1. 先でお金が盗まれてしまった、または紛失してしまった場合の交通費
  2. 行方不明者が保護された際に必要な交通費や経費
  3. 病人の保護や交通事故などによって負傷してしまったかたの救護に必要な経費
  4. その他の公衆接遇の適正を期する為に必要とされる経費

以上の4つに当てはまればお金を貸してくれます。基本的には1,000円が限度額ですが、交通費くらいにはなるので本当に困っている人だったら交番への案内も素直に受けるでしょう。交番を案内して、嫌がられたり、頑なにお金を貸して欲しいと言われたら寸借詐欺の可能性が高いです。

お金を貸したら身分証明書の写真を撮らせてもらおう

お金を貸したら氏名、運転免許証、住所、電話番号を確認して写真を撮っておきましょう。顔写真付きの身分証明書であればなお良いでしょう。本当にお金を返す気がある人であれば特に拒む理由もありませんが、詐欺師の場合は身分証明書を抑えられてしまうと証拠になってしまうので嫌がる可能性があります。お金を貸して、怪しい場合は身分証明書の写真を要求してみましょう。もし持ち合わせていないといわれてしまったら、顔写真だけでも詐欺の証拠にはなるので撮っておきましょう。

寸借詐欺に関するよくあるQ&A

寸借詐欺について気になるポイントをQ&A方式で紹介していきます。

Q.少額のお金を貸しましたが、これも詐欺ですか?

A.はい、詐欺に当たります。どれだけ少額であっても人をだましてお金を取った場合、詐欺に当たります。寸借詐欺は特に、少額だから良いかと思わせるような仕組みになっていますので、警察に相談することをお勧めします。

Q.返済をしたいのでと言われたら連絡先を教えても大丈夫ですか?

A.危ないのでやめておきましょう。そうやって連絡先などの個人情報を手に入れ、別の犯罪行為に使われる可能性もあります。また、「電話をかけたい」などといって携帯電話を貸すように言われた時も断りましょう。電話をかけるふりをして個人情報を抜いている可能性があります。知らない人に個人情報を伝えたり、携帯電話を貸したりするのは危険なのでやめましょう。

寸借詐欺にあわない為に一番大事なのはお金を貸さない事!

寸借詐欺は被害にあったと後から被害届を出しても、身元が明らかでなかったり、詐欺だと立証することが難しいため、一番は詐欺にあわないようにすることが大切です。

寸借詐欺について手口から予防法までご紹介してきましたが、詐欺被害にあわない一番の方法はお金を貸さない事です。同情するような言動であってもむやみにお金を貸すのではなく、最寄りの交番を紹介するようにしましょう。

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