自分がストーカーされているかもしれない…そんな時は、警察に届出をして何とかしてもらいたいところです。しかし、警察はストーカーに関してはあまり動いてくれないと聞きますが、実際のところ警察はきちんとストーカーの対応をしてくれるのでしょうか。

実は、警察はストーカーの被害や相談に関して、身の危険を感じるような状況であれば即座に対応しますが、そのような状況にない場合は、被害者の要望などを確認して、適切なアドバイスに留めるケースもあるのです。

警察は、ストーカー規制法などさまざまな法律に基づいて対応するため、警察が権力を行使できればしっかり対応しますが、要件を満たさない場合には、アドバイスはできても対応してくれないこともあるのです。

では、ストーカーに関して、警察に動いてもらうためにはどうすれば良いのでしょうか。今回は、ストーカー被害に遭っているあなたのために、警察を動かすための対処方法などについて詳しくご紹介します。

ストーカー解決のためには警察を頼るべき

ストーカー被害を解決するには、警察の介入が必要不可欠です。

ストーカーは、相手への恋愛感情や好意の感情、その感情が満たされなかった恨みで、冷静さを失っている場合がほとんどです。そのため、示談や民事的に解決するということは、なかなか難しい状況にあります。

そうなると、警察の力を借りて、ストーカーの行為者に警告や禁止命令を出したり、場合によっては逮捕してもらうことになるでしょう。

ここで、ストーカーを解決するために、警察がどのように対応してくれるのか確認しておきましょう。

「ストーカー規制法」とは

ストーカーを取り締まるために制定されている「ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下、ストーカー規制法)」において、ストーカーとは、「特定の人に対する恋愛感情その他好意の感情、またはその感情が満たされなかったことに対する怨恨の感情によって、つきまとい等の行為をする人」のことを指します。

この「つきまとい等」を繰り返して行うとストーカー行為とみなされます。そして、ストーカーに警告・禁止命令を出したり、場合によって逮捕するなど、警察が対応することになるのです。

「つきまとい等」の行為

ストーカー規制法による「つきまとい等」の行為には、次のようなものがあります。

  • つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき等
  • 行動を監視をしていると告げる行為
  • 面会・交際等の要求
  • 著しく粗野・乱暴な言動
  • 無言電話、拒否後の連続電話、FAX、電子メール・メッセージの送信等
  • 汚物などの送付
  • 名誉を傷つける事項の告知
  • 性的羞恥心を害する事項の告知

「つきまとい等」を繰り返し行う

この「つきまとい等」の行為は、一度だけだとストーカーとは判断してもらえません。何度も繰り返し行われることで、ストーカーとみなされるのです。

また、ストーカーに対して、自分に向けられた好意や行動について「拒否」の意思表示をする必要があります。「嫌だ」という意思や態度を見せないと「受け入れられている」と勘違いして、そのままつきまとわれる可能性もあるのです。

しっかりと拒否した後につきまとう行為は、ストーカー行為と判断されやすくなります。そのためにも、「拒否」する姿勢や意思表示をするようにしてください。

警察がストーカーに対してできること

警察がストーカーに関する届出を受けた場合、次のような対応を行います。

被害者へのアドバイス

ストーカー解決に向けて、適切なアドバイスをしてくれます。単なる相談の場合や、犯人逮捕を望んでいない、ほとんど被害がない場合には、警察からアドバイスや指導を受けるだけでも十分なケースもあります。

  • 被害防止のためにストーカーに対してすべきこと・してはいけないことなどの説明
  • 今後の対処法について
  • 防犯ブザー等の防犯器具の貸し出し

周辺のパトロールを強化

警察内で連携して、自宅や職場、ストーカー被害に遭った場所など、周辺のパトロールを強化するようにします。制服を着た警察官がパトロールすることで、ストーカーのつきまといが少なくなり、被害解決につながるケースもあります。

犯人への警告

ストーカーの犯人に対して「被害者に対して、これ以上ストーカー行為を繰り返してはならない」という内容の警告を行います。

ストーカー規制法にある「警告」とは、警察本部長または警察署長名の警告文書を発出して、ストーカーの犯人に警告をすることを言います。そのため、警察官が電話や口頭だけで行う警告は、法律上の警告には該当しません。

禁止命令の手続き

文書による警告を行っても、犯人がストーカー行為を繰り返したり、つきまといを止めない場合は、公安委員会から禁止命令を出すことができます。禁止命令に違反すれば、罰則が適用されます。

  • 【命令に違反してストーカー行為をした場合】2年以下の懲役または200万円以下の罰金
  • 【命令に違反したもののストーカー行為にまで至らない場合】6月以下の懲役または50万円以下の罰金

被害者に危害が及ぶおそれがあるなど、緊急性が認められれば、文書警告がなくても警察本部長または警察署長による禁止命令等の措置を取ることも可能です。

犯人逮捕

被害者からストーカーに関する被害届を受理し、必要な捜査を経て要件が整えば、犯人を逮捕することが可能です。

  • 【ストーカー行為をした場合】1年以下の懲役または100万円以下の罰金

ストーカーに関係して起こり得る犯罪行為と罪名

ストーカーによるつきまとい等の被害に関係して、ストーカーが他の犯罪に該当するような行為をしているケースもたくさんあります。中には、ストーカー行為よりも悪質な犯罪行為のケースもあり、その罪名を適用して犯人を逮捕・検挙することもあります。

ストーカー行為に適用できる罪名

傷害罪:
ストーカーが被害者の腕を掴んだり、殴ったりして、結果的にケガをしてしまうような場合は、傷害罪が成立します。法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。
暴行罪:
ストーカー行為によってケガをしていなくても、暴行を加えた時点で暴行罪が成立します。腕や胸ぐらを掴む行為だけで、暴行罪となるケースもあります。法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。
脅迫罪:
ストーカーのつきまとい等の中に「乱暴な言動」というものがありますが、この言動に脅迫するような内容が含まれれば脅迫罪に該当します。被害者を脅して怖い思いをさせると、成立可能な犯罪です。法定刑は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」となります。
住居侵入罪:
正当な理由がなく、人の家などに侵入すると住居侵入罪になります。盗聴器やカメラを設置するために侵入することはもちろん、被害者の家の敷地内にこっそり潜む行為も住居侵入罪に該当します。法定刑は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。
器物損壊罪:
被害者の家に侵入した際に物を壊したり、ポストの中に汚物などを入れてポストを使えなくすると、器物損壊罪になります。法定刑は「3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料」です。
名誉棄損罪:
被害者の悪口や悪い噂などを書いた文書をばらまく、ネット上に書き込みする、不特定多数にメールを流すなどして名誉を傷つけた場合は、名誉棄損罪にあたります。法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金」となります。
逮捕・監禁罪:
ストーカーがエスカレートして、被害者を無理やり連れて行く、部屋や車の中に閉じ込めて逃げられないようにするといった行為は、逮捕・監禁罪に該当する可能性が高いです。人の自由を奪う行為となるため罰則も厳しくなり、法定刑は「3月以上7年以下の懲役」となっています。

警察がストーカー被害で動かない・対応できないパターンとは

ストーカーに関して、警察は役立たずではありません。法令に基づいて、ストーカーに効果のある対応をたくさんしているのです。2017年にストーカー規制法が改正されたことで、警察がより広く対応できるようになりました。

しかしながら、ストーカーに対して、警察でも直接対応できないケースもあります。

犯人がわからない

ストーカー行為をする犯人がわからない場合、被害届を出してもすぐに犯人を捕まえることができません。誤認逮捕をしないためにも、犯人が特定できなければ、積極的に動くことができないのです。

犯人が特定できない段階で警察ができるのは、被害を予防するためのアドバイスをすることや、パトロールを強化することくらいです。

証拠がない

警察は、ストーカーの犯罪が行われていない段階では、犯罪を未然に防ぐための「予防」として動くことはできても、「捜査」をすることはできません。犯罪の証拠がないことには、犯人を捕まえることができないからです。

ストーカーされているという証拠がないと、被害が拡大しないようにアドバイスはできても、それ以上のことはなかなかできないのです。

ストーカー被害で警察を動かす(捜査する)ために被害者ができること

ストーカーされているように感じていて、警察に相談したのに何もしてもらえない…ストーカーで警察が動いてくれない時は、どうすればよいのでしょうか。

被害者本人がしておくべきこと

警察が動いてくれないからといって他のところに相談する前に、自分の周りで起きたストーカーに関して、一度状況を整理しておく必要があります。その際、どのようなことについて明らかにしておくべきなのか、詳しく説明します。

状況を整理することでストーカーに関して新たなことがわかれば、そのことを警察に相談すると、警察が動いてくれるかもしれません。そのためにも、一度しっかりと確認しておきましょう。

ストーカーの証拠になるものを集めておく

ストーカーは、被害者の気を引くためや嫌な思いをさせるために、さまざまなアクションを起こします。その中で、手紙やプレゼントを送ってくることもあるでしょう。ストーカーの犯人につながるものは、しっかりとした証拠になります。

嫌だから早く処分したいという気持ちを抑えて、できるだけそのままの状態で保管しておくようにしましょう。汚物など保管が難しいものであれば、写真に撮って残しておいてください。

ネットの書き込みやメールなども、立派な証拠です。ネットの書き込みであれば、スクリーンショットなどで保存するようにしておきましょう。メールも消さずに、できれば全部残しておくと良いでしょう。

電話の内容や暴言についても、録音しておくことで証拠になり得ます。スマートフォンの録音アプリやICレコーダーなどを使って、音声データも残しておくようにしてください。

警察がストーカーに対応するために必要な証拠は、

  • つきまとい行為が繰り返し行われているという証拠
  • 交際を拒否したり、つきまとい行為を拒否したりしているのに、続いているという証拠

になります。

ストーカー行為の記録

自分が受けたストーカー行為について、しっかりと記録に残しておくことも大切です。いくつもストーカー行為があったのであれば、記録することで繰り返し行為がなされた証明にもなるので、できるだけ詳細な内容を記録しておくと良いでしょう。相手の言動はもちろん、自分の対応した状況なども残しておいてください。

ストーカー行為に関して記録しておくべきこと

  • ストーカー行為の内容
  • ストーカー行為を受けた日時・場所・その日の天気
  • ストーカー行為に対して、自分が対応した状況(拒否した・警察に相談した など)

一時避難や引っ越しも検討

ストーカーに自宅や職場を知られている場合は、一時的に避難したり、引っ越しを検討した方が良い場合もあります。ストーカーがエスカレートして、最悪の事態を防ぐためにも、身を隠した方が安全です。

一時的に非難するのであれば、実家や友人の家、ホテルなどを利用することも検討してみてください。引っ越すとなると費用がかかりますが、住所を移した場合はストーカーによる住民基本台帳の閲覧を制限することが可能となり、ストーカーに新しい住所を知られないようにすることができます。市役所や警察に相談して、手続きを進めてみてください。

探偵に依頼する

警察が動いてくれない場合、探偵に依頼することも一つです。警察に代わって探偵が調査をしてくれるため、その調査結果の証拠をもって、警察を動かすことができるケースもあるのです。

では、ストーカー解決のために探偵ができることは何でしょうか。それは、警察がなかなかできない「犯人の特定」「ストーカーの証拠集め」です。

犯人の特定

ストーカー被害に対して、動かない警察を動かすためには、犯人の特定が必要です。犯人を特定するために、探偵は依頼人からの情報を基にして、定点撮影や張り込み、行動調査、指紋鑑定・声紋鑑定、盗聴器発見調査などを行います。そうすることで、ストーカーを絞り込み、特定することになります。

ストーカーは、確実に被害者の周辺で何らかの行動を取っています。そのため、被害者の周辺を調査することで、ストーカーを特定できる可能性は高くなります。

ストーカーの証拠集め

ストーカーが残した証拠を保管して、ストーカー行為の記録を残すことは被害者本人にも可能ですが、ストーカーの行為に関する写真や動画を撮影すること難しいでしょう。家族や友人に頼んでも、ストーカーにバレてしまうと、被害が拡大する心配があります。

証拠を撮影するために尾行することは、なかなか容易なことではありません。そんな時は、プロに任せると安心です。

探偵は、ストーカーの行動を予測して張り込み、暗い場所の撮影も可能なカメラを使用するなどして、警察を動かすための確実な証拠を集めることができます。ストーカーを早期解決したい場合は、早い段階での証拠集めが必要となるので、なるべく早めに依頼することをおすすめします。

弁護士に相談する

警察がストーカーの解決に動かない場合は、法律と交渉のプロである弁護士に依頼するのも良いでしょう。ストーカー問題に強い弁護士であれば、解決に向けてさまざまな方法、手段によって対応してくれることでしょう。

では、ストーカーを解決するために、弁護士は何ができるのでしょうか。弁護士は相談者の代理人として「ストーカー本人と交渉する」「警察に対し警告や禁止命令を要請する」「警察に捜査を促す」「示談や民事訴訟を進める」などを行うことができます。

代理人としてストーカーと交渉

ストーカーに対して警察が動かない場合、弁護士は依頼人である被害者の代理人として、ストーカーに対してストーカー行為をやめるよう、交渉をすることが可能です。ストーカーと被害者の間に弁護士が入ることによって、被害者の身体的・精神的負担を和らげるのです。

基本的には、ストーカーに対して通知を送り、ストーカー行為をやめて欲しいこと、やめなければ警察に届出る等の法的措置をとることなどを伝えます。

交渉が決裂したり、被害者に危険が迫っている状況であれば、警察への届出を促します。そして、必要な証拠の準備や警察へ何を話すべきかなど、適切なアドバイスをしてくれるでしょう。必要であれば、警察への同行もしてくれます。

警告・禁止命令の要請

被害者の安全を守るためには、ストーカーへの働きかけが必要です。そのための手段であるストーカーへの警告や、禁止命令について、警察に強く要請することができます。

そのためには、ある程度犯人に関する情報や証拠を集めておくことが必要です。犯人につながる情報をもって、弁護士にお願いすると良いでしょう。

被害届・刑事告訴の手続き

警察にストーカーの捜査をしてもらうためには、被害に遭った状況などを詳しく説明する必要があります。そのための手続きについては、一般の方には難しく感じることでしょう。

警察に被害を届け出る方法は2つあります。被害届の提出、または告訴状を提出する方法です。

被害届は、被害者や被害者の依頼を受けた代理人などが、被害の内容を警察に届出するための書類であり、定められた様式に記載することになります。警察は被害届が出された場合、これを受理する義務はありますが、必ずしも捜査をしなければならないというものではありません。

告訴状は、被害者やその代理人が、犯人による被害の申告と犯人の処罰を求めるために提出する書類です。特に定められた様式はありません。告訴状が提出された場合、警察は正当な理由がない(犯罪事実が特定されていない、犯罪の要件がないなど)限り受理しなければならず、受理した場合は捜査を遂げなければなりません。

警察に動いてもらうためには、しっかりとした内容が記載された告訴状が有効となりますが、そのためには弁護士など法律に精通した人に作成してもらうと良いでしょう。また、弁護士が代理人として提出された告訴状であれば、よほどのことではない限り、受理してもらえる可能性が高くなります。

弁護士がついていると、捜査が進み、犯人が逮捕された後でも、さまざまな手続きがスムーズに進むようになるため、安心できることでしょう。

示談・民事訴訟の手続き

警察が捜査をしても、ストーカーを立件できないこともあります。その場合、弁護士は、ストーカーと示談交渉や民事訴訟の手続きを進めて、被害者への接触を禁じたり、金銭的な解決を求めたりといった活動をすることも可能です。

また、ストーカーが逮捕されて起訴されると裁判になりますが、裁判の前にストーカー側の弁護士から示談交渉の申し入れがある場合があります。そのような場合、被害者にも弁護士がついていると、被害者の意向を確認しつつ、弁護士同士で交渉を進めてくれることになります。

直接、ストーカー側の弁護士と交渉すると、言いくるめられてしまう可能性もあります。弁護士に依頼をしておくと、うまく対応してもらえます。

ストーカー被害で警察を動かすには犯人の特定と証拠が必要

ストーカーを解決するためには、警察に相談することが一番です。ストーカーの被害に遭った場合は、まず警察に相談して、相談したという実績を積み上げましょう。

警察は、ストーカーの相談を受けた段階で、できる限りの対応はしますし、被害者の要望になるべく応えられるよう、その後の対応方法についていろいろとアドバイスもします。犯人の逮捕はもちろん、相手に対して警告したり、公安委員会から禁止命令を出すように手続きをすることも可能です。

ただ、そこで報復が怖いから、ストーカーがかわいそうだからなどという理由で、曖昧なままにはしないでください。警察は、被害者が望まない対応をすることができないのです。被害の状況は、被害を受けた本人から確認しないとわかりませんし、それができなければ犯人を逮捕できません。逮捕できたとしても釈放しなければならない場合も出てきます。

警察が動かないのではなく、動く権限がないのです。警察を動かすためには、あなたの受けた被害について、できる限り詳しく、包み隠さず全て説明することが大切です。

それでも警察が動いてくれないのであれば、探偵や弁護士を頼ることも有効な方法です。ストーカーの犯人を突き止めて、証拠を積み上げてから、警察を動かせば良いのです。

ストーカーの被害を防ぐためには、早めに警察に相談することをおすすめします。警察をうまく利用することで、ストーカーから自分の身を守りましょう。

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