【投稿日】 2022年5月3日 【最終更新日】 2022年10月27日
与信調査とは、企業が新たな取引を始める際に、取引予定の相手企業が信用できる企業かどうかを調査するもので、信用調査とも言います。
調査内容は、主に支払い能力の有無や経営状態などについてですが、金銭的な信用の他にも経営者や役員に対する調査や資産状況・財務に対する調査が含まれることがあります。
この与信調査を行うことが相手企業に対して失礼に当たると考える方もいるようなのですが、取引代金が回収不能になるというリスクを低減するためにも与信調査は必要かつ重要なものです。
そこで、この記事では信頼関係を損ねずに与信調査を行うために心がけたいポイントを4つご紹介します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
大前提として与信調査(信用調査)をしても相手方に基本的にバレるものではない
与信調査(信用調査)は基本的に、取引先の企業に支払い能力があるのかどうか、債務超過などはないかどうかなどを確認するというニーズから行うものですが、その与信調査(信用調査)を民間の信用調査会社に委託して行ったとしても、基本的に相手企業にバレることはありません。
信用調査会社は、その会社独自の情報入手ルートを持っているため、基本的に秘密裏に相手企業の調査を行うことが可能なのです。
従って、与信調査(信用調査)を行うことによって、双方の信頼関係を損なうというようなことはないということを認識しておきましょう。
信頼関係を損ねずに与信調査(信用調査)をするために徹底したいポイント
企業と企業との取引では、取引の都度代金を支払うのではなく、例えば「月末締め翌月払い」のように、月末までの売上代金を翌月に1ヶ月分まとめて支払うことが一般的となっています。
このような未払いの売上代金のことを売掛金といいますが、もしこの取引先が倒産してしまうと売掛金(支払期日前の売上代金)が回収不能になってしまいます。
また、倒産はしていなくても資金繰りの悪化により支払期日に売上代金が支払われないことが起こる可能性があり、この場合も売上代金が回収不能になる可能性が高くなります。
取引の規模が大きくなるほど売掛金の金額も多額となるため、回収不能に陥ったときの自社への影響はより甚大なものとなります。
売上代金が回収不能になるということは、自社の資金繰り計画に狂いが生じて、取引先への支払いや銀行への融資返済などに支障をきたすことになり、最悪の場合は自社も連鎖倒産してしまうという事態にもなりかねません。
実は、このような与信調査がきちんと行われていなかったために相手方の企業が倒産して売掛金が回収できなくなったりすることは比較的よくある話なのです。
与信調査については、相手企業を疑っているようで相手に失礼ではないかと思ってしまう人もいるようですが、与信調査は企業にとって非常に重要で必要不可欠なことです。
また、表面的には信用のある会社であっても、実は債務超過に陥っていたり裏社会とつながっていたりという可能性も否定できないわけですから、新規の取引先や提携先などについては、事前にしっかりとした与信調査(信用調査)を行ってから取引を始めるべきなのです。
ただ、それでも「ちょっと相手先を疑っているような感じで悪いな…」と思ってしまう人もいるかと思いますので、そのような人のために4つのポイントを紹介します。
与信調査(信用調査)を行う際には、これらについて意識してみてください
ポイント1:与信調査(信用調査)を行うのは企業として当たり前であると認識する
1つ目のポイントは、与信調査(信用調査)を行うのは企業として当たり前であると認識することです。
与信調査(信用調査)は、取引先の企業に支払い能力があるのかどうか、債務超過などはないかどうかなどを確認して、代金回収になるリスクを軽減するために行うものです。
例えば、利益率10%の商品の取引で1000万円が回収不能になったとすると、同じ利益率で1000万円を取り戻すためには1億円もの売上を新たに作り出さなくてはならなくなります。
そのための営業努力は大きな負荷となりますし、決算においては損失を計上することになります。
また、回収予定だった1000万円で支払予定だった経費や融資返済ができなくなりますから、不足分の1000万円を別途調達する必要性が出てきます。
もし、調達ができなければ、自社が連鎖倒産という事態に陥る可能性もあるのです。
このように、自社の健全経営のためには与信調査(信用調査)を行うことは当たり前だということを十分認識しておく必要があります。
ポイント2:信頼できる調査会社に与信調査(信用調査)を依頼する
2つ目のポイントは、信頼できる調査会社に与信調査(信用調査)を依頼することです。
国内の信用調査会社は250社ほどあるようですが、それぞれで会社規模や調査費用などが異なっていますし、特定の地域に強い、特定の業界に強い、大企業に強い、中小企業に強いなどの特徴もあります。
与信調査を行う相手企業の業種や業態、地域と、調査してほしい項目、調査の納期などのあなたのニーズに合致する信頼できる調査会社を選ぶようにしましょう。
各信用調査会社の公式サイトを調べたり、必要に応じて候補となる数社からヒアリングをしたり見積もりを取ったりして、納得できる依頼先を選定するようにしましょう。
ポイント3:与信調査(信用調査)の内容を相手側に絶対開示、口外しない
3つ目のポイントは、与信調査(信用調査)の内容を相手側に絶対開示、口外しないことです。
前述のように、信用調査会社が与信調査(信用調査)を行っていることやあなたが信用調査会社に与信調査(信用調査)を依頼したことなどが相手企業にバレることはありません。
しかし、あなたが相手側に「調査会社がお宅の会社のことを調査したら~だということが分かった」などということを口外してしまうと、さすがに相手側にも与信調査(信用調査)をしたことがバレてしまいます。
ですから、絶対に「与信調査(信用調査)を行ったこと」や「与信調査(信用調査)の内容」については相手側に伝わらないように秘匿管理することが重要です。
ポイント4:与信調査(信用調査)と合わせて、反社チェックや、相手側の企業や役員の実態についても調べる際には信用できる探偵事務所に依頼する
4つ目のポイントは、与信調査(信用調査)と合わせて、反社チェックや、相手側の企業や役員の実態についても調べる際には信用できる探偵事務所に依頼することです。
最近の傾向として、一般的な与信調査(信用調査)に加えて、反社チェックや相手側の企業の役員の経歴や訴訟歴などを調べるケースが増えてきています。
つまり、支払い能力の有無や企業の経営状況などの金銭的なリスク調査だけではなく、相手企業や役員と反社との関係の有無、経歴や訴訟歴などの幅広いリスク調査を行うことが一般的となりつつあるということです。
支払い能力の有無や企業の経営状況などのリスク調査は信用調査会社に依頼できますが、反社とのつながりの有無や訴訟歴などについては探偵に調査を依頼することが一般的です。
一言で探偵と言っても、事務所の規模や得意分野などは様々ですし、調査能力や調査結果の信用度にも大きな差があります。
企業の取引の判断となる重要な調査事項になりますので、企業調査の実績がある信用できる探偵事務所に依頼することが重要となります。
実際に信用できる探偵事務所の基準としては、次の4点を満たしていることが必要と考えられます。
<1>法人経営の探偵事務所であること
個人経営の探偵事務所もありますが、やはり法人経営の探偵事務所が良いでしょう。
個人の探偵事務所と法人の探偵事務所を比較した場合、一般的に法人の探偵事務所の方が規模が大きく、調査に関わる探偵の人数も多くなります。
また、法人の探偵事務所を開業するためには届出に必要な提出書類や手続きが多いためきちんとした会社運営をしていることが必要となります。
開業後も公安委員会による検査が不定期に行われますので、個人の探偵事務所と比べて厳しく監視されていることになります。
<2>探偵業の届出がなされていること
探偵業を営むためには、各都道府県の公安委員会に届出する必要があり、探偵業届出番号が交付されますので、きちんと届出をしている探偵事務所であれば、ホームページや事務所内に明示されているはずです。
届出をしているのにあえて隠す理由はありませんので、公表されていない場合は届出をしていないか、何らかの理由で明示したくないということだと思われます。
このような探偵事務所は避けた方が懸命です。
<3>料金表を提示していること
探偵事務所の調査料金は、調査ごとに決まることも多いため、完全な料金表を提示することは難しいのですが、料金体系や主な調査目的ごとの料金の目安などを提示することは可能ですので、これらを提示している事務所を選ぶようにしましょう。
探偵事務所を利用した際に多いトラブルは料金に関するもので、その中でも特に追加料金に関するものが多くなっています。
実際に調査を依頼するときには見積を入手して、その内容と料金に納得した上で契約書を締結して調査業務を開始することになりますが、料金体系などが提示されていない探偵事務所は避けた方が良いでしょう。
<4>調査力が高いこと
探偵業は、個人か法人かによって届出の書類や手続き、監視の有無に違いはありますが、基本的には「探偵業開始届出書」を警察署経由で公安委員会に出し、探偵業の開始が認められることで営むことができます。(認められない場合もあります)
そのため、その調査能力についてはかなりの差があります。
調査能力が高い探偵事務所は、調査技術自体の高さだけではなく、あらゆる視点から調査を行って推察しながら進めていくことが特徴です。
この「あらゆる視点から調査を行うことができるかどうか」を見抜くポイントは色々とありますが、警察OBが在籍しているかどうか、他の事務所が受けられないような難易度の高い調査を受け付けているか、他の事務所で失敗した調査内容も引き受けてくれるか、などで判断するのがおすすめです。
例えば、警察OBの探偵が在籍している場合、探偵と警察では調査方法が全く異なりますので、警察OBが在籍している探偵事務所の場合は警察で培った捜査の視点からの調査も行うことができるということになるのです。
つまり、警察OBが在籍している探偵事務所の方が調査の視点が多いため、調査能力が高いと言うことができるのです。
企業として与信調査(信用調査)は当たり前の時代!
日本における企業間取引では、先に商品やサービスを納品してから後日支払いというケースが多いため、納品済で支払い前の代金は未払いの売掛金として残っています。
つまり、取引に際しては取引先に支払い能力が十分にあるのかどうかを調べておくことによって、売上代金が回収不能になるというリスクを軽減することができます。
また、長期的な取引を予定している場合には、短期的に支払い能力があったとしても資金繰りが続くかどうかは分からないということから、資産状況や財務状況についても調べる必要がでてきます。
また、最近では、取引先企業が反社会的勢力とのつながりがあったりすることが判明すると、自社の信用問題に陥ることもありえますので、反社チェックなどによって取引先の信用調査を行う必要があります。
このように、企業として与信調査(信用調査)を行うことが当たり前の時代になってきているということを認識しておく必要があるでしょう!
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