【投稿日】 2018年4月18日 【最終更新日】 2021年10月21日
探偵の操作方法のひとつに「尾行」があります。尾行とは、調査対象者に気付かれないように後をつける行為です。ドラマや映画などでも尾行シーンが描かれることがあり、一般の人にとってもイメージしやすいのではないでしょうか。
しかし「ただ後をつけるだけでしょう?」「プロに頼まなくても、自分でやればいい」と、安易に考えることは危険です。
ここでは調査のプロである探偵が行う尾行方法と、プロと素人の大きな違いについてご説明します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
探偵の尾行方法【徒歩尾行】
徒歩尾行は、その言葉通り身体ひとつで歩いて対象者の後を追う行為です。普段一人で道を歩くのとは異なり「対象者に気付かれないように」「対象者を見失わないように」細心の注意を払いながら、後を追わなければいけません。もちろん、相手に気付かれてしまえばその時点で調査は失敗です。
人の数倍もの体力・精神力、そして忍耐力が必要と言えます。
探偵の徒歩尾行技術
それでは、次に実際に探偵が徒歩で尾行する際に使う技術について見ていきましょう。
対象者との距離を意識する
探偵が尾行の際に意識する直線距離は、およそ100〜200mです。対象者に探偵の存在を気付かれにくい、見失いにくい距離と言えるでしょう。
ただし、この距離は尾行する場所によって、臨機応変に変更します。
例えば都会の人混みの中であれば、見失うリスクが高いため、様子を見計らいながらもある程度接近する必要があります。また逆に対象者と探偵以外の人物がいないような田舎道であれば、さらに距離をあけ、遠方からの尾行に切り替えることもあります。
急に対象者が立ち止まっても、自然にやりすごす
対象者が急に立ち止まる、Uターンするといった行動をしたとしても、驚いたり、突然立ち止まったりしてしまうと、明らかに不自然な印象を与えます。この場合は、そのまま歩き続けてすれ違い、対象者に気付かれないように、再度背後に回り込むことが多いです。
言葉にすると簡単な印象を受けるかもしれませんが、突然の出来事に対応するためには、高度な訓練が必要とされます。
帽子、サングラス、上着など印象を変える工夫をする
人間の印象は服装を変えるだけで、大きく変わります。対象者が気付いていない場合でも、適度なタイミングで衣服や着用アイテムを変更し、気付かれるリスクを減らします。
足音を消すため、歩調を合わせる
雑多な人混みの中では、足音はわかりにくいものです。しかし、周りに人が少ない、全くいないといった状況で尾行を行う場合、足音から尾行に気付かれる可能性が高まります。そこで、対象者との歩調を合わせることで足音を消しながら尾行します。
対象者に不審がられた際のはぐらかしテクニック
警戒心の強い対象者の場合「もしかして尾行されているかも?」と、勘付く可能性があります。また、直接問い詰めてくる人もゼロではありません。尾行に気付かせることなく、気のせいだったと思わせる探偵のテクニックを知っておきましょう。
近隣住民など、その場にいてもおかしくない人物のフリをする
住宅街であれば、近隣住民のフリをします。ごく自然にマンションを指差し「あのマンションに帰る途中です」と言えば、相手はそれ以上何も言えません。
店舗が立ち並ぶ場所であれば、店舗に用事がある人のフリをします。あくまで自然に「たまたま向かう方向が同じだった」と思わせるような演技も、探偵のテクニックのひとつです。
言葉が通じないフリをする
流暢な英語が話せる探偵であれば英語で答える、もしくは日本語がわからないという設定の元、カタコトで会話を試みるといった方法もあります。言葉が通じない相手だと思わせる方法です。
探偵の尾行方法【車両尾行】
対象者の行動手段は、徒歩だけとは限りません。車、バイク、自転車などどのような手段で移動した際も、気付かれずに後を追いかける必要があります。
また、この場合、徒歩尾行以上に対象者との距離感や尾行のスピードに気を配らなければいけません。
まずは、車両尾行の技術を見ていきましょう。
探偵の車両尾行技術
車・バイク・自転車を使い分ける
バイクや自転車のメリットは、小回りがきくこと、そして渋滞に巻き込まれないという点です。そのため、特に都心部での尾行に利用されています。車は、多様な機材を積み込むことができる、無人車を装い中で待機することができるといったメリットがあり、調査の作戦に応じて選択します。
車の外装にも気を配る
「クリーニング◯◯店」「◯◯電気工事株式会社」といったステッカーをワンボックスカーに貼ることで、違和感を感じさせない工夫を行うこともあります。もちろん架空の店舗名のため、法律上問題はありません。
車の尾行の際には、間に1〜2台挟むことが基本
対象者が乗る車のすぐ後ろについてしまうと、運転手からは車の様子が見えてしまいます。警戒心の強い対象者であれば「ずっと同じ車が後をついてきている」と勘付く可能性も少なくありません。
気付かれるリスクを防ぐため、備考中は、他の一般車を1〜2台挟むことが基本です。その分、右左折やUターンといった対象者の次の行動がわかりにくなるといったデメリットはありますが、それを補うのが探偵のドライビングテクニックです。
遠隔地での尾行技術
対象者が行動する範囲は、近隣だけとは限りません。
「◯月◯日、出張だと言っているが、怪しい。浮気相手との旅行の可能性があるので、家から空港、空港から出張先まで尾行して欲しい」と、あらかじめ予定がわかっている遠隔地尾行もあれば、突然対象者が新幹線や飛行機に乗る事態が起きることもあります。
一般的な尾行と大きく異なる点は「空港や駅に到着した後、複数の移動手段が考えられる」ということです。
- タクシー
- バス
- 電車
- 高速バス
- レンタカー
- 知人が迎えに来ている
など、様々な可能性が考えられます。
一般の尾行調査の場合、2人1組が基本です。しかし、遠隔地での尾行は、さらに色々な想定外のケースが想定されるため、3〜4人で行うことも少なくありません。
あらかじめ様々なケースを想定すること、何が起きても問題なく尾行できるように計算することも、プロの技術のひとつです。
素人の尾行はNG!プロと素人では、これだけ違う!
素人の中には「尾行=ただ後をつける」と考えている人も少なくありません。本当にそうでしょうか?
まずは、プロと素人の尾行の違いについて記載した表をご覧ください。
プロ | 素人 | |
---|---|---|
対象者の突発的な行動(立ち止まる、Uターン、振り返る)に対する対応 | 自然な態度でその場を一旦やり過ごし、再度背後に移動し尾行を続行する | 動揺し、気付かれる。一旦やりすごすものの、対象者を見失うリスクが高い |
気付かれる可能性 | 経験と実績があるため、ほぼゼロに等しい | 高い。特に顔見知りの場合、多少の変装では気付かれる |
周囲への気配り | 有。尾行のプロとして、自分や周囲の身の安全を確保することは当然 | 無。尾行にだけ意識が集中し、事故に遭う可能性もある |
法律に関する知識 | 探偵業法に基づき尾行するため、法令遵守は当然 | 法律に対する知識が乏しく、知らない間に違法行為となっている可能性有 |
通報されるリスク | 対象者に違和感を与えず尾行するため、ほぼゼロに等しい | 対象者が不安を感じたり、不審に思ったりした場合、通報される可能性大 |
尾行=後をつけるだけではないということが、ご理解いただけたのではないでしょうか。探偵の目的は単に対象者の後をつけるのではなく、証拠を獲得するために後をつけることです。
他にもある!プロの尾行の成功率が高い理由とは?
プロの尾行が成功する理由は、前述した技術だけではありません。その一部をご紹介しておきましょう。
チームを組んで動いている
一般的な探偵事務所の場合、1人で尾行をすることはありません。必ず2人以上で行うため、万が一1人が疑われたとしても、残りの1人で尾行を続けることが可能です。
行動パターン、撮影場所の下調べを行っている
尾行は、対象者を見失わずに後を追いかけるという行動だけでなく、事前準備が重要です。
対象者がどのような行動をとるのか、またどこであれば証拠として利用価値が高い写真が撮影できるのか、あらかじめ調査し計画を立てているため、尾行には成功したが写真撮影に失敗したといった事態を防ぐことができます。
盗撮と疑われるような行動はしない
尾行をした上で、写真を撮ること自体は、法律上何の問題もありません。しかし、盗撮となれば話は別です。盗撮と疑われるようなアングルからの写真は撮らない、手鏡など盗撮の疑いが生じるアイテムは持ち歩かないなど、探偵も自己防衛に努めています。
また、万が一警察から職務質問を受けた際も、きちんと身分を明かし調査中であることを伝えます。
状況に応じて、臨機応変に尾行方法を変えるのがプロ!調査を成功させたいなら、素人の尾行はNG!
プロの探偵が行う、様々な尾行方法を網羅してご説明しましたが、いかがでしたか?
プロと素人では、尾行技術と成功率に大きな違いがあります。
- 高度な技術とテクニックがある
- 事前の情報収集に力を入れ、行動パターンを予測している
- 対象者に警戒心を抱かせない
- 尾行成功ではなく証拠獲得を第一のゴールと捉えている
- 単に後を追いかければ良いと考えている
- 対象者に気付かれるリスクが高い
- 気付かれた後、逆に相手に訴えられたり不信感を抱かれたりする
- 尾行をすること自体が目的となり、証拠獲得まで気が回らない
素人が自分で、または知人に依頼し尾行するメリットは「金銭的に節約できる」という部分が大きいのではないでしょうか。しかし、いくら料金がかからないとしても、尾行に失敗したり、証拠が獲得できなかったりした場合、本末転倒です。
しかし、依頼内容や調査目的によっては尾行以外の方法や、尾行と他の調査を組み合わせることも可能です。
探偵事務所SATでは、まずは今のお悩みについてお話しいただいた後、依頼主の方の本来の目的に合わせた調査を提案いたします。合法的に依頼主の方に納得いただける証拠を見つけること、これが、探偵事務所SATが目指す解決方法です。
「もう、自分で尾行するしかない」と、一人で悩みを抱え込まず、まずは一度ご相談ください。一緒に、解決方法を見つけていきましょう。
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