【投稿日】 2022年12月15日 【最終更新日】 2023年10月10日

昨今では、商業施設だけでなく住宅地など建物全般に防犯カメラが設置されるようになっています。

防犯カメラは、存在しているだけで不審者を萎縮させるなど、その存在自体が威圧的であり、犯罪抑止の効果は高いとされています。

一方で、ニュース番組などで「防犯カメラの内容が証拠不十分とされ、容疑者が釈放……」といったことも聞かれます。

そこで今回は、防犯カメラには証拠能力があるのかどうかについて解説します。

防犯カメラの映像が証拠能力を発揮するかどうかは事件の種類により変わる

防犯カメラの映像が証拠となり得るかどうかは、民事事件と刑事事件により変わります。

民事事件においては、基本的にどのようなものにも証拠能力があるとされます。

その範囲は無制限です。つまり防犯カメラの映像も証拠能力を持ちます。

一方で、刑事事件においては、証拠として利用できるかどうか(証拠として利用して問題ないかどうか)を裁判所側に認められなければ、物品を証拠として扱うことができません。

そのため、防犯カメラの映像を証拠として使いたい時は、検察側・被告側両方とも事前に防犯カメラの映像を証拠として利用する許可を得ておく必要があります。

「証拠」としての防犯カメラの能力とは?証拠不十分とならないためには?

防犯カメラが証拠能力を発揮するのは、撮影した映像データの内容によります。

それは刑事事件においては、犯人特定が重要であるためです。

防犯カメラの撮影データにおいて、犯人であるとされる人間の像が鮮明かどうかが証拠能力の決めてとなります。

もし仮に、第三者に暴力行為をした人間の様子が撮影されていても、その顔が鮮明でない場合、証拠品として不十分とされることがあります。

例えば防犯カメラの映像を被告本人であるとして裁判の証拠品として提出しても、防犯カメラの映像だけでは100%間違いなく本人であるとまでは断定されないことが多いのです。

カメラを頼りに捜査機関が起訴した相手が結局別人であるという結果となり、裁判で無罪となったケースも数多くあります。

このため、犯人特定の証拠品として防犯カメラの映像を利用する場合は、証拠不十分とならないために他の証拠と合わせて使うことが一般的です。

現在の日本では、刑事ドラマのような監視カメラ映像の鮮明化技術は実現されておらず、映像撮影媒体としてのカメラはまだ技術発展の途中といえます。

もしある場所で事件が起きた時、警察は事件が起きたエリア周辺の防犯カメラを探すほどに、初動捜査の証拠として防犯カメラを重視しています。

防犯カメラ映像の証拠能力が低い理由

裁判においては、証拠品が示す事柄を事実として認められるかどうかが鍵となります。

証拠品が示す事柄が事実となるかどうかについては「証明力」や「証拠力」という言葉で表されることがあります。

証明力が高い証拠品であれば、その証拠が示す事柄が事実として認められる可能性が高くなり、証拠として決定的なものとなるのです。

つまり、仮に防犯カメラが「事件が起きた現場」を撮影できていたとしても、撮影者やその防犯カメラを証拠品として持ち出した者の主観だけでは決定的な証拠とはならないということです。

防犯カメラの映像を証拠とするためには、裁判においてその証拠が示す内容を事実として認められる必要があります。

防犯カメラの映像が、裁判官を納得させるに足る内容でないと判断されてしまえば証拠としての能力を欠き、事実としては認められない結果になります。

防犯カメラ映像をお証拠としての価値を高めるためのポイント

防犯カメラは、設置するだけで犯罪抑止の効果はあるとされていますが、万が一トラブルが起きてしまい、裁判沙汰となってしまった場合には、これまで解説したように証明力、つまり証拠としての価値の高さが必要となります。

防犯カメラ映像を証拠としての価値を高めるために心がけたいポイントは以下の4つです。

【ポイント1】データをきちんと保管しよう

防犯カメラは、24時間稼働し続けて資格範囲を撮影します。

撮影された映像はデータとして残ります。

すると、必然的に映像データ量が膨れ上がっていくことになるでしょう。

この場合、万が一事件などに巻き込まれても、撮影した映像のデータを上手に管理していない場合、当時のデータをすぐさまピックアップすることが難しくなってしまいます。

このため、データをしっかりと残し、当該データがいつのデータなのかが常に把握できている状態であることが防犯カメラ映像の証明力を高めるために求められます。

過去のデータだからといって削除してしまうシステムなどにはせず、保存ハードディスクが容量の限界をむかえてしまわないように、バックアップ体制にも気を配ることが必要です。

【ポイント2】高い映像品質が維持できるカメラを採用する

防犯カメラの映像において、証拠能力を高めるためには、カメラに写った不審者を特定できるようになることが必要です。

防犯カメラで、いつでも鮮明な映像が撮影できていれば人物の特定がスムーズにでき、映像の証拠力が高まります。

そのため、防犯カメラを設置する段階で画質の良い撮影ができる商品を選びましょう。

【ポイント3】撮影だけでなく音声も保存できるカメラを採用する

もし証拠として映像を使うことになった場合、映像が不鮮明ながら音声が入っていれば個人が特定しやすくなることもあります。

あるいは、カメラが撮影できていない場所で起きたことも音声でわかることがあるでしょう。

【ポイント4】設置箇所に注意

防犯カメラは設置するだけでそれ自体が犯罪抑止効果を持ちます。

防犯カメラを設置していることがすぐわかれば、不審者を威圧して犯罪行為を萎縮させられます。

このため、わかりやすい位置に防犯カメラを設置することに効果があります。

さらには、防犯カメラを設置しているという旨のステッカーなどを周囲に貼り付けることでも同じ効果が得られます。

あるいは、防犯カメラの証拠能力を高めたい場合には「撮影範囲から死角をなくす」ことも効果があります。

それはせっかく何らかの事件が発生した時間に防犯カメラが動作していたものの、ちょうど撮影範囲外となってしまった場合、前述のように音声録音といったオプションがなければ証拠力が下がってしまいます。

このため、360度撮影可能カメラを採用したり、重要そうな場所に複数台のカメラを設置するといった工夫が必要です。

証拠として防犯カメラの映像を使うには証拠能力・証明力が必要!証拠不十分とされないために証拠品を組み合わせて利用しよう

今回は、「防犯カメラにはどれほどの証拠能力があるのかどうか」について解説しました。

前章までを踏まえて、特に刑事事件において防犯カメラの映像を証拠能力の高い「事実を証明するための証拠品」として利用するためには、防犯カメラの映像が以下の能力を持ち得るべきです。

  • 裁判において証拠として使用できる能力(証拠能力)
  • 証拠によって事実が証明できるほどの能力(証明力・証拠力)

民事事件では無制限に証拠能力が認められるため、民事裁判において防犯カメラの映像を利用するハードルは低いといえます。

刑事事件の場合は、上記に示した通り防犯カメラの映像を証拠として裁判において使うことが問題ないことを認めてもらってから利用することになります。

裁判において防犯カメラの映像を利用することを認めてもらうためには、証拠としての防犯カメラの映像が事実を証明できなければなりません。

証拠不十分とならないためには「他の証拠品」と合わせて証拠品としての価値を発揮させるという方法を取るべきです。

事実だと認められるほどの証明力を持ち合わせた防犯カメラによる映像を使い、さらに他の証拠品と組み合わせて、映像を証拠品として利用することが問題ないと裁判所が認定すれば、防犯カメラの映像は高い証拠能力を持ち合わせたことになるのです。

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この記事で解説した通り、防犯カメラは画質などが悪く、証拠能力は低いと言えます。どちらかと言えば、犯罪の抑止力としての役割が大きいと言えます。

もし、証拠としてきちんと使える映像・音声の収集を行いたい場合には、高精度な画質と音声を取得できる隠しカメラの利用がおすすめです。

探偵事務所SATでは、犯罪行為や問題行為などの証拠として有効な映像・音声の収集をサポートしております。

場合によっては、建物管理者の許可を取り、探偵業法に基づき隠しカメラを設置して証拠用の映像と音声を取得することが可能です。

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