【投稿日】 2023年1月9日 【最終更新日】 2023年1月19日

債権回収や裁判、訴訟などを行っている際に、証拠がなくて次のステップに進めずにいる、という方も少なくありません。

もう少ししっかりとした証拠があれば…やもっとたくさん証拠を集められれば勝訴できるのに…ということもあるでしょう。

そんなときに役立つのが「弁護士会照会制度」というものになります。

この制度を利用することで重要な証拠を集められる可能性があり、その情報源も弁護士が各機関に照合するという方法なので間違いのない情報となります。

では、実際に弁護士会照会制度とはどんなもので、どんな手続き、費用が必要になるのでしょうか。

今回は、弁護士会照会制度について詳しく解説いたします。

弁護士会照会制度とは?

弁護士会照会というのは、「日本弁護士連合会」という法人が、役所や企業、医療機関などに対して必要な情報を照合し、調査するという制度になります。

これは弁護士法23条2に基づくものとして行われるため、違法ではありません。

(報告の請求)

第二十三条の二  弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

2 弁護士会は、前項の規定による申出に基づき、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

弁護士が案件を受け、裁判に必要な情報であり、事実を証明するのに必要だと判断した場合に弁護士会へ申請するものになります。

申請を受けた弁護士会はその内容を審議し、情報照会が必要であると判断して該当の機関に照会をかけます。

弁護士会照会は、弁護士が受け持つ案件を円滑に進めるために必要です。

この制度を利用することで事実を証明できる手段が増えたといってもいいでしょう。

弁護士会照会を使うことで、効率よく信憑性の高い情報を得られるという利点もあります。

弁護士会照会制度でわかること

弁護士会照会を使うことにより、様々な情報を得ることができます。

しかし、個人情報に関わる部分が多くなる為、全てが開示されるわけではありません。

しかし、弁護士会照会制度では以下のような情報を得ることが可能です。

①携帯の電話番号

携帯電話の電話番号を携帯会社に照会することができます。

これにより、情報が必要であると判断された場合には引き落としの口座やその口座番号、クレジットカードなども紹介することが可能です。

②住所・氏名・銀行口座

相手の固定電話の番号がわかっている場合には、電話会社に照会をかけることで住所や氏名、引き落とし口座、契約年月日、契約年数、契約者などがわかります。

しかし、個人情報が多くなる為、照会の際には細かい理由の明記なども必要になることを念頭に置いておいてください。

③病名・症状・該当部位・通院期間

事故や病気などによる損害賠償などの請求が生じた場合、その人の病名や症状、該当部位、後遺症、通院していた期間などを照会できます。

医療機関が回答を拒否した場合には情報を得られないこともあるので、その点は認識しておきましょう。

④実況見分調書

交通事故などで損害賠償請求などが生じた場合も、検察庁に対して実況見分調書についての照会を行うことができます。

⑤銀行預金の有無・取引履歴

銀行や郵便局などの金融機関に照会することで対象者の銀行預金がどのくらいあるのか、過去の取引はどのようなものが行われていたのかを調べることができます。

ただし、金融機関が顧客情報を第三者に渡すことを拒んだり、裁判などに巻き込まれたくないと判断した場合には情報を渡してもらえない場合もありますので注意が必要です。

⑥保有している株式やその株式数

遺産分割などの場合、証券会社に対して対象者がどのような株式を保有しているか、どのくらいの数を保有しているのか、配当金はどのくらいなのかといった内容を照会することができます。

どこの証券会社で株券を購入しているかわからない場合、やみくもに照会してしまうと会社側から回答を拒否されることもあります。

⑦生命保険・その他保険の契約

保険会社に対して、生命保険などの内容や契約詳細、保険契約自体の有無などを調べることができます。

保険契約の内容としては、契約日、契約期間、種類、保険金額、受取人などがあげられます。

⑧出入国記録

法務省入国管理局に対して、事件当時に対象者がどこにいたかを証明したいとき、出国・入国の年月日や利用した航空便、渡航歴などを照会することができます。

⑨日本に在住している外国人の住所

国籍が違う人を対象としているとき、法務省入国管理局に対して住所や氏名、外国人登録番号、国籍、いつ日本に来たのかなどを照会できます。

⑩店舗の営業者

飲食店などの店舗を対象としているとき、トラブルが発生してから営業者を保健所などの管轄団体に照会することができます。

照会できる内容としては、営業者や代表者氏名、許可番号などを特定することが可能です。

⑪服役している場所・収容年月日

対象者が何らかの犯罪を犯して刑務所に収容されていた場合には、該当する刑務所名や収容年月日などを照会することができます。

弁護士会照会制度の手続きの流れ

弁護士会照会は、裁判や訴訟に重要な情報が手に入る可能性が高い制度ですが、誰でも行えるわけではありません。

利用にあたってどのような制約条件があるのか、どのような手続きを踏めば利用ができるのかを見ていきましょう。

具体的には弁護士会照会制度は次のような手順で利用するのが一般的です。

STEP1:弁護士に依頼する

個人が弁護士会照会を利用したいと思っても、一個人が行うことは出来ません。まずは弁護士に相談し、その内容を案件として依頼しましょう。

STEP2:弁護士が弁護士会へ「照会申出書」を提出する

案件を受けた弁護士が、その内容や状況を相談者と話し合いながら「知りたい情報」とその理由、利用目的をまとめた「照会申出書」を作成します。

この理由や利用目的が具体的でないと、弁護士会で審査に通らないことがあります。

できるだけ詳しく状況を整理しておきましょう。

そして、まとめた内容を弁護士が弁護士会へ提出します。

STEP3:照会申出書の内容を弁護士会で審査する

提出された照会申出書の内容を元に、弁護士会の方でその情報が本当に裁判などに必要か、不正が行われる心配はないか、事実を証明するのに適しているのかなどを審査します。

STEP4:審査が通った場合、照会を行う

弁護士会で審査が通った場合、弁護士会から照会元の企業や役所などに対して「照会書」を作成して送ります。

あとは、照会元からの回答を待ちます。

STEP5:照会先から弁護士会へ回答が送られてくる

照会書を受け取った照会先はその内容を精査して回答を弁護士会に送ります。

弁護士会から送られてきた照会書の中に回答用紙がある場合にはその用紙に記入して送られてきますが、照会先が自作する場合もあります。

書類の形式は決まっていないので、どのような形で送られてくるかは照会先次第です。

書類内に、「弁護士会照会に対する回答であること」「宛先」「回答者氏名」「日付」の明記がされているかどうかの確認も必要です。

預金通帳などの内容を回答とする場合、現物や文書の回答が難しいのでコピーなどで代用も可能になります。

必要のない情報などが記載されている場合、照会元が黒塗りで伏せることも可能です。

STEP6:弁護士会から回答が送られてくる

相談者・弁護士の手元にその回答が送られてきます。

その情報を元に、事実の証明を行っていくという形になります。

弁護士会照会制度の費用は?

弁護士会照会を利用する時には、利用料の支払いが必要です。

1件につき、大体8000円~10,000程度の費用が掛かると考えておいてください。

しかし、各弁護士会で制度が異なり、制度変更も定期的に行われるため、金額に変動があることも覚えておきましょう。

国選事件及び法律扶助事件についての照会を行う場合、照会手続手数料が免除される制度もあることを知っておくと便利でしょう。

国選事件や法律扶助事件に関する照会手続の申出手数料税込7350円が、通常の申請書類と合わせて所定の免除申請書、疎明資料、簡易書留往復分の郵券を提出することで免除されるという仕組みです。

弁護士会照会制度を利用するときの注意点

弁護士会照会制度を利用する際には、いくつか留意しておきたい注意点があります。

具体的には、審査に認められないと照会できない事や、開示されない内容があること、情報の使いまわしは出来ないという3点になります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

注意点1:審査に認められないと照会できない

申請をした内容が全て通るわけではありません。

弁護士会照会を行った内容が申出書の様式に沿っているか、事実の証明に本当に必要なものであるのか、弁護士会照会を利用するのに値するほどの事情であるのかなどを弁護士会で審議されます。

この審査を通過し、必要な情報であると判断されたものだけが各機関に対して照会を行うことができます。

この審査は厳格なものになる為、申出書を作成する段階でかなり具体的に内容を精査し、しっかりとした申出書を制作する必要があります。

弁護士の方と相談しながら、審査に通りやすいように文書を作成しましょう。

注意点2:個人情報保護により開示されない内容もある

照会を受けた各機関が、本人に無断で開示する内容としてふさわしくないと判断した場合や、機関が開示しないと判断した場合には、望んだ回答を得られないこともあります。

基本的には個人情報保護の観点から勝手に内容を開示するのは違法行為だとされますが、弁護士会照会制度にあたる弁護士法23条により、例外的に本人の同意なしでも第三者に情報提供が可能となります。

そのため、ほとんどの機関は回答できるものになりますが、機関自体がプライバシー保護を徹底している場合には拒否されることもあると念頭に置きましょう。

拒否された場合、強制的に回答を求めることは出来ませんので注意して下さい。

注意点3:弁護士会照会で得た情報は使いまわせない

弁護士会照会で得た情報は、そのとき申請した内容・目的以外の利用を固く禁止されています。

他の目的で利用した場合には、弁護士が懲戒処分になる可能性が高くなります。

そのような処分が下される理由としては、個人情報保護の観点と、守秘義務が生じているためです。

情報を受け取った相談者も、その内容をむやみに人に漏らすと個人情報保護法にひっかかりますので、情報の悪用は厳禁です。

弁護士会照会制度を使って有効な情報を入手!

弁護士会照会制度とは、相手の情報が一部分しかわからない状況や、民事訴訟などを行う場合に活用できる制度です。

相手の住所や氏名、銀行口座、携帯番号などを合法で開示できるものになります。上手く活用することで事実の証拠として使用したり、トラブル解決の糸口になったりするので、積極的に活用しましょう。

しかし、情報がすべて開示されるわけではありません。弁護士会での厳正な審査を経て、回答を貰うことになるので、それなりの時間と費用が掛かることも頭に入れておきましょう。

効率的に情報源がしっかりしている証拠を手に入れたいときに活用したい弁護士会照会制度。

個人で照会することができない範囲までカバーしてくれるこの制度は必ず弁護士に相談して利用しましょう。

トラブルが発生した時、弁護士会照会制度だけではなく、訴訟の進め方やどんな戦術で相手と戦うかは専門の弁護士に相談するのが一番です。

困ったことやわからないことがあったら、近くの弁護士事務所で相談してみましょう。

弁護士会照会制度では分からない、より具体的な証拠や情報を調査するなら探偵事務所SATまで!

弁護士会照会制度は、あくまで金融機関や医療機関、など関係各所に照会をかけるという方法で調査が行われます。

裁判や訴訟などで有効な証拠や、情報を収集する有効な手段の1つではありますが、制度を利用したとしても十分な証拠や情報が集まらないことがあります。

そんな時に、検討すべきが探偵事務所です。

探偵事務所SATでは、裁判や訴訟、債権回収などに有効な証拠や情報の調査を承っております。

探偵事務所SATでは、探偵業法に基づくあらゆる調査手法を用いて、対象を調査いたします。

状況証拠(隠しカメラによる証拠映像・音声、行動、交友関係などの証拠画像など)や、隠し財産の存在、など弁護士照会制度のように関係各所への照会ではなかなか掴めないような情報なども含め、調査が可能です。

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