【投稿日】 2018年3月20日 【最終更新日】 2021年10月21日
探偵に調査を依頼するためには、お金が必要です。また、見ず知らずの人に、トラブルの内容を詳しく話すことになります。
そのため
- 金銭的に余裕がないため、知人に依頼することで調査費を安くしたい
- どの探偵を選べばよいかよくわからず、依頼することに不安がある
- 警察OBの知人がいるので、調査力には問題がなさそう
- 知っている人の方が頼みやすい
といった理由から、「知人に調査を依頼しよう」と考える人も存在します
また逆に、友人・知人から相談を受け「自分が調査を引き受けて、問題を解決しよう」と思われた人もいらっしゃることでしょう。
困っている友人・知人の力になりたいとの思いは、素晴らしいものです。
しかし、探偵ではない一般人に調査を依頼することで様々な問題が発生し、時には違法行為として罰せられる可能性があることをご存知でしょうか。
ここでは、知人への調査依頼が違法となる理由や、探偵業法の内容について詳しくご説明します。
知人への調査依頼は、違法となる可能性大!
結論から言いますと、一般人である知人に調査を依頼した場合、違法となる可能性が大変高いです。
その理由のひとつに、2007年に施行された「探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)」があります。
正式に探偵業を営む許可を得るためには、届け出を出さなければいけません。つまり、無届けで探偵の業務を行うこと自体、現在は違法行為となっています。
「ちょっと、旦那の後をつけてもらうだけだから、調査というほど大げさなことではない」といった言い訳は通用しません。
探偵業法の内容をチェック
探偵業法では、探偵業務を「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」と定めています。
つまり、届け出をしない状態で聞き込みや張り込み、尾行を行うことは、違法行為と言えます。
無届け営業の罰則とは?
届け出を行わずに営業を行った場合、また、探偵から名義を借りた場合や、実際には届け出を行っていないにもかかわらず、届け出たように見せかけるなど偽りの記載を行った場合、それぞれ罰が課せられます。
罰則の内容 | |
---|---|
無届け営業 | 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
名義貸し | 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金(名義を貸した側) |
虚偽記載 | 30万円以下の罰金 |
調査を依頼し、料金を支払った場合、たとえその金額が少額であったとしても知人は「探偵業」の営業を無届けで行ったとみなされます。
また、もし知人の知人・友人に、実際に探偵業を営む人物がいたとしても、名義を借りることで、今度は貸した側が罪に問われます。
一般人が知らない「探偵業法違反」となるケース
それでは、次に探偵業法違反となるケースについて見ておきましょう。
現在、探偵事務所の看板を掲げているところであっても、探偵業法に違反しているところも、少なくありません。
探偵業法を少し知っておくことで、実際に探偵に依頼する際に、良い探偵事務所を選ぶひとつの基準となります。
よくある違反ケースをご説明します。
・無届け営業
営業開始の届け出を行わず、探偵業を営むことは禁じられています。
・欠格事由のある者が代表者として業務を行っている
破産者や暴力団員、禁固以上の刑または探偵業法違反の刑を受けてから、5年以内の人物など、探偵業務を営む資格がない人物が、代表者として探偵業を行うことは禁止です。
・名義貸し行為
届け出た探偵業の看板を、第三者に貸すことは禁じられています。
・犯罪への加担や差別調査
依頼内容がストーカー等の犯罪に関するものや差別に関するものであれば、調査を中止しなければいけません。
・守秘義務違反
調査中に知った情報は、依頼主の許可なく第三者に伝えてはいけません。
・重要事項説明義務違反
探偵業を営む者は、契約を結ぶ前に依頼主に重要事項に関する情報をわかりやすく丁寧に伝える義務があります。費用や契約解除の方法、個人情報の取り扱いなどが含まれます。
・他人の生活の平穏を乱す行為
張り込みや聞き込み、尾行は、探偵業法において認められた行為です。しかし、どのような方法をとっても構わないというわけではありません。
「調査対象者が尾行に気付き、恐怖を与えてしまった」「張り込みを行なっている間、近所の人に不審者と思われ通報された」といった事態が起きると、違反行為とみなされます。
素人の調査がおすすめできない6つの理由
金銭のやり取りが発生した場合「探偵業」とみなされます。つまり、厳密に言いますと無償ボランティアである以上、探偵業法違反とはなりません。
しかし、仮に違法・違反ではないとしても、素人の調査は失敗する可能性が高く、リスクが大きいため、おすすめできません。
次に、素人の具体的な失敗事例について見ていきましょう。
調査の失敗
素人は、そもそも調査自体に慣れていません。尾行や張り込みも、見よう見まねで行うため、失敗する確率が高いです。また、対象者に気付かれてしまう、見失ってしまう、撮影したつもりが撮れていないなどの失敗事例が考えられます。
また、一度調査に失敗したからとその後探偵に依頼したとしましょう。その場合、相手の警戒心は通常より高くなっています。その結果、最初から探偵に頼んだ場合以上に、調査費用が高額となる可能性が高いです。
人間関係の悪化
調査が上手くいかなかった場合、おそらくあなたは知人を責めることでしょう。また「浮気はしていないようだ」「問題のない人物である」といった、望んでいない結果を伝えられた場合も「本当に調査をしたのか」「相手に言いくるめられたのではないか」など、疑心暗鬼になる可能性が高いです。
また、仮に調査に成功したとしても「重大な秘密を話してしまった」「知人が他の人に言いふらさないか」など、新たな悩みを抱えることになります。
機材の性能が悪い
素人とプロでは、用意できる機材のレベルがあきらかに違います。携帯電話のカメラは言うまでもなく、一般の人が使用しているカメラでは、深夜や雨の日に、対象者の顔をはっきり写すことは難しいでしょう。
いくら現場を押さえたとしても、ブレ・ピンボケの写真では、証拠として認められません。
合法と違法の線引きがわかっていないため、トラブルになりやすい
プロと素人では、法律に関する知識量が全く違います。
例えば、尾行や張り込み自体は違法行為ではありません。しかし、その行為自体に問題はないとしても、度を過ぎている、悪意があると判断される場合や、知らないうちに他の犯罪行為に手を染めている可能性があるという点が、素人の怖さです。
- 尾行や張り込みを行うため、敷地内に無断で入り「住居侵入罪」になった
- 尾行中に対象者が気付き、恐怖を感じ、警察に駆け込んだため「ストーカー」として書類送検された
- 浮気相手が住むマンション住民にしつこく個人情報を尋ね「個人情報保護違反」となった
など、素人が知らずに違法行為を行ってしまった事例もあります。
調査後の対応方法がわからない
調査を終え、証拠を獲得したとしても、それで終わりではありません。証拠をもとに、どう動くのか、誰に依頼すべきか、また、依頼主の精神疲労が強いためカウンセリングを行うべきかなどといった内容は、素人には判断できません。
「探偵=証拠を見つけることが仕事」と思われがちですが、実際には証拠を獲得した後、依頼主が希望する未来に向かう道筋をつくるところまでが仕事です。
トラブルになった場合の責任問題
調査中に何かしらのトラブルに巻き込まれた場合、知人が責任をとることになります。依頼する際には、そのような事態になることを想定しないことが多いため、後々問題になりがちです。
一方、探偵に依頼した場合は、全ての責任は探偵がとるためトラブルになりにくいといったメリットがあります。また、探偵はプロですから、トラブルを防ぐための知識や技術にも長けているため、安心できるでしょう。
知人への調査依頼は、違法行為や失敗などのリスク有!
知人への調査依頼は
- 違法行為となる可能性が高い
- 調査失敗に伴うリスクが大きい
ということが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
探偵は調査のプロですが、知人はあくまで素人です。しかし、調査を行う以上「法律を知らなかった」「トラブルが起こると思っていなかった」などの言い訳は、通用しません。
調査失敗だけでなく、大切な友人・知人を失ってしまうことがないよう、調査依頼は探偵に行うことをおすすめします。
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