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不動産売買の際に買主側が踏まえておくべきデューデリジェンスのポイント
【投稿日】2021年12月3日
投資家などが不動産を購入する際に、買主側が購入対象物件の調査を行うことを「デューデリジェンス」または「不動産デューデリジェンス」と言います。
この記事では、この不動産売買の際に行われる「デューデリジェンス」の調査ポイントについて詳しく説明していきます。
そもそも不動産DD(デューデリジェンス)とは?
不動産DD(デューデリジェンス)とは、投資家が不動産を購入する前に行う「投資リスク回避のための調査」のことです。
「デューデリジェンス(Due Diligence)」は「当然なされるべき努力」と訳されるように、投資をする際に買主側が当然行うべき調査と考えられ、「DD」や「デューディリ」、「デューデリ」と略されることもあります。
不動産投資において、投資対象の不動産が中古物件の場合は、その不動産に何らかの瑕疵(欠陥)が存在する可能性がありますので、その中古物件に関するいろいろな情報を収集・調査して多角的に分析し、投資物件としてのリスクやリターンを詳細に把握するために行います。
新築物件であれば、売主側に契約不適合責任があるため、購入後に瑕疵が見つかった場合には、買主側が売主側に対して修理費や損害賠償等を請求したり、場合によっては取引自体を無効にすることも可能となっています。
しかし、中古物件の場合は、特約で契約不適合責任が免除されているケースが多いため、購入後に瑕疵が見つかってトラブルになることがあり、これらの不動産投資リスクを回避するために、買主側の自己負担による自主的な調査を行うケースが増えているのです。
なぜ不動産DD(デューデリジェンス)が重要なの?
不動産投資の対象となる中古物件には、何らかのリスクが潜んでいることが考えられますので、物件の価値を正しく把握するために、不動産取得前の不動産DD(デューデリジェンス)が重要となります。
不動産売買の際には、一般的に売主側が提示する「重要事項説明書」で物件の内容を確認することが慣習ですが、その情報だけでは物件のリスクを見極めることはできません。
そこで、買主側である投資家が、自己負担で独自に詳細な情報収集や調査を行うのです。
この不動産DD(デューデリジェンス)を行うことによって、リスクを考慮した物件の価値が明確になりますので、正確な情報をもとにした値下げ交渉ができるようになります。
また、リスクが非常に大きい事が判明した場合は、物件の購入自体を中止するという判断になる場合もあります。
不動産DD(デューデリジェンス)で検討される主なポイント
不動産DD(デューデリジェンス)では、一般的に3つの側面について調査を行います。
それぞれの側面については、さらに細かく次のような調査が行われます。
経済的側面 | ・不動産市場の調査分析(立地条件、地域特性) ・不動産経営調査(入居者・テナント、入居率、賃料推移、売却見込み価格) ・投資採算性に基づくリスク分析 |
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法的側面 | ・権利関係調査 ・賃貸契約調査 ・占有関係調査 ・売買契約書調査 ・訴訟関係調査 |
物理的側面 | ・土地調査(立地状況) ・建物調査(管理状況、遵法性、修繕履歴、劣化診断、耐震性) ・環境調査(土壌汚染、アスベスト・PCB等の調査) ・将来の修繕更新費用の試算 |
以下に、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
ポイント1:経済的側面
土地や建物などの購入物件の現在の価値を客観的に算出し、物件の経済的価値を把握するために行います。
具体的には、不動産市場の動向調査や分析、立地条件や地域特性の調査、入居者やテナントの調査、不動産経営調査(入居率や賃料の推移)、将来の売却時の見込み価格の算出などを行います。
立地条件や地域特性は、入居率や賃料の根拠となる重要な調査項目で、将来に向けて物件の周辺の利便性向上が期待できれば入居率が高くなり、収益性が上がることが推測できます。
入居者やテナントについては、入居目的、信用情報、支払い状況等まで調査することもあります。
これらの調査結果をもとに、投資採算性という観点からリスク分析を行い、物件購入のために必要な初期投資の適正価格が算定されます。
このような不動産業者ではなかなか把握できない物件に係る経済的側面については、公認会計士や不動産鑑定士などに調査してもらう必要があります。
ポイント2:法的側面
不動産の売買においては、土地や建物などの所有権、借地権などが不明確になっていたり、抵当権が設定されている場合がありますので、対象物件の権利関係を明確にする必要があります。
具体的には、売主が対象物件を売却する権利を有しているかどうか、対象物件に関する信託契約や借地契約などの内容、入居者やテナントとの賃貸借契約の内容などについて詳細に調査を行います。
また、建築基準法や消防法などの関連法令に則って建築されているのか、境界関係に問題はないか、訴訟・紛争などの履歴はないかなどについて調査しておく必要もあります。
このような購入物件に関する法的なリスクを避けるために、弁護士や不動産鑑定士などの法律の専門家に調査してもらう必要があります。
ポイント3:物理的側面
物理的側面は、不動産DD(デューデリジェンス)のなかで最も重要なもので、対象物件の立地状況、建物の管理状況・遵法性・建築物や設備の修繕履歴・劣化状況・耐震性、環境調査として土壌汚染・有害物含有状況(アスベスト、PCB等)などについて調査を行います。
不動産については外見からだけでは瑕疵の有無や程度を判断することができませんので専門知識を持つ建築士や不動産鑑定士、土地家屋調査士、または専門会社に調査してもらいます。
エンジニアリングレポート
物理的側面に関する調査結果をまとめたものを「エンジニアリングレポート(ER)」と言い、投資方針を決定するための重要な資料となります。
エンジニアリングレポートには、物理的側面の調査結果や分析結果のほか、再調達価格、将来の修繕更新費用、地震による損失額などを含めることが一般的です。
不動産DD(デューデリジェンス)はどこに依頼すべき?
不動産DD(デューデリジェンス)は、専門知識を有する公認会計士や弁護士、建築士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などに委託して行います。
弁護士には、不動産の権利関係に関するDD(デューデリジェンス)を依頼します。
また、不動産の価値や老朽化に関しては、建築士や不動産鑑定士、土地家屋調査士に依頼して行います。
その他必要に応じて、不動産投資顧問会社、公認会計士、司法書士、行政書士などさまざまな専門家に依頼することもあります。
探偵にも協力を依頼すると、より不動産の過去~現在までの実態、所有者の実態が明確になり、リスク回避につながる!
これまで紹介してきたように、不動産DD(デューデリジェンス)を行うことによって、対象中古物件の現状における経済的側面、法的側面、物理的側面を明らかにすることができます。
しかし、その不動産の過去から現在までの実態、特にどのような入居者がいたのか、近隣ではどのような評価を受けているのかなどまでを知ることは困難です。
同様に、その中古物件の所有者の実態についても詳細に調査することはできません。
投資目的で購入する物件ですから、何らかのリスクを持つ入居者がいたり、所有者の過去に何らかの問題があったりして、購入後に判明して損害を被ることになっては困ります。
このようなことから、不動産DD(デューデリジェンス)を行う際には、探偵会社にも協力を依頼することによって、不動産の過去~現在までの実態や所有者の実態がより明確になって、リスク回避につながると考えられます。
これからの不動産売買には、不動産鑑定・重要事項説明だけではなく、不動産DD(デューデリジェンス)も重要になる!
記事中でも触れましたが、従来不動産売買の際の慣習として、売主側が提示する不動産鑑定や重要事項説明で対象物件の内容を確認するということが行われてきました。
しかし、不動産鑑定や重要事項説明に記載された情報だけでは物件のリスクを正確に見極めることは不可能です。
このように、不動産売買の際には、不動産に関する情報に関して買主側が不利な状況に置かれており、この不利な状況を改善するための手段の一つが不動産DD(デューデリジェンス)だということができます。
今後の不動産売買においては、不動産DD(デューデリジェンス)が非常に重要になると考えられます。
不動産DD(デューデリジェンス)を行った方がいいチェックポイント
・現金で不動産が購入されている。
・銀行の融資、借受した形跡がない。
・女性名義になっている。
上記に当てはまる場合は、不動産DD(デューデリジェンス)を行った方がトラブルを回避できる確率が上がります。
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