【投稿日】 2021年7月31日 【最終更新日】 2022年10月27日

日本は世界一の長寿国となり多くの人が健康長寿を楽しんでいる一方で、さまざまな高齢化社会の問題も明らかになってきています。

その一つとして、認知症の高齢者の増加とそれに伴う、徘徊や失踪の問題があります。

この記事では、認知症の高齢者の徘徊の現状、原因と対応方法、予防方法などについて詳しく説明します。

認知症で徘徊する高齢者の人数は増加傾向

2020年7月に警察庁生活安全局生活安全企画課が発表した資料によると、2019年の行方不明者の届出受理数は86,933人で、そのうち認知症によって行方不明となった方は17,479人で、行方不明者全員の中に占める比率は20.1%にも上っていることが分かりました。

行方不明となった17,479人のうち所在が判明した人は16,227人で、所在確認までにかかった日数は当日が11,905人、2~7日が4,205人となっており、99.3%が1週間以内に発見されています。

行方不明者を世代別にみると、50代が131人、60代が1,353人、70代が6,577人、80代が8,857人で、年代が上がるほど行方不明者は増加しており、70代と80代で行方不明者の90%を占めています。

同じ資料には2015年から2019年までの行方不明者の推移も記載されていますが、認知症によって行方不明となった方は、人数・比率ともに増加傾向にあることが分かりました。

この5年間で認知症による行方不明者は5,000人以上も増えており、増加率は43%にも達しています。

人数(人) 比率(%)
2015年 12,208 14.9
2016年 15,432 18.2
2017年 15,863 18.7
2018年 16,927 19.2
2019年 17,479 20.1

認知症の高齢者が徘徊してしまう原因

認知症の高齢者が徘徊してしまう原因として考えられるのは、中核症状である「記憶障害」と「見当識障害」に、不安やあせりなどの心理的要因が重なることだと言われています。

「記憶障害」とは、認知症の早期に発症する症状で、普通のもの忘れと違う点は経験したこと自体を忘れているためヒントやきっかけがあっても思い出すことができないことです。

「見当識障害」は、時間や場所、周囲の人などを認識する機能に障害が生じることで、今日がいつなのか、今自分がいる場所、今一緒にいる人は誰かということがわからなくなってしまうことです。

このような認知症の中核症状の進行による不安やあせり、環境の変化などによるストレスが引き金となって徘徊につながると考えられています。

行方不明から1日経過すると死亡率が3割以上も上昇するので、一刻も早い対応が重要

前述のように、認知症による行方不明者のうち99.3%は1週間以内に所在が明らかとなっています。

しかし、行方不明から1日経過すると行方不明者の死亡率が約37%も上昇することがわかっていますので、一刻も早く対応して早く発見することがとても重要です。

特に、認知症の高齢者の場合は、記憶障害や見当識障害で意識が錯乱して不慮の事故に巻き込まれてしまう可能性も十分にあり得るからです。

対応1:町内会や老人クラブ、ご近所への呼びかけを行う

高齢者の中には町内会の役員を務めたり、老人クラブで活躍していた経験を持っている方がいるかも知れません。

認知症の高齢者は、その方にゆかりのある場所に行こうとして迷ってしまって行方不明になるケースが多いと言われていますので、その方が居住している地域や以前居住していた地域の町内会や老人クラブ、ご近所への呼びかけを行いましょう。

対応2:警察署へ捜索依頼をする

警察では、認知症の高齢者が行方不明になった際は、緊急性が高いと判断して捜索をします。

警察へ捜索依頼をする際は、「行方不明者届」を提出する必要があり、行方不明者届を出すことができるのは、次のような方で第三者は出すことができません。

  • 親権者、配偶者、後見人など親族や監護者
  • 行方不明者の福祉に関する事務従事者
  • 同居者、雇主、その他行方不明者と社会生活において密接な関係をもつ者

行方不明者届は、次のいずれかの警察署に提出します。

  • 行方不明者の住所を管轄する警察署
  • 行方不明者が行方不明になった場所を管轄する警察署
  • 届出者の住所を管轄する警察署

また、行方不明者届を出す際に必要と考えられる情報類には次のようなものがあります。

  • 行方不明者の氏名、生年月日、職業、住所、本籍など
  • 行方不明者の身体の特徴(身長、体格、髪型、血液型など)
  • 行方不明者の服装、所持品など
  • 行方不明となった日時、場所、原因動機など
  • 行方不明者の写真
  • 行方不明者の発見のために参考になる情報など
  • 届出者の印鑑と身分証明書(運転免許証など)

対応3:地域包括支援センターへの連絡する

認知症の高齢者が行方不明になった場合は、地域包括支援センターにも連絡しましょう。

これによって、各都道府県の福祉保健局などでも情報共有が行われますので、行方不明者の情報が公開され、市民などからの情報提供も期待できるようになります。

なお、地域包括支援センターのほか、担当ケアマネジャーや利用している介護サービス事業所にも連絡してください。

対応4:依頼主も迅速に捜索を行う

警察や地域包括支援センターなどに連絡をしたら、依頼主も迅速に捜索を行ってください。

捜索する場所は、その高齢者が行方不明となった場所や過去に何らかの関わりを持っていた場所から始めた方が良いでしょう。

対応5:探偵に依頼をする

認知症の高齢者の徘徊は、いかに早く見つけるかというスピードが勝負になりますので、人探しのプロである探偵に依頼するのも一つの方法です。

警察や地域包括支援センターなどの公的機関は無料で捜索を行ってくれますが、その分スピード感や動きが遅いところがあったり、日没以降に捜索を打ち切るなどの制度的な限界もあります。

このようなことから、探偵に捜索を依頼をする人も多くなっています。

認知症の高齢者の徘徊を予防するには?

まず最初に、認知症の高齢者の徘徊を予防することは非常に難しいということを認識しておく必要があります。

自宅で常に目を光らせておくことは現実的には難しいでしょうし、鍵を掛けて閉じ込めたり出られないような状態にしておくと、別の被害にも繋がってしまう可能性があります。

つまり、徘徊が起こったときにいち早く気づくことができるような対策を取っておくことが非常に重要だということになります。

GPS端末を高齢者につけておく

徘徊を繰り返す高齢者には、位置情報を知らせてくれるGPS端末を利用するのも有効です。

首から下げたり、ポケットに入れたり、靴につけておくことができるタイプもありますし、携帯電話のGPS機能を使用する方法もあります。

出入りを行う玄関部分へのセンサー、監視カメラの設置

認知症の高齢者は、何度も徘徊を繰り返す可能性が高いため、自宅の玄関部分にセンサーや監視カメラを設置して玄関から出ていくタイミングを知るという方法も考えられます。

また、介護用見守りカメラとして販売されている商品の中には、会話機能が付いたものもあります。

高齢者のゆかりのある場所や交通手段を把握しておく

認知症の高齢者の徘徊は、本人にとってはいろいろな理由があって外出するようです。

例えば、かつて住んでいた家や勤めていた職場など、よく行っていた場所に向かおうとする場合が多いようです。

ですから、予めその方にゆかりのある場所や交通手段などを把握しておくことが重要で、万が一の捜索の際には、本人の行動パターンや生活歴などを考慮することが大切です。

老人ホームなどに入れて誰かの管理下におく

老人ホームに入れて、その施設の方の管理下に置いておく方法もあります。

徘徊のある認知症の高齢者を受け入れている老人ホームでは、専門の知識や技術を持つ職員が責任を持って世話をしてくれますので安心できるでしょう。

認知症の高齢者の徘徊予防や対策をしっかり事前にとっておくことが早期発見につながる!

冒頭にも説明したように、日本は高齢化社会に突入し認知症の高齢者が急激に増加しています。

これに伴い認知症の高齢者の徘徊や行方不明が増えていますので、しっかりとした予防対策を事前にとっておくことが重要となり、これによって早期発見が可能となります!

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