【投稿日】 2021年11月26日 【最終更新日】 2022年10月27日
犯罪の被害に遭った時に最初に相談すべきは警察です。
被害を警察に申告するためには、まず被害届を提出する必要があります。
しかし、被害届を提出しても受理されないケースが少なくありません。
では、どのような理由で不受理となってしまうのでしょうか。
この記事では、警察に被害届を提出しても受理されない主な理由や、受理してもらうために押さえるべきポイントをご紹介します。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
警察に被害届を受理されない場合があるって本当?
警察に被害届を提出しても受理されない場合があるのは事実です。
ですが、警察には以下のような規定があり、被害届の不受理は許されていません。
「警察官は、犯罪による被害の届出をする者があったときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。」
引用元:犯罪捜査規範61条
しかし実際のところ、警察の人員は都道府県が設けている定員数には達しているものの、現場は人手不足となっています。
警察署には1日に何通もの警察署には1日に何通もの被害届が提出されますが、提出された被害届をすべて受理していては人員や時間が到底足りません。
また、被害届を提出する人の中には民事事件を有利に導くことを目的としている場合や、いたずらや嫌がらせを目的としている場合があります。
上記のような様々な要因によって警察は被害届を受理するかどうかの判断をきちんと行わなければならないのです。
警察で被害届が受理されない理由
民事事件を有利に導くことを目的としている場合や、いたずらや嫌がらせを目的としている場合以外にも、被害を受けた事実があるのに警察に被害届が受理されないことがあります。
警察に被害届が受理されない理由として考えられるのは以下の3つです。
- 理由1:民事事件だと判断されたから
- 理由2:客観的証拠が不十分だと判断されたから
- 理由3:被害が軽微かつ時間が経過していると判断されたから
それぞれの理由について詳しい内容を見ていきましょう。
理由1:民事事件だと判断されたから
警察は基本的に民事不介入を原則としています。
民事不介入の原則により、民事事件であると判断された場合は警察は事件に介入することができません。
そもそも民事事件とは、「貸したお金が返ってこない」というケースのような私人間のトラブルのことです。
具体的には以下のようなトラブルが含まれます。
- 給料・報酬についてのトラブル
- 土地・建物・登記に関するトラブル
- 請負代金、修理代金に関するトラブル
- 近隣住民とのトラブル
- 損害賠償の請求
民事事件であると判断されれば、警察は介入せず、当事者同士で解決することを促されます。
理由2:客観的証拠が不十分だと判断されたから
事件に関するすべての証拠を集める必要はありませんが、被害の事実を証明するような証拠や犯人の特定に繋がる証拠は警察が被害の規模や内容を把握する上で重要です。
いくら被害に遭ったことを口頭で説明しても、説明したことを裏付ける証拠や犯人を特定できる証拠がなければ受理されないケースがあります。
「犯人は警察が捜査するもの」というイメージがありますが、すべての事件について警察が一から捜査していては時間や人員が足りません。
特に詐欺事件のような犯人を特定することが難しい事件では、犯人の特定に繋がるような証拠がない場合、被害届が受理されにくい傾向にあります。
理由3:被害が軽微かつ時間が経過していると判断されたから
被害が軽微かつ被害に遭ってから時間が経過している場合は、以下のような2つの理由から被害届が受理されないことがあります。
- 証拠が掴みづらいため
- 他の重大事件が優先されるため
警察がどの程度の被害で動くのかというデータ出ていません。
しかし、例えば「200円騙し取られた」というケースでは、警察が動く可能性は低いと言えます。
ただし、同じ犯人の被害に遭った人が多い場合や、他にも被害者が出ることが予想される場合は被害届を受理し、捜査に踏み切ることがあります。
そのため、被害者が多数いるような事件では、被害者を集めて捜査を依頼するのが効果的です。
また、刑事事件では、検察が起訴できる期間を指す「公訴時効」があります。
公訴時効を過ぎてしまった場合は刑事裁判を起こすことができないため、警察は被害届を受理することができません。
公訴時効は罪名によって細かく規定されています。
殺人罪や強盗致死罪などは公訴時効が設けられていませんが、詐欺罪や脅迫罪など公訴時効が設けられている罪については時間が経過すると時効が成立してしまうため、被害に遭ったらすみやかに被害届を提出しましょう。
被害届を受理してもらうために被害者が押さえるべき3つのポイント
被害届を受理してもらうためには、事前の準備が大切です。
行き当たりばったりで警察に行き被害届を提出しても、内容がまとまっていなかったり、曖昧だったりしては警察は被害届を受理することができません。
具体的には、警察に被害届を提出する前に以下の3つの項目について準備しておきましょう。
その1:客観的証拠を集める
警察に被害届を提出しても受理されない場合は客観的証拠を集めて被害に遭った事実を証明しましょう。
客観的証拠によって、罪にあたることを証明できれば警察は被害の規模や内容を正確に把握することができるため、被害届を受理しやすくなります。
客観的証拠を自分で集める場合は、今ある証拠を確保していくことが大切です。
例えば当て逃げの被害を受けた場合、ドライブレコーダーの映像や、車体の損傷部分を撮影した写真など、現場で確保できる証拠は多くあります。
ただし、自分で客観的証拠を集める場合は犯人の特定に繋がるような証拠を集めるのは難しいため、場合によっては探偵に依頼して客観的証拠を収集することを視野に入れましょう。
その2:警察に何をしてほしいのかを明確にする
そもそも犯人に対して警察に「警告」をしてほしいのか「逮捕」をして欲しいのかなどの要求を明確にするだけでも警察は動きやすくなります。
例えば嫌がらせ・いたずらの被害に遭っている場合、「嫌がらせやいたずらをどうにかしてほしい」と訴えるのではなく、「逮捕してほしい」「警告してほしい」などと要求を明確にすることが大切です。
「どうにかしてほしい」という抽象的な言葉だと、何を要求しているのかが分からないため警察は動きづらいのです。
また、捜査するまでもないと判断した案件でも、警告など他の要求であれば動いてもらえるケースがあります。
その3:被害に遭った経緯を順序立てて説明する
実際に警察に相談する際は、被害に遭った経緯を順序立てて説明するのがポイントです。
例えば投資詐欺の被害に遭ったのであれば、最初に犯人から連絡があった日から、どのような言葉で投資に勧誘されたのか、どのような書類を交わしたのかなどを時系列に詳しく説明するとよいでしょう。
順序立てて説明することで、警察は刑事事件として立件できるかどうかを判断しやすくなります。
一方で時系列にまとめられていない状態で説明すると警察は被害の全容が正確に把握できないため、刑事事件として扱うべきではないと判断してしまうケースがあります。
警察に相談する前に被害に遭った経緯をまとめておきましょう。
客観的証拠の収集や事前準備を行っても警察に被害届を受理してもらえない場合の相談先
事前準備を行ったにも関わらず被害届が受理されない場合は専門家に依頼しましょう。
被害届の提出において相談できる専門家とは探偵と弁護士です。
探偵は調査の専門家としてより証拠能力が高い証拠を集めることが可能です。
一方で弁護士は、法律の知識を使って被害届よりも強力な告訴状を作成することができます。
探偵と弁護士が行うことができる内容は以下の通りです。
【1】探偵
自分で客観的証拠の収集や事前準備を行っても警察に被害届を受理してもらえない場合は、探偵に依頼してさらに証拠能力が高い客観的証拠を集めましょう。
自分で客観的証拠を集めた場合、被害後すぐに証拠の確保を行ったとしても、被害の事実を証明できる証拠や犯人の特定に繋がるような証拠を集められないことがあります。
例えば、詐欺被害を受けた場合、相手からの着信履歴や渡された資料などの証拠を確保できたとしても、詐欺の構成要件である欺罔行為や錯誤をした事実を証明できなければ刑事事件であると判断されないケースが少なくありません。
一方で探偵に依頼した場合、以下のような方法によって犯人を特定し、証拠を掴むことが可能です。
- 聞き込み
- 張り込み
- 尾行
- 定点撮影
- 行動調査
- 指紋鑑定
- 声紋鑑定
自分で証拠を集めたものの、客観的証拠が不十分であることにより、被害届が受理されない場合は探偵に依頼しましょう。
【2】弁護士
被害届を提出したのに受理されない場合、弁護士に依頼して告訴状を提出する方法があります。
被害届は犯罪の被害に遭った事実を申告する書面である一方で、告訴状は被害者が被害に遭った事実を申告し、処罰を求める意思表示をする書面です。
被害届は警察が受理しても捜査する義務は生じませんが、告訴状を受理した場合は告訴調書を作成する義務が生じます。
つまり、告訴状を受理した場合は警察は申告された事件について捜査を行う必要があるということです。
告訴状を作成する際は法律に関する知識が必要です。
具体的には告訴人の情報や被告人の情報の他に、犯罪が起きた日や場所などの犯罪の事実や、犯罪の立証方法や証拠、告訴に至った経緯などの記載が必須です。
犯罪の被害に遭ったことは自覚していても、どの犯罪に該当するのかは素人では判断が難しいところがあります。
また、告訴状を受理されるためには、指定の記載方法を守り、状況によっては内容を補填しなければなりません。
もしも被害届を提出したのに受理されず、告訴状を提出する場合は弁護士に依頼しまししょう。
警察に被害届を受理してもらうためには客観的証拠の収集などの事前準備が重要!
警察に被害届を受理してもらうためには、客観的証拠の収集や、状況整理などの事前準備が必要不可欠です。
事前準備をしないまま警察に被害届を提出してしまうと警察は被害の状況や内容を正確に把握できないため、被害届を受理しづらくなってしまいます。
被害に遭ったのに正確な情報を伝えられずに被害届が不受理となることを防ぐために、本記事で紹介した3つのポイントについてしっかりと準備を行ってから警察に被害届を提出しましょう。
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