【投稿日】 2018年8月28日 【最終更新日】 2021年10月21日

近くて遠い他人であるご近所とのトラブルは、あまり大事にせず解決したいという思いから、すぐに警察や弁護士に相談するのは気が引けるという方も多いことでしょう。しかし同時に、「今すぐにでも誰かに相談し、的確な助言が欲しい!」と思ってもいるのではないでしょうか。

そんな時に役に立つ相談先を紹介します。

そんな時に役に立つ無料・有料それぞれの相談先を紹介します。あなたと相手との関係性やトラブルのパターンなどを考慮して、最適な相談先を選んでください。

嫌がらせなどの近隣トラブルの公的な無料の相談先4つ

暴言、悪いうわさ、ごみや悪臭、騒音など、ご近所とのトラブルは当事者同士では解決しづらく、第三者や公的機関に相談するのが賢明です。

本当に単なる「相談」をして助言をもらうためのものから、法的手段をとるための前段階となりうるものまで、近隣トラブルの公的な相談先はいくつかあります。その主なものが、次の4つです。

①民生委員 厚生労働大臣に委嘱された非常勤の地方公務員
②地域包括センター 主に地域の高齢者の総合相談を受ける機関
③役所 市役所・区役所や町役場など、自治体の行政をつかさどる組織
④警察 犯罪の予防や捜査、その他取り締まりなどを行う組織。県警や交番など

この中のいくつかは聞きなれないという人もいることでしょう。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、次の項から順次説明します。

相談先①民生委員

「民生委員とは、社会奉仕の精神をもって、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、福祉事務所等関係行政機関の業務に協力するなどして、社会福祉の増進に努める方々です。」(出典: 民生委員・児童委員に関するQ&A)

民生委員とは厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員です。本来は社会福祉の増進を目的に設置された役職ですが、地域住民の生活全般に関する相談も広く請け負っています。

民生委員の強みは、地域住民の1人として担当地域の人間関係やその他の現状などをよく知っていることです。また民生委員には福祉・ボランティア活動に熱心な人が選出されるため、親身になって相談に乗ってくれます。

しかし何の権限も持たない民生委員自身には、せいぜい人脈を生かしての相手との話し合いの立ち合いを行う程度の解決法しかありません。そのためどちらかといえば役所や警察、その他の公的機関(場合によっては児童相談所など)への紹介が主となります。

とはいえ、民生委員は近隣トラブルの第1の相談先として最適です。

民生委員は全国のいたるところに存在し、連携をとって活動しています。近隣の民生委員がわからなければ、以下のリンクを参考にしてください。

相談先②地域包括センター

「地域包括支援センターは、地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として市町村が設置しています。
 現在、全国で約4,300か所が設置されています。(ブランチ(支所)を含めると7,000か所以上)※平成24年4月末現在」

地域包括センターは高齢化対策の1つとして設置された機関です。よって近隣トラブル全般の相談に乗ってくれるわけではありません。トラブルの相手が高齢者であった場合のみ有効な相談先です。高齢者に関する相談なら何でも受け付けてくれます。

また相談する場合にも自らの被害を訴えるのではなく、トラブルの相手である高齢者の異常な行動や徘徊などを心配するという姿勢でなくては、効果的な対応は期待できません。

相談が受け付けられれば訪問調査などが行われ、相手の高齢者に何らかの処置が必要とされた場合は別居家族に連絡をとる、適切な施設への入院・入所の手続きなどがなされます。

地域包括センターの最大のメリットは、ご近所間で角を立てずに解決できるということです。しかしそれも高齢者が相手となる事例のみで、それ以外の事例では相談すら受け付けてはもらえません。

相談先③役所(市役所・区役所・町役場・村役場)

市役所や区役所、町役場など、地域(地方自治体)の行政を行うのが役所です。県庁なども広い意味では役所に含まれます。

近隣トラブル・ご近所トラブルに関する役所の相談窓口は?

役所が受け付けている行政相談の窓口の中に、近隣トラブルに関するものが設けられています。市役所であれば「市民相談」という名目のものが一般的です。他にも「暮らしの相談窓口」、「生活相談」など名称は様々ですが、要は市民生活一般に関する窓口です。

管轄が異なるケースであれば他の部署への案内もあるので、まずは市民相談窓口に申し出るのがいいでしょう。但し役所によっては事前予約などが必要なこともあります。市のホームページや広報誌、電話などで確認してください。

役所で相談できる内容は?近所迷惑な嫌がらせや地域のトラブルなど

近隣トラブルに関して役所では、取り扱える案件と扱えない案件がはっきりしています。役所が相談を受け付けるのは、被害者が1人ではなく多くの住民が困っているような案件や、地域の自治に関わる案件です。

例えば

  • 騒音・悪臭問題
  • ごみ問題(ルールが守られていないなど)
  • ペットの飼い方のマナー

など。こういった案件に関しては、直接訪問して注意をする、騒音・悪臭の元となるものを強制撤去するなど、積極的に動いて解決してくれることも多いです。

地方自治体は住民の福祉を守る義務があり、役所に設置されたそれぞれの執行機関が、一定の執行力を持っています。また警察と違って民事不介入の原則がないため、住民同士のトラブルにも介入できるのが、役所の強みです。

しかしやはり役所も、相談を受けられる案件が限られているのが大きなデメリットといえます。とはいえ相談すれば警察に取り次いでくれる場合もあるので、全くの無駄というわけではありません。

近隣トラブル・嫌がらせで役所に動いてもらうためには?

役所は少数の住民のためにはあまり動いてはくれません。個人対個人のトラブルでは、どちらの主張が公共の福祉に則っていると判断しづらいからです。では嫌がらせの被害が1軒のみのケースや、加害者と被害者の利害が衝突しているケースで動いてもらうにはどうすればいいのでしょうか。

その場合、とれる対策は主に以下の4つです。

隣人トラブル・嫌がらせで役所に動いてもらうための方法

  • 悪臭・騒音などは専門の機材で数値を計測する
  • 近隣住民の署名を集める
  • 同じ被害を受けた人、受けている人を探して協力する
  • 弁護士に相談する

自分が不当に生活を脅かされていること、あるいは個人でなく地域の問題であることを証明すれば、役所は動いてくれる可能性が高くなります。場合によってはそのために特別な機材をレンタルしたり、専門業者に依頼したりすることも必要です。

相談先④警察

ご近所相手のトラブルに最も慣れていて、最も効果的な対策が期待できる公的な相談先は警察です。

しかし警察への相談に関して、正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。近隣トラブルに関して警察にできること、相談することのメリットとデメリットについて解説します。

警察への「相談」とは

警察に被害を訴える方法のうち、最も簡易なものが「相談」です。これは必ずしも被害届や法的な手続きにつながるものではなく、現在の被害状況やトラブルを起こした相手の情報などを伝えて、文字通りどうするべきか相談します。

最寄りの交番や警察署で受け付けてもらえますし、警察相談用電話「#9110」での電話相談も可能です。もちろん相手に暴力行為や破壊行為が見られるような緊急の場合は、110番通報で構いません。

また上で挙げたような他の機関に相談した結果、警察への相談を薦められることも多いです。

警察に相談したらどうなる?近隣トラブルに介入してくれる?

警察に近隣トラブルの被害を相談した場合にとられる対策は、主にこの2つです。

  • 問題の張本人を訪問(聞き取り・警告)
  • パトロールの強化

トラブルの相手先の訪問は他の機関に相談先でもやってくれますが、警察が出ると相手も大ごとだと認識します。また警察はこういったトラブルの仲裁や注意に慣れています。それらが抑止力となり、トラブルが終息するということは充分に期待できます。

またパトロールを強化することによって、「見張られている」というプレッシャーを与えられるので、相手は自然と行動を自重するようになります。パトロールに回ると警察はその旨を知らせる紙をポストに残してくれるため、実際に遭遇しなくても効果があるのです。

警察に相談するメリットとデメリット

警察に相談するメリットは、

  • トラブルの対処に慣れている
  • 警察という肩書や制服が相手を怯ませる
  • 警告・パトロールに大きな抑止力がある
  • 緊急の場合は110番で駆けつけてくれる

という4点が大きいです。やはり誰しも警察沙汰は避けたいもの。そのため警察の監視下では委縮し、悪事を働くことをためらいます。

逆に大きなデメリットは、

  • 警察より上の公的な相談機関がない
  • 解決しなかった場合、告訴・訴訟といった法的手段をとることになる

の2点です。

もちろん警察への相談で解決すればいいのですが、問題は解決しなかった場合です。相手に逆恨みされたり、その時はいったん収まってもしばらくしてから嫌がらせが再発したりということは往々にしてあります。

そんな時、また警察を呼んで解決できるでしょうか。答えは、NOです。警察が来ても即逮捕されるわけではないとわかれば、もう警察の抑止力は効果がありません。そしてそうなった場合、告訴や訴訟といった本当の最終手段をとるしかなくなるのです。

しかし警察に相談すること自体に問題はありませんし、公的機関の中では最も強力な相談先であることは間違いありません。特に緊急の場合などは、110番にかければ迅速に対応してくれます。

嫌がらせなどの近隣トラブルの相談先は1つに絞らなくてもいい

以上、4つの相談先についてわかっていただけたかと思います。少なくとも友達や近隣の知人に相談するよりは、これらのうちどれかに相談する方が解決につながります。

ここまで読んだ方で、4つのうちどこに相談すればいいか悩んでいる方もいるかもしれませんが、相談先は1つに絞る必要はありません。むしろ、複数の相談先に順に相談した方が、効果的な対策がとれます。

無料だからといって濫用は厳禁ですが、とりあえずは手近に思える機関から相談してみてください。

法的手段も視野に入れてプロに依頼「近隣トラブル・嫌がらせ」を解決するための相談先

さて、上で警察に相談して解決しなければ告訴や訴訟を行うことになると書きましたが、最初からそれらの法的手段を視野に入れるならば、相談すべき相手は変わってきます。

法的手段をとるためにはそのためのプロがいますし、警察の職務以外の方法で解決するにもそれに適した相談先があるのです。

近隣トラブル解決を専門としている民間業者

近隣トラブル相談、あるいは近隣トラブル解決を専門としている業者があります。これらは自治体などの公的な機関ではなく、近隣・ご近所トラブル、隣人からの嫌がらせ、近所迷惑な行為などを専門に扱う民間業者です。

市役所や警察などの公的機関は、法律によって与えられた権限の範囲内で行動するため、どうしてもできることに限りがあります。警察なら民事不介入の原則があるため命令はできませんし、市役所も被害者がごく少数であれば積極的な介入は難しいです。

近隣トラブル解決の専門業者にはそのような制限がありません。勿論違法なことはできませんが、相手が応じてくれるなら話し合いや説得を試みて、それでも無理なら法的解決などの橋渡しもします。

但し民間の企業・団体なので、サービスの質は保証されません。また利用できる範囲にないことも多く、やや利便性に欠けることがデメリットです。

ちなみに探偵もあらゆるトラブルの相談を受け付け、様々なアプローチで解決を目指します。もし近隣トラブル解決の専門業者に類するものがなければ、探偵に相談することも検討してください。

法律と交渉のプロ・弁護士|内容証明・示談・裁判など

様々なトラブルの法的解決に欠かせないのが弁護士です。民事訴訟、刑事告訴といった裁判をはじめ、内容証明の送付、示談など、弁護士の職権や交渉力が生きる解決法はいくつもあります。

弁護士は法律と交渉のプロです。弁護士がついていれば、警察が被害届や告訴状を受理しやすい裁判を有利に進められるといった大きなメリットがあります。実際、弁護士の協力なしに法的な解決ができる人はほぼいません。

また裁判に持ち込まず、当事者同士の話し合いである示談で解決する場合でも、弁護士の協力は必要です。弁護士は話し合いの立会い人としての役目も果たしますし、お互いの合意内容をしたためた示談書を恙なく作成できるからです。

裁判で出た判決と示談で作成された示談書は、裁判官や弁護士によって法的な執行力を持ちます。これによって損害賠償が支払われない、嫌がらせの再発といったトラブルが防げるため、より完璧に解決することができるのです。

調査のプロ・探偵|警察への相談や裁判にも役立つ調査と証拠集め

嫌がらせに限らずトラブル全般において、強力な味方となるのが探偵です。

例えば警察や弁護士が交渉しても、相手が犯行を認めなければ話になりません。またのぞきやつきまといといった嫌がらせであれば、その実態を見ないことには第三者には迷惑行為か否かが判断できないのです。

そんなとき、探偵なら被害を立証するだけの確たる証拠をつかむことができます。

どんな解決法を取るにせよ、証拠は必ず役に立ちます。嫌がらせのパターンや相手との関係を問わず、あまねくトラブル解決の役に立つのが探偵なのです。

近隣トラブルの相談先・解決についてのまとめ

何らかの嫌がらせやトラブルがあったとき、決してしてはならないのが当事者同士の直接の話し合いです。特にご近所とのトラブルであれば、直接対決はこじれることはあっても解決することはないと考えてください。

そこで誰かに相談してみるというのは、初手としては最良です。そしてもちろん、上で挙げた相談先なら言うことはありません。どの相談先も当たりはずれもありますし即解決というわけにはいきませんが、そんなときでも諦めず、いくつかの機関を当たってみてください。

そして同時に、被害を受けた証拠はできる限り残しておきましょう。自分で集めたものでも探偵の調査の結果でも、証拠は必ずあなたの力になります。

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