【投稿日】 2022年12月3日 【最終更新日】 2022年12月7日

近年、採用時に問題となっているのが、応募者による「経歴詐称」です。

採用時に詐称を見抜けなかった結果、正式採用した後に社員の経歴詐称が発覚して問題に…なんて事例が多くなっています。

今回は、そんな経歴詐称を見抜くために必要な調査・発覚した際の対処方法を合わせてご紹介していきます。

採用時の経歴詐称のリスクとは?

新卒採用・中途採用ともに経歴詐称をされていた場合には想定していた働きぶりを発揮しなかったり、チームの戦力にならず業務に影響が出たりして離職率が高くなるというデメリットがあります。

経歴詐称が発覚した際には、面接を行った人事部のチェックの甘さや会社の管理体制などに不信感を抱かれ、従業員からの信頼度が低くなる可能性もあります。

従業員間での不信感が高くなると業務に支障をきたすという悪循環に陥りかねません。

そのためにも、履歴書などから矛盾点を見抜き、未然に防ぎつつ発覚した後の対処方法を決めなければなりません。

経歴詐称を暴く8つの調査方法

経歴詐称を見抜くための調査方法は主に、「リファレンスチェック」「雇用保険被保険者証の確認」「卒業証明書の確認」「退職証明書の確認」「源泉徴収票の確認」「年金手帳の確認」「採用面接」「メディアサーチ」の8つがあります。

これらについて、詳しく見ていきましょう。

方法1:リファレンスチェック

リファレンスチェックとは、その対象人物についての情報を第三者から得る身元照会のことを指します。

履歴書や面接だけでは拾い切れない情報を聞き込み調査などによって第三者から得ることで経歴詐称を防ぐ・発覚させることが可能になります。

リファレンスチェックでは、該当者のことをよく知っている、前職の上司や同僚、学校の先生などの第三者に聞くことが多いです。

リファレンスチェックをする事によって経歴詐称の発見をするのは勿論、求める人材かどうかを事前に調査したり、選考しやすくしたり、適応した環境づくりに活かしたりします。

第三者からの客観的な意見を聞くことができるので、偏りにくい情報を得ることができ、どのような人物であるのか把握することができます。

リファレンスチェックは、対象人物の同意を得てから行うものにもなりますので、個人情報漏洩などにもならない点でも安心です。

リファレンスチェックに特化したサービスを行う企業もあるので導入を検討してみても良いでしょう。

方法2:雇用保険被保険者証の確認

雇用保険被保険者証を確認することで、前職の会社名・離職日がわかります。

そこから調査を行うことも可能ですし、詐称している場合には履歴書の記載と異なります。

提出を求めるだけで詐称を見抜くことができる方法です。

雇用保険の手続きには「被保険者番号」が使用されるため、詐称されやすくなります。

雇用保険被保険者証自体の提出を拒む場合や、被保険者番号のみを提出してくる場合には経歴詐称をしている可能性が高いと考えましょう。

方法3:卒業証明書・資格取得証明書の提出

卒業や資格の取得については主に履歴書に記載するものです。

その裏付けを確認するためにも、卒業証明書や資格取得証明書を提出してもらいましょう。

卒業前の新卒である場合には、卒業見込み書を発行してもらうことができます。

中途採用などであっても、証明書の提出を求めることで学歴詐称を防ぐことができます。

もし、証明書類をカラープリンターなどで捏造して使用した場合には、公文書偽造罪が適用され、犯罪になります。

卒業証明書や資格取得証明書を提出してもらっても疑わしい場合には、学校機関や公的機関に確認しましょう。

方法4:退職証明書の確認

退職証明書を提出してもらうことによって職歴の詐称が発覚するケースもあります。

退職証明書には、以下の項目が記載されています。

  • 雇用期間
  • 業務の種類
  • 地位
  • 賃金
  • 退職理由(退職希望者の希望による)

退職証明書の発行は、労働基準法で定められている労働者の権利になります。

前の会社が発行してくれないので提出できない、という理由で提出を拒む場合には経歴詐称の可能性があるか、前職が労働基準法に違反している可能性があります。

退職理由については、労働者が記載を望まない場合には、企業側が理由を記載することはできません。

労働者側が転職や失業保険などの手続きを速やかに行うために発行するのが退職証明書であり、労働者を守るためのものです。

それらを発行しない企業は法律違反にもなるので、発行を拒否する企業はあまりありません。

方法5:源泉徴収票の確認

源泉徴収は、1年間の収入・控除額・納付した所得税額を記載した書類のことです。

転職してきた場合には前職での収入を含めて年末調整を行う必要がある為、源泉徴収票の提出は必須となります。年末に転職した場合以外は必ず必要になります。

自分で確定申告を行うという可能性もありますが、会社で行う方が簡単ですし、手間が省けます。

年末調整のための提出を拒むということは、経歴詐称の疑いがあると考えましょう。

方法6:年金手帳の確認

年金手帳には、今までの年金加入について記載がある為、これを確認すれば経歴詐称が見抜けます。

ただし、年金手帳を紛失などの理由で再発行した場合には加入歴についての記載がされません。

経歴詐称のために年金手帳を紛失してわざと再発行した可能性もあります。

手帳で加入歴が確認出来ない場合には、再発行の理由も確認する必要があります。

方法7:採用面接

書類審査だけでは見落としてしまう矛盾などがあります。

そのためにも、採用面接はきちんと行いましょう。

面接に来た人は、質問されなかった内容については自分から申告する義務がありません。

そのため、経歴について触れられなかった場合には申告しなくても良いのです。

しかし、質問されたことについては答えなければならないので、企業側は面接の際に経歴についてある程度質問をしなければなりません。

前職での仕事内容や仕事での功績などは虚偽の回答がしやすい為、その仕事特有の内容を質問するなど、事前に調査して質問内容を固めておくのが良いでしょう。

方法8:メディアサーチ

該当者が前職で在職中に広告記事に出ていたり、セミナーに出演していたりすると名前を検索しただけで記事がヒットする可能性があります。

そういったところから在職確認が取れるケースもあります。

また、在学中のオンライン記事やSNS、過去の新聞記事などで記載された場合にもインターネットで探し出すことができます。

メディアサーチを行い、客観的な記事が発見できた場合には在職・在学の証明と捉えることができるでしょう。

方法9:探偵への調査依頼

お金はかかってしまいますが、上記8つに比べて経歴詐称を見破ることができる可能性が高いのが探偵への調査依頼です。

一般的な社員の採用などは、リファレンスチェックなど一般的なチェックで問題ありませんが、役員や機密情報取扱いの可能性のある社員など、会社の命運を握るような社員に関しては探偵に調査を依頼した方が後々のリスク回避の観点から有効です。

経歴詐称調査のメリット

経歴詐称に関する調査には、次のような4つのメリットがあります。

メリット1:経歴詐称の防止

1つ目は、経歴詐称をしている求職者を採用前に見つけられる可能性があるというところになります。

入社後に発覚するのと、それよりも前に発覚するのでは全く違います。

採用前に経歴詐称を発見することによってトラブルを未然に防止することができます。

メリット2:客観的な視点で応募者を見られる

求人に応募してきた人を主観ではなく客観的に見ることができるのもメリットの一つです。

採用面接は、求職者が自分の経歴や能力についてアピールする場所になります。

そのため、どうしても主観的な意見に偏りがちです。

そこで、経歴調査を行うことで客観的な視点を持つことができ、選考に加味することができます。

リファレンスチェックなどをうまく活用することで、対象人物に対して細かいところまで気を配ることができるでしょう。

メリット3:公平な視点を持てる

経歴調査のためにリファレンスチェックなどを行うことで、対象者を客観的にみることができ、公正な選考を行うことができるのもメリットです。

既に採用されている従業員に対しても第三者の意見を聞くことができる意味でも、経歴調査を行うことで公平な視点を持つことができます。

経歴詐称をしている人が採用されたり、優遇されたりするのはフェアではありません。

メリット4:従業員の意識統一ができる

入社してからの人間関係や労働条件などが企業側・従業員側でずれてしまっていると、モチベーションの低下につながります。

ある程度の学力を必要としている企業である場合、経歴詐称で実際にはその学力に届いていない人が入ってきてしまうとギャップが生まれ、他の従業員の不信感が募ってしまうでしょう。

従業員同士の意識統一を行うためにも、経歴調査を行い、ズレを緩和するメリットもあります。

経歴詐称が発覚した時の対処方法

詐称が発覚した際には主に、内定取り消しや懲戒処分等が行われます。

方法1:内定取り消し

内定は、「就労始期付解約権留保付労働契約」というものになり、法律上、内定取り消しは解雇と同様の扱いをされます。

そのため、内定取り消しは慎重に行わなければなりません。

内定前であれば、相当優秀な人材でない限り採用を見送るなどの対応をとるのが望ましいでしょう。

方法2:懲戒処分

入社後に経歴詐称が発覚した場合には、就業規則に則った懲戒処分を検討します。

懲戒処分には出勤停止や減給、懲戒解雇などの処分があります。

詐称による不利益の度合いによって処分が異なるので、よく検討しなければなりません。

懲戒解雇が最も重いとされていますが、一般的には、重大な経歴詐称によって会社に大きな損害をもたらした場合以外には下されない処分でしょう。

方法3:罰則無し

応募条件に必須と記載されていない箇所での経歴詐称の場合には罰則が設けられない場合があります。

「未経験歓迎」などと謳っている場合、資格などの経歴詐称で罰則を課せません。

また、業務成績が高く、経営に有利な人材だと認識されている場合には、経歴詐称を理由に罰則を与える方が会社に不利益になるため、罰則無しと判断されることがあります。

罰則に関しては各企業によって異なります。

経歴調査は違法?

経歴調査と聞くと、個人情報保護の観点からいってどうなの?と思う方がいるかもしれません。

法律的には採用時の調査は禁止されていません。

しかし、情報を取得する方法によっては個人情報保護法に抵触する可能性もあります。

厚生労働省では、採用時の経歴調査について、以下のように述べています。

1.本人に責任のない事項の把握
・本籍・出生地に関すること
・家族に関する事(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること

2.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

3.採用選考の方法
・身元調査などの実施
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

これらの項目を面接で聞いたり、履歴書への記入を義務化したりすると就職差別にあたるとされてしまいます。

身辺調査などの情報取得に違法性があれば問題になりかねません。

前職の内容などを調査する場合にも、内容を精査する必要があるのも事実です。

応募者によっては事前に調査を予告し、その予告だけで辞退するケースもあります。

経歴調査を嫌うということは、調べられたら困ることがある可能性が高いです。

そのため、事前に告知を出すだけでもある程度、応募者をふるい分けることができるでしょう。

経歴詐称調査・対処は慎重に行おう!経歴詐称の調査は探偵事務所SATまで!

経歴詐称の調査と対処方法について解説しました。

経歴詐称をしている人物を採用してしまうと企業は大きなダメージを受けるリスクが高くなります。

採用時の経歴確認を行っていないということが発覚すれば従業員からの不信感がつのり、社内の秩序も乱れる可能性があります。

ある程度の経歴詐称は、書類確認と実際の面接、リファレンスチェックなどで見抜くことができますが、重要なポスト(役員や機密情報取り扱いの社員など)への社員採用時や、そういった部署に所属する疑わしい社員については、しっかりと探偵に依頼をしてくまなく精査をすべきです。

過去にそういった社員が社内に入り込み、情報漏洩などをしたり、実は反社会的勢力との繋がりがあり、最終的に会社が乗っ取られてしまった、という事例も発生しています。

そういったリスクを限りなく0に近づけるためにも、リファレンスチェックだけではなく、重要ポストの人間の経歴や素性調査は重要です。

探偵事務所SATでは、探偵業法に基づくあらゆる手法を用いて、採用予定または既存の社員、役員に対する経歴・素性調査を行います。

まずは、お電話、メールにてお気軽にご相談ください。

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