車・バイク・自転車は外に置かれることが多いため、イタズラ(嫌がらせ)の格好の標的となります。持ち主に恨みを持っている人からはもちろん、面白半分や憂さ晴らしの嫌がらせを受けることも少なくありません。

しかし車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)は、多くのケースにおいてれっきとした犯罪です。民事・刑事の両方で責任を追及することができます。

もし被害を受けたら、しかるべき対処をして解決しましょう。また今後そのような被害に遭わないように、あるいは遭ってもすぐに解決できるように、普段から対策を講じることも大事です。

車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)は何の罪になるのか

車・バイク・自転車への嫌がらせの例

  • 10円玉や釘などで傷をつける
  • 車体に剥離剤や油をかける
  • ガラスを割る
  • タイヤをパンクさせる
  • 汚物などをまく
  • 鍵を壊す
  • 自転車のサドルを盗む
  • 落書き、汚れをつけられる

これらの行為はすべて違法で、基本的には刑法261条の器物損壊罪にあたります。自転車のサドルを盗むのは窃盗罪となる可能性もありますが、自転車の機能を損なわせたということで、器物損壊と解釈されるのが一般的です。

器物損壊罪の刑罰は3年以下の懲役または30万円以下の罰金です。親告罪なので被害者等が訴え出る必要がありますが、正しい手順を踏めば相手を罰することも賠償金を請求することもできます。

車・バイク・自転車にイタズラ(嫌がらせ)されたときの正しい対処法

ほとんどのケースで犯人が誰かわからない車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)は、被害者だけではまず解決できません。しかし被害者本人だからこそできることもあります。

被害を受けたときにすべきことと、自分でできる対策・予防策などについて解説します。

証拠の保存

被害を受けたときにまずすべきなのが、証拠の保存です。

車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)に関する証拠

被害状況の写真・動画:
落書き、傷などの被害と犯人の残したものを撮影                
被害状況の記録:
いつ、何をされたか、その時の周辺の状況などを記録する
犯人の遺留物:
イタズラ(嫌がらせ)に使われたと思われる道具や犯人の忘れ物・落とし物など。足跡や指紋が残されていれば警察や探偵に調べてもらう

このような証拠を逐一保存することも被害者本人なら可能です。ひとつひとつは即犯人特定に繋がるものではなくとも、たくさん集めることで警察が積極的に捜査してくれたり、探偵による調査が迅速に進んだりすることがあります。

できるだけ被害に遭った状態を残したまま、警察に現場を調べてもらって、探偵にも相談しましょう。プロになら見つけられる証拠や手掛かりもあります。

停める場所を変える

車・バイク・自転車にイタズラ(嫌がらせ)をされる理由はいくつかあります。持ち主が誰かわかった上でやっているケースもありますが、停め方が邪魔だから、ちょうどイタズラ(嫌がらせ)しやすい場所にあるからなどの理由も考えられます。

その場合は停める場所を変えるだけで解決することもありえます。公共の駐車場・駐輪場なら、できるだけ通行の邪魔にならず目立たない場所に移動して様子を見ましょう。もし敷地内や自宅の近くに停めているなら、外部の人間が手出ししにくい場所に移動してみてください。

防犯グッズを設置する

もし車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)が自分の敷地内で行われているなら、防犯グッズを設置するのも有効な対策です。強い恨みからの犯行でなければ嫌がらせを諦めることもありますし、今後同じような嫌がらせを受けないための予防にもなります。

防犯用ボディカバーをかける

車体を覆うボディカバーをかけるだけでもイタズラ(嫌がらせ)されにくくなります。ボディカバーは外すだけでも手間ですし、外す際にどうしても音がするからです。

数千円からと他の対策グッズに比べて安価であり、かつ自転車用のものもあるので、場所や車種を問わず誰でも手軽に始められるのがメリットです。

監視カメラ

監視カメラはうまく撮影できれば証拠や手掛かりも得られる防犯グッズです。嫌がらせは人目を忍んで夜などに行われることが多いため、実際に素人が証拠能力の高い写真や動画を撮ることは難しいですが、それでも探偵が対策を立てる材料にはなります。

またカメラで撮影していると思わせるだけでも犯人をけん制することができるので、ダミーカメラ(撮影できない偽物のカメラ)でも効果はあります。「監視カメラ作動中」などの表示プレートも同じで、犯人が証拠を押さえられることを恐れて嫌がらせを止めるケースは少なくありません。

しかし一方、これらの方法にも弱点はあります。

監視カメラの問題点

  • 自分の敷地内以外には設置できない
  • ご近所の人たちが撮影されることを嫌がってトラブルになる
  • 素人では証拠能力のある写真・動画は撮れない

自分で設置するカメラは犯人へのけん制の意味合いが強いです。実際に犯人を特定し、証拠を集めて問題を解決するためには探偵に依頼してください。

またマンションなど集合住宅の駐車場や賃貸の駐車場では、勝手にカメラを設置できません。しかしマンションには監視カメラが設置されていることが多く、申請して見せてもらえる場合もあります。もしマンション側が見せるのを渋るようなら、警察や弁護士に付き添ってもらうのもひとつの方法です。

ドライブレコーダー(その他車載カメラ)

ドライブレコーダーの利点は、監視カメラと違って自分の敷地外でも設置できる点です。

ドライブレコーダーでの撮影の注意点

  • 多方向(できれば360度)を撮影できるタイプを選ぶ
  • 動くものを感知するモーションセンサータイプか常時録画型を選ぶ
  • 映像が新しい映像に上書きされる前にバックアップを取る

ドライブレコーダーは主に事故の状況を撮影するのが目的なので、走行時や衝撃を受けたときだけ撮影するタイプも多いです。しかし車へのイタズラ(嫌がらせ)は衝撃があるとは限らないので、モーションセンサータイプや常時録画型が適しています。かつ前方だけでなく側面や後方のイタズラ(嫌がらせ)に対応するために、多方向撮影ができる機種が望ましいです。

購入の際には売り場の人に相談し、被害のケースに合った機種を選んでください。当然ですが、ドライブレコーダーは自転車の被害の撮影には不向きです。他の対策を考えましょう。

カーセキュリティの設置

カーセキュリティは車を盗難やイタズラ(嫌がらせ)から守るアイテムで、様々なタイプのものがあります。

車へのイタズラ(嫌がらせ)防止に使えるカーセキュリティ

盗難防止アラーム:
ドアがこじ開けられたり、車体に強い衝撃が与えられたりしたときにアラームやライトで知らせる。リモコンに異常を通知できるタイプも
ダミーセキュリティ:
カーセキュリティを設置しているように見せかけて犯人をひるませる

人感センサーライト・カメラ

敷地内でイタズラ(嫌がらせ)が行われている場合は、人感センサー付きのライトやカメラを設置できます。これは赤外線で人間の動きを察知してオンになるライトです。夜に侵入してくる犯人を照らすことで退散させる、あるいは犯行現場の写真を撮ることができます。

現在では家電量販店や通販でも買えますし、警備会社でも人感センサーを利用したプランを提供しています。けん制できればいいならライト、犯人を確保したいなら警備会社に依頼するなど、希望に合わせて選んでください。

ただし犯行現場を自分で抑えようとするのは危険です。証拠の確保や犯人の特定は、探偵やその他のプロに任せてください。

防犯砂利

踏めば音のする防犯砂利も、敷地内での嫌がらせを撃退するグッズのひとつです。人目を忍んで行動する犯人は光と同じく音も嫌がるので、敷地内でのイタズラ(嫌がらせ)をやりにくくなります。

このタイプの砂利は様々な素材のものがあり、それぞれ値段や特徴が異なるので適したものを選んでください。ホームセンターなどで売られています。

防犯砂利の素材別の特徴

ガラス製:
音が大きく安価だが脆く、すぐに粉々になるので、長期の使用には買い替えが必要
天然石・溶岩製:
デザイン性と雨などで流されにくいという利点があるが、音が小さいため防犯性は低い
セラミック製:
雨風に強く音が大きいが高価
瓦:
水に強く安価だが、音は小さめ

防犯砂利を敷くときは、犯人だけが通る場所に敷くのがベストです。家族や普通の訪問者が通るところに敷いても音に慣れて異変に気付きませんし、犯人は人目を避けるような場所を選んで侵入します。場所選びなどでわからないことがあれば、売り場の人や業者に相談するといいでしょう。

車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)の法的な解決法

最初に述べたとおり、車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)は犯罪です。刑事・民事の両方で裁くことができます。大事なのは解決のためにしっかりと手順を踏み、正しいやり方でアプローチすることです。

刑事裁判で相手を罪に問う

車・バイク・自転車へのイタズラ(嫌がらせ)は主に刑法261条の器物損壊罪にあたります。3年以下の懲役又は30万円以下の罰金とされていますが、器物損壊罪は親告罪なので、被害者側が告訴しなければ刑事裁判で裁かれることはありません。

刑事裁判を起こすまでの準備と大まかな流れ

  1. 被害を受けてすぐに警察に相談し、被害届を提出
    被害届を出せば必ず捜査してくれるわけではない。しかしパトロールを増やしてくれたり、場合によっては現場で指紋などを調べてくれたりすることも

  2. 自分で証拠を集め、同時に探偵にも調査を依頼する
    警察を動かすには犯人の特定と確たる証拠が必須。それを集めるのは探偵の仕事

  3. 弁護士に相談し、訴状を作成して告訴の準備を進める
    告訴の手続きは複雑なので、警察に受理してもらうには弁護士の協力が必要

  4. 警察による捜査、調書の作成と送付
    警察が捜査内容から調書を作成し、検察官に送付する

  5. 検察官が起訴・不起訴、その他の処分を決める
    裁判を起こす必要があるかどうかの判断を検察官が下し、場合によっては裁判以外の措置をとることも

器物損壊は初犯でも起訴される可能性は充分あります。起訴されないのはすでに当事者同士で示談が成立したケースや、検察官が罰金の支払いなどの略式命令の決定を下したケースなどです。

また刑事裁判から引き続き損害賠償請求についての審理に移行する損害賠償命令制度というものもあります。刑事裁判の記録を引き継ぐため、改めて民事裁判を起こすのに比べて、大幅に時間や費用を削減できます。

後で述べますが必ずしも刑事裁判で裁かなくても、示談で解決することもできますし、示談には示談のメリットがあります。

民事裁判で損害賠償請求をする

刑事裁判は犯人を罪に問うもので、民事裁判は主に損害賠償請求をするためのものです。傷つけられた車・バイク・自転車の修理費用や、場合によっては精神的な負担に対する慰謝料を請求します。

民事裁判の判決は一定の強制力を持ち、賠償金の支払いが滞ったときは財産の差し押さえを行えるのが大きなメリットです。

民事裁判の準備から判決までの大まかな流れ

  1. 犯人特定につながる証拠や被害状況の記録をとっておく
  2. 探偵に依頼して犯人の特定と証拠集めを行う
  3. 弁護士に依頼し、相談して訴状を作成する
  4. 裁判所に訴状を提出(提訴)する
  5. 訴状に不備がなければ裁判が始まる
  6. お互いの主張を裁判官が判断し、判決が確定
  7. 判決に不満があれば控訴・上告して再び審議

民事裁判では警察は捜査してくれません。そのため勝訴するには自分で探偵に依頼し、十分な証拠を集める必要があります。また裁判を起こすには弁護士の協力も必要です。

民事訴訟に関しては、関連記事にも詳しく書かれているのでそちらも参考にしてください。

示談で解決する

車・バイク・自転車を傷つけられて腹は立つけれど、謝罪と弁償さえしてくれるなら裁判まで起こす気はないという人には、示談という解決法もあります。当事者同士が弁護士などの第三者を挟み、話し合って賠償や今後の対応を取り決める方法です。

示談のメリット

  • 費用・労力・時間があまりかからない
  • 示談書を公正証書化すれば法的拘束力を持つ
  • 裁判にしないことを条件に相手に慰謝料などを請求できる
  • 後に裁判に発展した場合にも有利

犯人にとっても示談で済めば前科を負わずに済みますし、被害者も長い時間をかけて裁判をしても、思い通りの結果が得られるとは限らないことを考えれば、示談は場合によっては双方にとって最善の解決法になります。

イタズラ(嫌がらせ)の法的解決には犯人特定と証拠集めが必須

停める場所を変える、ボディカバーをかけるなどの簡単な対策で解決することもありますが、犯人がターゲットを定めている悪質なイタズラ(嫌がらせ)を行っている場合はそうはいきません。車・バイク・自転車から別のものにターゲットを変えてイタズラ(嫌がらせ)が続くことも充分ありえます。

そうなれば、裁判や示談などの法的な解決法をとるしかありません。

車・バイク・自転車に落書きしたり傷をつけたりする行為は犯罪です。犯人を特定し証拠を集めて、完全な法的解決を目指しましょう。

その場合は、探偵が張り込みや行動調査でお役に立ちます!