【投稿日】 2022年4月8日 【最終更新日】 2022年5月10日

名誉毀損にあたる発言をされた場合、証拠を集めることで刑事告訴や慰謝料請求などの法的措置を取ることが可能となる場合があります。

名誉毀損には口頭で行われるものとネット上で行われるものがありますが、中でも口頭で行われる場合は証拠が残りにくいため、被害を立証しづらい点が特徴として挙げられます。

では、名誉毀損の被害を立証するためにはどのような証拠が必要なのでしょうか。

この記事では、名誉毀損を受けた際に有効となる証拠や証拠の収集方法について解説いたします。

名誉毀損の証拠はどのような状況で被害を受けたかによって有効な証拠が異なる!

名誉毀損を受ける状況には「口頭」と「ネット上」があります。

口頭で受けた名誉毀損なのか、ネット上で受けた名誉毀損なのかによって有効となる証拠は異なるので注意しましょう。

例えば口頭で名誉毀損を受けた場合、以下のような証拠が必要です。

  • 加害者が名誉毀損にあたる発言をしたことが分かる証拠

一方でネット上で名誉毀損を受けた場合は、以下のような2つの証拠が必要となります。

  • 投稿があった事実を証明できる証拠
  • 投稿者を特定できる証拠

口頭の場合は名誉毀損にあたる発言をした相手が誰なのか分かっているため、相手を特定する必要はありません。

しかしネット上で名誉毀損を受けた場合、匿名で投稿されていることが多いため投稿した相手を特定できる証拠が追加で必要となるのです。

ただし、相手から悪口や暴言を吐かれたとしても、そもそも相手の発言が名誉毀損にあたらない場合は証拠を集めたとしても警察に動いてもらうことや裁判で慰謝料を請求することはできません。

名誉毀損にあたるのは以下の項目を満たす発言や書き込みです。

  1. 公然性・・・不特定多数が知る可能性がある状況で行われたか
  2. 事実を摘示・・・事実の有無に関わらず事実として周囲に伝えたか
  3. 名誉を毀損・・・社会名誉を傷つける内容であったか

上記の3つを満たさない発言は、悪意のある発言であっても名誉毀損にあたりません。

つまり、例えば1対1で「お前は不倫している」と嘘の事実を言われたとしても、公然性が認められないため罪にはならないのです。

ただ、ネット上での名誉毀損の場合は鍵アカウントのように少人数しか見ることのできない状態であっても、相手と自分以外の不特定多数の人物が見る可能性がある場合は公然性があると判断される可能性があります。

口頭で名誉毀損された場合の証拠

口頭で名誉毀損を受けた場合は以下のような証拠が有効です。

  1. 証拠1:名誉毀損にあたる発言の音声や動画
  2. 証拠2:目撃者の証言

それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。

証拠1:名誉毀損にあたる発言の音声や動画

口頭で名誉毀損を受けた場合に最も有力な証拠となるのは、名誉毀損にあたる発言の音声や動画です。

口頭での名誉毀損はネット上の名誉毀損と比較すると、発言の事実を証明するような証拠を集めにくいと言えます。

そのため、証拠がない状態では発言をした相手に「そのような発言はしていない」と否認されるのを防ぐことができません。

特に1度きりの発言の場合は、発言の音声や動画を集めるのは困難です。

もしも、繰り返し名誉毀損が行われている場合は事前にボイスレコーダーやビデオカメラなど録音や録画が可能な機器を用意し、できる限り発言の証拠を集めましょう。

証拠2:目撃者の証言

口頭で名誉毀損を受けた時には目撃者の証言も証拠の1つとなります。

例えば、1度きりの名誉毀損で発言の音声や動画などを録音・撮影できなかった場合、周囲に居合わせた人が証言者となれば、発言があった事実を証明することが可能です。

ただし、発言の音声や動画と比べると証拠能力が低くなってしまいます。

もしも、目撃者の証言を証拠として提出する場合は、なるべく多くの人の証言を集めて証拠能力を高めましょう。

ネット上で名誉毀損された場合の証拠

ネット上で名誉毀損された場合、具体的には以下のようなものが証拠として有効です。

  • 証拠1:書き込みのスクリーンショット
  • 証拠2:発信者情報開示請求によって特定された犯人の情報

ネット上で名誉毀損を受けた場合は、口頭で名誉毀損を受けた場合に比べて証拠を集めやすい点が特徴です。

ただし、発信者情報開示請求によって犯人の情報を得る際は、複雑な手続きが必要となります。

必要であれば探偵や弁護士など調査や法律に関する専門家に相談しましょう。

証拠1:書き込みのスクリーンショット

ネット上で名誉毀損された場合は書き込みの事実を証明できる証拠が必要です。

書き込みの事実を証明できる証拠とは、名誉毀損にあたる内容が書き込まれた投稿のスクリーンショットです。

スクリーンショットを撮影する際は、必ず書き込みが行われた日時が分かるように撮影しましょう。

スクリーンショット以外には画面をプリントアウトするという方法があります。

画面をプリントアウトする場合は書き込みが行われた日時やページのURLも一緒に印刷することで証拠として使用することが可能です。

ネット上の書き込みは証拠保全が比較的簡単にできる反面、時間が経つと投稿者やサイトの運営者によって削除されてしまうことがあります。

名誉毀損にあたる書き込みを見つけたら、すぐにスクリーンショットを撮影し、保存しておきましょう。

証拠2:発信者情報開示請求によって特定された犯人の情報

名誉毀損を受けた場合は発信者情報開示請求によって犯人を特定することで、相手が投稿を行ったという事実を証明する証拠として使用することができます。

発信者情報開示請求とは、プロバイダに対して名誉毀損を行った発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号など」の開示を求めることができる制度です。

プロバイダの特定を行うためにはIPアドレスとタイムスタンプ(書き込みが行われた時刻を

証明するもの)が必要になるため、発信者情報開示請求を行う際は、まず書き込みが行われたサイト運営者に開示を求めることになります。

氏名や住所など、書き込みを行った発信者の情報が分かれば、刑事告訴や慰謝料請求訴訟を起こすことができるようになります。

情報開示請求を行わなかった場合、相手が名誉毀損を行った事実を証明できません。

相手が言い逃れできる状況を与えることになってしまうため、ネット上で名誉毀損を受けた場合は発信者情報開示請求を行いましょう。

ただし、サイト運営者やプロバイダが情報開示を行うことは任意とされています。

情報開示は任意であることから、発信者の情報を開示してもらえないケースが多いのが現状です。

発信者の情報を開示してもらえない場合、サイト運営者に対して仮処分を行い、プロバイダに対しては開示請求訴訟を起こすことになります。

仮処分や開示請求訴訟によって主張が認められれば裁判所からサイト運営者やプロバイダへ情報を開示するよう命令が下ります。

名誉毀損の証拠を集める方法とは?

名誉毀損の証拠を集める方法には以下のようなものがあります。

  1. 証拠を自分で集める
  2. 証拠収集を弁護士に依頼する
  3. 証拠収集を探偵に依頼する

名誉毀損の証拠収集はある程度自分で行うことが可能です。

ただし、発信者情報開示請求を行う場合、自分で手続きを行うこともできますが、手続きが非常に難しいことで時間がかかってしまい犯人を特定できる証拠が取得できなくなってしまう可能性があります。

犯人を特定できる証拠が取得できないという事態を防ぐためには、弁護士や探偵などの専門家に依頼しましょう。

【1】証拠を自分で集める

自分で名誉毀損の証拠を集める場合は、いますぐ確保できる証拠から順番に証拠保全を行いましょう。

例えば口頭で名誉毀損があった場合は、発言を聞いていた周囲の人物に協力を求めることが1つの証拠保全にあたります。

また、ネット上で名誉毀損を受けた場合は、速やかに書き込みやアカウント情報のスクリーンショットを保存することや、書き込みがある画面をプリントアウトすることが証拠保全として有効です。

名誉毀損を受けたからと言って、相手を刺激するような書き込みを自らしてしまうと状況が悪化してしまう可能性があるため避けましょう。

【2】証拠収集を弁護士に依頼する

ネット上で名誉毀損を受けた場合、発信者情報開示請求を行うことになります。

発信者情報開示請求の手続きは煩雑かつ専門的な知識が必要です。

弁護士に依頼せず、自分で発信者情報開示請求を行うことも可能ですが、プロバイダの開示請求ではアクセス記録に保存期間が設けられているため、手続きに手間取っていると保存期間を過ぎてしまう可能性があります。

アクセス記録の保存期間は概ね3ヶ月程度です。

アクセス記録の保存期間を過ぎてしまうと開示されても証拠が得られないということになるので速やかに手続きを行う必要があります。

犯人の情報を集める際は発信者情報開示請求の手続きや開示請求訴訟に慣れている弁護士に依頼するのがよいでしょう。

【3】証拠収集を探偵に依頼する

探偵に依頼するメリットは、手続きが難しい発信者情報開示請求を行うことなく犯人を特定できる点です。

インターネットは匿名性が高いため、書き込みを行った人物を特定することは難しいと言われています。

しかし、実は投稿した時間や内容など、犯人の特定に繋がる情報は至る所に隠れています。

探偵は隠れている情報の中から犯人の特定に繋がるヒントを見つけ出していくのです。

他にも調査の専門家として様々なルートから調査を行います。

発信者情報開示請求を行うのが面倒な場合や、アクセス記録の保存期間が過ぎてしまった場合は探偵に依頼しましょう。

まずはできる範囲で証拠保全を行うことが大切!ただし、証拠集めが難しいと判断したら専門家に依頼しよう!

名誉毀損の証拠集めは、初動がカギとなります。

時間が経過してしまうと、以下のような事態に陥ってしまうことが少なくありません。

  • 目撃者の証言が集まらない
  • アクセス記録の保存期間が過ぎてしまった
  • 名誉毀損にあたる書き込みが削除されてしまった

アクセス記録の保存期間が過ぎてしまったり、そもそも書き込みが削除されてしまったりすることが少なくありません。

そのため、まずはある程度自分で証拠保全を行ってから、探偵や弁護士などの専門家に依頼することで「集められたはずの証拠を逃してしまった」という事態を防ぐことができます。

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