【投稿日】 2019年7月4日 【最終更新日】 2021年10月21日
家出人が発見されたその後、多くの人が「連れ戻したい」「直接会って話をしたい」という希望を持っています。しかし、行方不明となった原因によっては、家出人の意思によりその望みが叶わないことも少なくありません。
- とにかく無事であることを確かめたい。
- 連絡だけは絶やさないようにしたい。
- 法的手続きをお願いしたい。
このような願いを持っている場合、残された人たちは家出人発見後どのように行動すれば良いのでしょうか。家出人が提出できる行方不明者届の不受理届や面会・連絡の拒否について詳しく解説しながら、家出人が発見された後の流れについてみていきましょう。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
家出人(失踪者)が見つかった場合に連れ戻すことができるのか?家出人(失踪者)が発見された後の基本的な流れ
まず最初に、家出人が発見されたその後の流れについて、基本的な部分を解説していきます。
心配をしていた人たちにとっては家出人の発見は喜ばしいことなのですが、もし家出人が自分の意思で行方不明となっていた場合、その後の流れは決して楽観視できる状況ではありません。家出人発見後の基本的な流れをケース別に解説しながら、起こりうる状況について詳しくみていきましょう。
家出人の行方不明となった原因が自分の意思でない場合は連れ戻せる
家出をした本人が、何らかの原因で自分の意思によるものではない行方不明となっていた場合、当然家出人を連れ戻すことは可能です。家出をした当初は自分の意思であったとしても、見つかった段階で自宅へ戻る意思がある場合も同様に連れ戻すことが出来ます。
成人した家出人が自分の意思で行方不明となっていた場合は連れ戻せるかは状況による
成人した人が自分の意思で家出をしていた場合、発見されたとしても本人の意思が尊重されます。見つかった状況によってはさらに状況が悪くなることもあるので、発見後は慎重な対応が必要です。
警察により発見された場合
警察は、行方不明者発見活動に関する規定に基づいて行動するため、まず最初に本人の意思確認を行います。成人している家出人が帰宅や連絡を拒否した場合、見つかったことだけは伝えられますが、基本的に家出人の意思を尊重して連絡先を教えたり強制的に連れ戻すことはありません。
探偵により家出人が発見された場合
探偵は依頼者の希望に添って捜索活動を行いますが、嫌がる家出人を強制的に連れて帰ることはありません。逆に、探偵が居場所を発見したことがわかるとさらに逃亡するケースもあるため、探偵は家出人との接触に慎重になります。
家出人が未成年の場合
未成年の家出人が発見された場合には、基本的には全て保護対象となり保護者の元へ帰されます。これは、未成年者は親元で健全な生活を送ることが大切であるという考えに基づいた結果なのですが、以下のような状況の場合には、未成年であっても連れ戻すことが難しくなります。
- 家出の原因が家族からの虐待であった。
- 親の生活が乱れていて家庭内が健全とは言えない。
- 保護者が子どもを育てられる状況ではない。
家出人が発見されても連れ戻せるとは限らない
残された人たちにとって家出人の発見は大きな目標の一つなのですが、「発見された=元の生活に戻る」というわけではありません。特に自分の意思で家出をした人にとっては「見つかった=問題が発生」という認識になり、強制的に連れ戻したとしてもまた家出を繰り返す可能性があります。
家出人が発見された場合は、次の3つの点についてよく確認することが重要です。
- 家出人が発見されたらまず本人の意思確認をする。
- 家出人の要望を聞く。
- こちらの要望を伝えてお互いの妥協点を見出す。
家族や恋人が家出をしたという問題は、例え家出した人を連れ戻したとしても原因が改善されなければ解決したとは言えません。「家出人はどうしたいのか」「残された人はどう思うのか」「問題を解決するための方法」をしっかりと話し合うことで、二度と行方不明にならない環境を整える必要があります。
家出人(失踪者)から行方不明者届の「不受理届」が提出されている場合は連れ戻せない可能性も
行方不明者届について調べていくと、必ず「不受理届」という言葉を目にします。行方不明者届が「探している人が警察に提出する届出」であるのに対し、不受理届は「家出した本人が探さないように警察に提出する届出」です。この不受理届が提出されていると、警察は家出人の捜索を行いません。
なぜこのような届出があるのか、不受理届が持つ意味合いや提出が認められるケースを挙げながらみていきましょう。
不受理届けが持つ意味合いとは
警察が行方不明者届を受理すると、家出人のデータは警察のデータベースに登録され捜索が行われます。当然、発見後は警察との接触や話し合いなどにより、家出人の現住所や現在の状況が残された人に知られる可能性もあります。
しかし、もし家出人が自分の身を守るために家出をしていた場合、警察の捜索権限の方を優先させてしまうとかえって家出人を危険に晒してしまうことになります。このような状況を想定し、家出人の意思や権利を守るために提出されるのが「不受理届」なのです。
家出する前に所轄の警察窓口で状況を説明し、正当な理由であることが認められると不受理届が受理されます。その後に残された人たちが行方不明者届を提出しても、不受理届の方が優先されるため、警察は捜索を行いません。行方不明者届の不受理届は、家出人の安全を守るために警察が受け付けている大切な届出となっています。
不受理届けの提出が認められる人
不受理届の提出が認められる人を、具体例を挙げてみていきましょう。
- 配偶者からの暴力が酷く、そこから逃げるために家出をしている人。
- ストーカーによる被害で身の危険を感じて家出をしている人。
- 怪我や病気などを放置され命の危険があるので逃げ出した人。
- 子どもに対する虐待が酷く、守るために子どもを連れて家出した人。
- 家庭内で暴力行為が日常的になっており、安全な場所へ避難した人。
これらの例をみてもわかるように、理由の全てが「家出人が危険にさらされている状態からの脱出」です。こうした理由が警察に認められると、行方不明届の不受理届が提出されることになります。
未成年者は不受理届を出すことが出来ない
未成年者の場合、どのような事情があっても基本的には不受理届を提出することは出来ません。しかし、家出の原因が家庭での虐待にあるのであれば警察の強制力は無く、事情を話すことで連れ戻されないこともあります。
家庭内での虐待や危険性を家出した未成年者が警察に相談している場合には、未成年者を保護するために、警察が親や家族に居場所を教えない可能性が出てきます。これは不受理届ではありませんが、家出した未成年者の育った環境や状況によっては、警察が「家庭が安全ではない」と判断するためです。
未成年者が受けている虐待については、警察以外にも厚生労働省が窓口を設けており、相談した結果によっては不受理届と同様に居場所が知らされないこともあります。
行方不明となった家出人が提出する不受理届や相談窓口による手続きは、家出人の強い意思の表れでもあります。見つけて連れ戻すことだけではなく、家出人との関係性や今後についてもしっかりと考える必要があるのです。
家出人(失踪者)が発見された後の具体的な相談先について
家出人が発見された後、もし面会拒否や連絡などが取れない場合には、どのように対応すれば良いのでしょうか。家出人を見つけ出した後に起こるトラブルについて、具体的な例を挙げながら最適な方法や相談先を解説していきます。
警察との連絡を絶やさないようにする
もし家出人が発見されても面会・連絡の拒否をした場合、警察はそれを強制的に行わせることは出来ません。しかし、一度行方不明になったことで警察の警らが強くなったり、家出人の現住所や行動範囲を巡回コースに入れるなどの対処が行われることがあります。これは、発見された行方不明者を二度と見失わないために必要なことでもあるのです。
実際に家出をして発見された人の中には、「居場所は伝えない代わりに警察との連絡は取り、現在の状況を保持している」という人も居ます。何らかの事情により家出をした人にとって、新天地での生活を邪魔されなければひとまず現状維持、という考えは選択肢の一つになり得るのです。
せっかく家出人を発見できても、そこからさらに行方不明となってしまっては元も子もありません。警察との連絡を絶やさないように心掛け、家出人の無事を確認しながら今後を模索していくことも重要です。
探偵に相談して家出人の現状把握をする
警察と連絡を取っていても、家出人の生活状況について詳細に知ることは難しくなります。そのような場合、探偵に相談してより正確な情報を手に入れ、家出人の現状把握をするという方法があります。
依頼された探偵は、家出人の現在の仕事・住所・居住環境・交友関係など、知りたい情報を集めたり写真や動画などで画像を押さえ、詳細を報告書にまとめて依頼者へと渡します。また、家出人との今後の関係や依頼者が持つ不安などに対し、専門家のアドバイスやカンセリングを受けることも出来ます。
調査のプロである探偵は、調査対象者となる家出人に気づかれることなく、依頼者の希望に添った調査を行うことが出来ます。無料相談も受け付けていますので、気がかりな事や知りたいことがある場合には、気軽に探偵に相談してみましょう。
弁護士や司法書士などに法的問題を相談する
家出人が残した物や権利関係は、残された人が勝手に処分・手続きすることは出来ません。具体的な例としては、次のようなものになります。
- 家出人が契約していた月極駐車場を解約したい。
- 家出人が残した車や物品を処分したい。
- 家出人との遺産分割協議が必要となった。
- 家出人が持つ権利の放棄をお願いしたい。
- 家出人の借金についての話し合いをしたい。
このような法的問題が起こった場合、一番良いのは家出人本人に解決して貰うことなのですが、家出人との交渉が無いとかなり難しい状況となります。
こうした問題が起こった時には、弁護士や司法書士などに相談して、家出人の代理人として動いて貰うという方法があります。そのまま放置を続けると、残された人たちにとっても負担になる可能性がありますので、法的問題で悩んでいる場合には専門家に頼るようにしましょう。
まとめ
家出人が発見された後の流れについて、詳しく解説してきましたがいかがでしたでしょうか。最後にもう一度内容を振り返り、まとめていきましょう。
- 成人した家出人が発見された場合、本人が嫌がる時には警察も本人の意思を尊重し、連絡先も教えず連れ戻すことも無い。
- 未成年の家出人が発見された場合、基本的には保護されて親元に帰されるが、家出の原因が家庭内にある時には連れ戻すことは出来ず、未成年者の安心と安全が最優先される。
- 行方不明者届の不受理届は、自分の身を守るために家出した人に認められた届出である。
- 未成年者が不受理届を出すことは出来ないが、家庭内に問題があって身を守るために家出をしている場合、その正当性が認められて不受理届と同様に連絡先を家族に教えないこがある。
- 一度発見された家出人が二度と行方不明にならないよう、警察は警らの強化や巡回などで連絡を取り合うので、本人が自分の意思で連絡を拒否している場合には無理に連れ戻さず、警察との連絡を絶やさないようにする。
- 家出人の現在の様子を知りたい場合には、探偵に調査を依頼して相手に知られないように気を配り、状況を把握しながら専門家などに相談すると良い。
- 家出人の持ち物や権利関係は勝手に処分・手続き出来ないので、弁護士や司法書士などの相談して違法にならないようにする。
行方不明となった家出人を発見した後に起こる問題は、予想もしていない人にとって新たな悩みのタネになることも少なくありません。家出人の捜索は発見したら終わりなのではなく、発見後の行動が重要となるのです。
もし難しい状況となってしまった場合には、専門家の協力も得ながら家出人の意思や行方不明となった原因としっかり向き合い、より良い方向へ進めるよう模索してみましょう。
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