探偵に調査の依頼・契約をする際に注意しなければいけない理由

無料相談や見積書の提示を経て、依頼する探偵を決めたら、次はいよいよ申し込み・契約に進みます。

しかし「契約書の内容は難しそうだから」「見積書を見たので大丈夫」などと言い、しっかり目を通さずにサインしようとしていませんか?その行動は危険です。

探偵業や興信所などに関する契約トラブルは、年々増加傾向にあります。

【申し込み・契約に関するトラブルの一例】

  • 無料相談で聞いた内容と、契約書の内容が大きく異なっていた
  • 見積書の内容と同じだろうと思い、契約書を見ないままサインしてしまった
  • 人探しを依頼したが、調査開始前に本人が帰宅。しかし、キャンセルできないと全額請求された
  • 自分が考えていた成功報酬の定義にあてはまらないのに、成功だと言われ料金を請求された
  • 内容を詳しく説明してもらえないまま、契約してしまった。調査もずさんで、もっとちゃんとした探偵に頼むべきであった
  • 解約料が想像以上に高く、契約書をもっと読めばよかったと後悔している
  • クーリングオフができると思い込んでいたが、条件にあてはまらなかった
  • キャンセルが可能と聞き、安心していたが、条件まで見ていなかった

など、上記以外にも申し込み・契約に関するトラブルはあとをたちません。

大多数の探偵・探偵事務所では、法律に基づき適切な契約を結ぶよう努めています。しかし、残念ながら一部には悪徳業者が存在しているのも事実です。

しかも「契約書にサインする=内容に同意した」と判断されてしまうため、後から「こんなつもりじゃなかった!」と言っても、どうにもならないことの方が多いのも事実です。

納得した上で、調査の申し込み・契約をするために、必ず確認すべき内容について、順を追って内容を説明していきます。

まず、確認すべき契約書の内容

契約書には、業界として定められたテンプレートはありません。しかし、最低限必要な内容は決まっていますので、最初に知識としてチェックしておいてください。重要事項説明書の内容と重なる部分もありますが、どちらかに記載されていれば問題ありません。

【依頼者の情報】

  • 氏名
  • 住所
  • 連絡先電話番号
  • メールアドレス
  • 調査利用の目的

仮に電話連絡を希望しない場合であっても、契約書には記載する必要があります。連絡方法は、選択可能です。電話はNG、何時から何時ならOKなど、連絡手段もしっかり伝えておきましょう。

【調査対象者の情報】

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 電話番号
  • 身長や体重、体格
  • 勤務先または学校名
  • 勤務先または学校の所在地
  • 所有している車

【調査に関する情報】

  • 調査期間(●年●月●日〜●年●月●日までのように具体的に)
  • 調査報告書の提出予定日
  • 調査料金の合計金額(消費税込みか別か)
  • 調査実費金額
  • 契約時の支払い金額
  • 着手金を支払う日付と金額
  • 残金を支払う日付と金額
  • 成功報酬の金額
  • 調査内容
  • 調査中の注意事項(特筆すべき点)
  • 解約手数料

【探偵事務所の情報】

  • 社名
  • 所在地
  • 代表者の名前
  • 電話番号
  • 届出番号

調査対象者に関する情報に関しては、別紙に記載を求められることもあります。また、調査方法が時間料金型、パック料金型、成功報酬型のいずれかによって、多少記載事項も異なります。

調査方法の違いについて詳しく知りたい方は、別ページの探偵の見積書で必ず注意すべき3つのポイントの「料金体系の仕組みを知っておく」をご確認ください。

【必要書類】調査目的確認書

探偵会社に調査を依頼する人の目的は、様々です。「配偶者の不倫の事実を掴んで欲しい」「家出した子どもの所在を調べて欲しい」「良い人材を探したいので、雇用調査を依頼したい」など、様々な例があります。

探偵事務所SATは、法律に遵守する範囲内で、様々な依頼のご相談をお受けしています。

しかし、依頼する側にも、様々な人がいらっしゃるため、全てが合法の依頼ばかりではありません。

例えば

  • ストーカーが、とある女性の居場所を知りたくて所在調査を依頼した
  • とある地域の出身者を差別する目的で、対象者の過去の経歴を依頼した
  • 犯罪目的で、合鍵をつくってもらいたいと依頼した
  • 犯罪目的で、とある家に盗聴器を設置して欲しいと依頼した
  • 恐喝目的で、過去の犯罪歴を探ってもらいたいと依頼した

といった依頼は、完全に違法です。内容を知った上で引き受けることで、探偵事務所側も罰せられます。合鍵作成や盗聴器の設置は、明らかに犯罪だとわかるため、誠実な探偵であれば、はっきり断るでしょう。

探偵事務所SATでは、差別・犯罪につながる可能性のある調査や、違法性の高い調査に関しては、全てお断りしております。

【違法行為・違法調査となる例】

  • 犯罪歴の調査
  • 病歴の調査
  • 銀行の預金額の調査
  • ローンの残高の調査
  • 消費者金融の利用に関する履歴
  • クレジットカードの利用残高
  • 出生地や出身地など、差別につながる身元調査
  • DV被害やストーカー被害に繋がる所在調査や人探し
  • 別れさせ行為

しかし問題は、本来の目的を隠し、調査を依頼された場合です。

例えばストーカーは、自分自身がストーカーであることを探偵に告げることはないでしょう。「昔、お世話になった人で、どうしてもお礼が言いたいので、所在が知りたい」と、細やかなストーリーをつくり、依頼された場合、見抜ける探偵ばかりではありません。

知らないうちに犯罪に加担していたという探偵側のリスクを減らすために提出を求められるのが、調査目的確認書です。

これは探偵事務所に依頼したことで知り得た情報は、犯罪などの違法行為には使用しませんという誓約書であり、依頼主側が準備する必要はありません。書類自体は、探偵側が準備しますので、内容に目を通し、問題がなければ署名、捺印をしてください。

探偵業法では、探偵は依頼主に調査利用目的確認書への署名、捺印を求めることが義務付けられています。探偵が、調査利用目的確認書を提出してこなかった場合、依頼主側に対する罰則はありません。

しかし、些細な違反とはいえ法律を遵守していないわけですから、決して褒められた行為とは言えません。もう一度、依頼自体を見直す必要があるでしょう。

重要事項説明・契約事項説明の義務を果たしているか

探偵業法では、依頼主に対する、重要事項の説明、契約事項説明が義務付けられています。重要事項説明書として別紙が作成されている場合もありますが、紙を渡して終わりというわけにはいきません。必ず口頭で、説明する必要があります。

法律で定められているにも関わらず、詳細な説明を嫌がる探偵・探偵事務所は、誠実な調査ができる可能性は低いでしょう。

特にチェックすべきポイントをご紹介しておきます。

・調査内容と調査方法

調査内容が見積書の作成段階と同じであるかどうか、確認しましょう。知らない間に、調査内容が変更されている可能性があります。

また、調査方法に関しても、詳しい記載があるかをチェックしてください。「尾行」「張り込み」だけでは、契約内容が正しいかどうかの判断ができません。

例えば
「◇月△日 対象者の通勤時間に合わせて、車で尾行開始。調査員2名。立ち寄り先は全て記載。終業時間から、会社前で張り込み開始。会社を出た後の行動を尾行。浮気相手と思われる人物と出会った場合、写真撮影必須。ホテルに入る瞬間と出た瞬間・・・」等、できるだけ詳しい調査方法を聞いておきましょう。

全てを詳細に記載することは難しいかもしれませんが

  • 1日の調査予定時間
  • 予定している調査行動の内容
  • どの行動に対して、どれくらいの金額がかかるのか
  • 合計金額が導かれた計算式はあるのか

といった点は、最低限確認しておきましょう。

さらにもう1点確認すべきことがあります。それは、違法な調査方法が記載されていないかどうかという点です。

  • 電話の盗聴
  • 浮気相手の住居への侵入
  • 郵便物の無断開封
  • 車へのGPS取り付け
  • ナンバープレートからの個人特定
  • 住民票の入手

は、違法です。違法な調査であることを知った上で契約を結んだ場合、依頼主も罪に問われる可能性があるため、注意してください。

・調査時間や調査人数

説明内容と、記載内容に違いがないか、確認しておきましょう。

また「調査の進行状況に応じて必要であれば依頼主の許可をとらず、人員の増加や調査期間の延長ができる」などの文言がないかどうかの確認も必要です。

一方的に、依頼主に不利な条件で調査が進められることがないようにしてください。

・調査報告書

こちらも、説明内容と実際のサンプルに違いがないかの確認が必要です。

提出予定日はいつか、内容は裁判で使用できるものかどうかなども確認しておくと、より安心です。

成功報酬の定義を確認し、明確に記載する

依頼主は「成功報酬」と聞くと、調査が失敗した場合・証拠が見つからなかった場合は、調査料金が不要というイメージを抱きがちです。

しかし、探偵側は「成功=証拠獲得」とは認識していません。例えば、浮気調査の期間内に浮気相手と会わなかったとしましょう。この場合も「浮気をしなかった」ということを確認できたため、調査成功として料金を請求されることがあります。

また、調査は成功しなかったものの、調査にかかった経費は別途実費請求することもあります。

成功報酬の定義は、各探偵事務所によって様々です。そのため、成功報酬型の依頼を考えている方は、契約前に詳しい内容を確認しましょう。

  • 何をもって成功とするのか、具体的な内容
  • 証拠が得られなかった場合も、料金が発生するのか。する場合は何か
  • 証拠を得られた場合の成功報酬の金額はいくらなのか

最低限上記3点を確認しておくと安心です。

【成功報酬時の注意点】

婚約者の過去に関する結婚調査や、企業信用調査、浮気・不倫調査など、依頼主側が証拠を掴んでおらず「できれば、問題なしとの報告をして欲しい」と考えている場合の、成功報酬はより注意が必要です。

もちろん誠実な探偵であれば、しっかり調査をした上で「問題なし」との報告を行います。しかし、悪徳業者の場合、全く調査をすることなく調査予定期間が過ぎるのを待ち「問題なし」との報告をあげることもあるのです。

仮に問題がない場合でも、詳細な報告書を提出してもらえるのか、問題なしと言える根拠についての説明があるかどうかを事前に確認しておきましょう。

解約料・キャンセル時の返金(調査前・調査開始後)の内容確認

解約・キャンセルを申し出る事態が起きた場合に備えて、確認しておきたいのが、解約料・キャンセル時の返金内容です。

【解約・キャンセルを求めた事例】

  • 契約書にサインしたものの、調査結果が出ることが怖くなった。キャンセルしたい
  • 円満離婚を目的に調査を依頼していたが、相手が離婚に同意してくれたので調査の必要がなくなった
  • 配偶者が浮気を認めて相手と別れたため、支払い済みの調査費用を返金して欲しい
  • 家出人探しを依頼したが、調査開始前に本人が帰宅した。調査は不要である
  • 別途、大金が必要になり、調査費用の支払いが難しくなったのでキャンセルしたい
  • 調査対象者が怪我をして入院した。調査ができないので、キャンセルしたい

調査の必要がなくなった場合や、調査費用を捻出することができなくなったなど、様々な理由により解約・キャンセルの申し出をするパターンは少なくありません。

しかし、これらは全て依頼主側の都合です。

探偵が行動を開始するのは、尾行や張り込みなどの調査開始日ではありません。人員の手配や、スケジュール調整、張り込みや尾行の計画、車や機材の手配など様々な準備が行われています。

そのため、調査開始日(着手日)までは解約料が発生しないと勝手に思い込むことは危険です。基本的には「契約〜着手日前日」と「着手日以降」で、解約料が変わります。

業者別の解約料の一例をご紹介します。

契約〜着手日前日 着手日以降
A 総額の8% 稼働分+経費の実費
B 着手金の返金なし 調査料金の全額請求
C 解約料ゼロ 調査料金の全額請求+解約料

数社を比べただけでも、探偵事務所によって内容が大きく異なることがお分かりいただけたのではないでしょうか。契約前には、必ず解約料やキャンセルした場合の返金について、質問しておきましょう。

探偵事務所SATでは、契約書記載内容に基づき、解約料、キャンセルの場合の返金対応をしております。不明点等ございましたら、お気軽にご相談ください。

【高額すぎる解約料は問題あり】

ただし、いくら契約書に記載しているからといえ、あまりに高額な解約料を請求する探偵事務所は、問題があると言わざるをえません。

高額な解約料を提示された場合は、もう少し価格を抑えることができないか、交渉することも大事です。交渉は苦手という人は、良心的な解約料を提示する探偵を探す方法もあります。

クーリングオフについて

クーリングオフとは、契約から一定期間であれば、無条件で契約を解除できる制度です。また、すでに支払った代金がある場合も、返金されます。

2008年から、探偵事務所・興信所にもクーリングオフ制度が適用されるようになりました。

しかし、購入・契約の意思を持ち、自ら店舗に出かけた場合は、クーリングオフの対象外となっています。下記表をご確認ください。

クーリングオフ
探偵事務所に行き、契約 ×
事務所以外の場所で、契約
依頼主の自宅に探偵が来た上で、契約 ×

事務所以外の場所、カフェやカラオケボックス、ホテルのロビーなどで契約した場合のみ、クーリングオフ制度を活用することが可能です。

ただし、クーリングオフを行うためには、クーリングオフ対応の法定書面にて、契約を結ぶ必要があります。事業者の氏名や住所などは、探偵業法で定められた内容と重なる部分もあり、問題はありません。

クーリングオフ対応の書面は

  • 赤字・8ポイント以上の文字
  • クーリングオフが適用される契約であることが記載されている
  • その文字が赤枠で囲われている

という3つの条件を満たす必要があります。

法定書面を受け取り、契約をした日を1日目とし、8日以内であれば、クーリングオフが可能です。

事務所や自宅以外の場所での契約を申し出たにもかかわらず、契約書にクーリングオフの記載がない場合は、尋ねてみましょう。良心的な探偵事務所であれば、追加してくれるはずです。

探偵事務所SATでは、依頼主のご希望に合わせた場所での契約を行なっております。クーリングオフ適用範囲の場所での契約の場合は、クーリングオフについて記載された法定書類を持参の上、お話をさせていただきます。どうぞ、ご安心ください。

探偵との契約は「疑う」ではなく、「確認」するイメージで

契約・申し込み前に確認すべき内容がたくさんあり、驚かれた方も多いのではないでしょうか。悪徳業者に騙されないため、信頼関係を築きしっかりと調査をしてもらうためではありますが、疑いの気持ちを持ったまま話を聞くのは、お互いにとって辛いことです。

しかし「ひとつずつ確認しておきたい」という思いを持って、尋ねる分には全く問題ありません。真剣に探偵事務所を探しているからこそ、質問も真剣になるのです。

探偵事務所SATでは、依頼主の質問・疑問に、全て丁寧にお答えします。不安な気持ちを持ったまま、調査を開始しても、良い結果は生まれません。お互いの信頼関係を築いた上で、調査に入ることを大切にしております。