探偵の調査報告書が重要である理由

探偵の調査が完了し、最後に受け取ることになるのが「調査報告書」です。一般的には、調査報告書を受け取り、依頼主が内容を確認することで、契約完了と見なされます。

しかし、探偵の調査報告書には、業界統一の基準はありません。各探偵事務所がそれぞれのケースに応じて作成しているため、内容にばらつきがあるのも事実です。

中には

  • 数日間の調査であれば、調査報告書を作成しない
  • 調査結果を口頭や電話で直接伝える
  • 調査結果はメールで伝える

といった、簡易的な報告で終わらせる探偵もいるため、調査報告書が必要だと考えている場合は、最初に調査報告書の有無を尋ねておくと良いでしょう。

調査報告書が重要である理由は、大きく分けて2つあります。

【第三者を納得させる証拠になる】

例えば、探偵が依頼主に電話で「あなたの夫は、◯月△日に◇ホテルで、学生時代の後輩Aさんと密会していました。滞在時間は・・・」と調査結果を報告したとしましょう。状況証拠はしっかり揃っており、浮気(不貞行為)は確実です。

しかし、それが口頭で伝えられたものであれば、真実かどうかを判断することはできません。夫にその内容を伝えたとしても「その時間は、会社で働いていた」「他人のそら似ではないのか」と言われてしまえば、それ以上責めることはできません。

そして「証拠があるなら出してみろ」と言われ、しかし何も提示できないあなたは泣き寝入りとなってしまうのです。浮気相手と告げられた女性に会いに行っても同じことです。証拠がなければ、何もできず、ひどい場合は逆に名誉毀損で訴えられることもあります。

しかし、調査報告書があればどうでしょうか?

夫が家を出てからの行動全て、浮気相手とのデート中の仲睦まじい様子、ホテルへの出入りを表す写真、時刻、状況が全て記載されていたとしたら、夫はもう言い逃れができません。

さらに、慰謝料請求や離婚に向けた話し合いなどでも使用できるほか、一定の様式を満たしていれば裁判の書類としても提出が可能です。

【探偵の調査力が事前に判断できる】

相談、契約時には「お任せください!」と言っていたにも関わらず、調査を開始した後は、言い訳ばかりで頼りない、そんな探偵に依頼したくはないですよね。

調査報告書の内容を事前に確認することで、事前に調査の質や内容を見極めるためにも役立ちます。

写真の枚数や画質、文章のセンス、時系列の細かさといった内容から、探偵の能力を判断しておきましょう。

探偵の調査結果をまとめた調査報告書の種類と内容

調査報告書は、大きく次の3種類に分けることができます。

提出媒体 内容
1 書類 文章と写真 (時系列で掲載)
2 DVD 動画(必要な場所を編集していることが多い)
3 USB、メモリーカード等 音声(話し声や不貞行為の音声など)

調査報告書の書類の場合は、調査開始(尾行・張り込み開始)から完了まで、対象者の行動や発言、出会った人物、関係者との様子など、全てを時系列に記載することが基本です。

次に、記載内容についてお伝えします。依頼内容によって多少の違いはありますが、基本的な内容は同じだと思ってくださって構いません。

【調査報告書(紙媒体)の記載内容】

  • 調査対象者の氏名
  • 現住所
  • 勤務先
  • 調査目的
  • 調査実施日
  • 調査開始時間
  • 対象者の服装や体格等の特徴
  • (浮気・不倫調査の場合、相手の服装や体格等の特徴)
  • 移動ルート(使用した交通機関名、通った改札、歩いたルートなど)
  • 訪れた店舗名、ホテル名と入退室時間


(※例 浮気調査の場合)

平成30年 3月28日 午前11:23

対象者は▲▲ビル(住所:大阪市北区・・・)に入館。1人でカフェに入店し、アイスコーヒーを注文。現金で支払いを終え、JR△△駅方面に向かう。

平成30年 3月28日 午前11:50

大阪市北区△△にて、40代女性と合流。すぐに◇◇タクシーを拾い、2名とも乗車。◇◯方面に向かう。

【女性の服装・特徴】

  • 30代女性
  • 身長165cm前後
  • 金髪ストレートのロング
  • ベージュのコート
  • 黒のセーター
  • 革製のハンドバック(▲▲のブランドロゴ入り)

入退室場面だけでなく、道路を歩く姿、電車やタクシーに乗る場面など、行動した時間と場所(住所含む)、そして写真を時系列に並べることで、よりわかりやすい調査報告書に仕上がります。

また、DVDや音声データに関しては、依頼する探偵事務所や依頼内容によって使用の有無が異なります。ただし、あくまで紙媒体の調査報告書がメインです。DVDや音声データは、報告書の内容を補うためのオプションと考えておきましょう。

DVDのメリットは、調査中の具体的な内容を確認できる点です。写真では伝わりにくい雰囲気や情報も、直接依頼主がチェックすることもできます。

また、内偵調査が必要となった場合や、依頼主側から要望があった場合は、音声データを録音し渡すこともあります。ただし、調査対象者の浮気相手と思われる部屋に忍び込み、盗聴器を設置するといった法律に違反する形でのデータ収集は行いません。

探偵事務所SATは、法律・探偵業法に基づいた形で、証拠を獲得します。違法行為は一切行なっておりませんので、どうぞご安心ください。

探偵の調査報告書の「証拠能力」が高い理由

調査報告書は、裁判資料としても用いられるとお伝えしましたが、その理由は、探偵側の調査能力の高さ、信頼性と深い関係があります。

その理由について、見ていきましょう。

何重もの裏付け調査を行い、調査報告書を作成する

もしも別人を調査対象者と勘違いしたまま、調査報告書を作成してしまったら、どうなるでしょうか?さらに調査対象者の浮気相手を間違え、別人に内容証明郵便を送ってしまったらどうでしょう?失敗どころか、逆に名誉毀損で訴えられる可能性もあります。

また調査報告書に誤字や脱字、日付や住所の間違い等があれば、正確性に欠けると判断され、証拠としての価値も大きく下がってしまいます。

曖昧さやいい加減さをよしとせず、真摯に調査と向き合っているからこそ、調査報告書は証拠能力が高いと認められているのです。

写真や映像の見やすさを重視している

いくら日時や場所が具体的に記載されていたとしても、写真や映像がブレていたり、ピンボケになっていては、証拠としての価値は認められません。基本的には遠く離れた場所から撮影することになります。

しかし探偵は様々な機器を用いて、より画質の良い、わかりやすい写真や映像を得るため、日々努力をしており、その結果が信頼性という形で表れているというわけです。

また、証拠データは改ざんを防ぐため、写真や映像には全て日付を設定して撮影、録画することが義務付けられています。

「うっかり、間違った日付を設定してしまった」といった言い訳は通用しません。証拠獲得のチャンスを逃さないよう、常に探偵は、神経を尖らせ、念入りに準備を行なっています。

どんな調査報告書でも、裁判の証拠に使える?

しかし裁判の証拠として使うためには、どんな調査報告書でも良いというわけではありません。そのため、裁判で使う可能性がある場合、使いたいと考えている場合は、事前に探偵側に相談する必要があります。

より詳細に、丁寧に証拠を取得する必要があるため、探偵側も綿密な準備が必要です。事前にきちんと目的を話すことが、スムーズな調査につながるでしょう。

(例)【相談内容】
夫が浮気をしています。ずっと長く我慢をしていたが、もう無理です!浮気の証拠を提示し、裁判で慰謝料を勝ち取りたい。

この場合、調査報告書に記載すべき内容は浮気の証拠(不貞の証拠)です。

多くの人が誤解しがちですが、求められているのは不貞の証拠=肉体関係を持っているという証拠です。つまり、浮気相手と思われる相手とのメールやLINEのやりとり(スクリーンショット)や、手を繋いで街を歩いていたなどの証拠では、不貞の証拠として弱いと言わざるをえません。

いくら「愛してるよ」「大好きだよ」とメールやLINEで伝えていたとしても「冗談だ」と言われてしまえば、それ以上問題にすることはできません。手を繋いでいたとしても「その場のノリだった。酔った勢いだった」など、いくらでも言い逃れは可能です。

「それなら、ラブホテルに入るところ、出てきたところの写真はどうか」と言われる人もいますが、これもまた現場写真だけでは、証拠としては弱くなります。

一度きりの関係である可能性も捨て切れませんし、仮に複数回であっても言い切れる証拠はありません。「酔っていて記憶がない」「相手が体調を崩したので休憩していただけ」など、こちらもまた、言い逃れできてしまいます。

目的が「離婚したい」だけではなく「慰謝料を請求したい。浮気相手の女性の居場所を突き止め、相手にも請求したい」という場合は、尚更です。


裁判資料として使用するためには

  • ラブホテルや相手の部屋への出入り写真
  • ラブホテルに入るまでの一連のデートの様子
  • 2人の親密さを表す会話、行動
  • 調査現場に関する最新の地図情報(看板、標識も含む)がある
  • 主観的な要素が混じっていない、客観的な報告書である
  • 時系列で写真と文章を交えてわかりやすく説明されている

以上、6つの条件は、最低限満たしていなければいけません。

どんな調査報告書であっても裁判の証拠になるとは言えませんが、前もって裁判で使いたい旨を伝えることで、探偵事務所側での対応は可能です。

素人が、裁判で戦うべきか、他の方法があるのかを自己判断するのはとても難しいものです。しかし、ご安心ください。探偵事務所SATでは、相談段階で依頼目的についてお伺いした上で、ご希望の方にはアドバイスや弁護士の紹介をさせていただきます。

どんな些細なことでも構いません。裁判、裁判資料、慰謝料に関する不安・疑問をお持ちの方は、一度ご相談ください。

探偵の調査報告書のサンプルでチェックすべき内容

契約前には、必ずサンプルを見せてもらうようにお願いしましょう。実際の案件に関しては守秘義務があるため、断られることもありますが「サンプルをつくっていない」「見せられない」と言う探偵事務所は、明らかに怪しいと考えるべきです。

探偵にとって、調査報告書は唯一形に残るものであり、依頼主にお渡しする大切なものです。一般的に考えて、サンプルをつくらないということは考えられません。

探偵事務所SATでは、調査報告書のサンプルをご用意しております。お気軽にご請求ください。

それでは、サンプルを提示してもらえたという前提で、チェックすべき内容をひとつずつ、ご説明します。

添付写真の質

浮気・不倫調査、いじめ・嫌がらせに関する調査など、人物の特定を求める場合、特に写真の質が重要です。

ブレやピンボケはいうまでもなく、横顔や後ろ姿しかない写真では、証拠としての価値はありません。「別人です」「他人の空似です」等、いくらでも言い逃れできてしまうためです。

少なくとも、人物の特定が必要な場合は「顔のアップ」「上半身」「全身」の姿の写真があるかどうかを確認しておきましょう。

  • ひとつの場所につき数枚しか写真がない
  • 全ての写真が同じ角度から撮影されている
  • ぼやけており、人物がはっきりと認識できない
  • 写真や動画が全体的に暗い

といった写真をサンプルとして見せてくる探偵事務所は、調査能力が低いと言わざるをえません。

車の中や、夜、雨の日の夜など、撮影には厳しい条件の中でも、いかに証拠を獲得できるか、その点を確認するようにしましょう。

文章の言い回し

これは探偵の調査報告書に限ったことではありませんが、報告書である以上わかりやすいことが重要です。基本の5W1Hに沿って記載されているかどうかを確認しましょう。曖昧な記載がないこともポイントです。

例えば

  • 10時すぎに、ホテルに到着
  • 10時ごろ、ホテル△△に到着
  • 平成30年3月14日10時04分、ホテル△△(兵庫県神戸市・・)に到着

という3つのうち、最後の文章が最も詳細に記載されていることがお分かりいただけるかと思います。立ち寄った施設や店舗の名前と住所、接触した人物の姿のほか、写真では伝わらない会話の内容など、できるだけ細かく記載されていることが望ましいです。

探偵の推測が入っていないか

探偵は、あくまで依頼人の代わりに調査を行い、行動・状況を調べる立場です。報告内容に、探偵の主観や推測が入ってしまうことは、好ましくありません。報告書は、あくまでも客観的な事実だけを記載する場所です。

(例)

対象者は白いレクサス(ナンバー:****)に乗り、実家のある△△市まで移動。13時45分、マンション◯◯(△△市××町**)の来客用駐車場に駐車。エンジンを切るが降りる気配はなく、しきりにマンション入り口を見ながらそわそわとした様子。浮気相手と待ち合わせをしたにもかかわらず、相手の姿が見えないためだと思われる。浮気相手のマンションまで直接迎えに行くほど、熱をあげており、夢中になっている様子がよくわかる。

前半部分は、報告書として全く問題ありません。しかし、問題は後半です。

「浮気相手と待ち合わせをしたにもかかわらず、相手の姿が見えないためだと思われる。浮気相手のマンションまで直接迎えに行くほど、熱をあげており、夢中になっている様子がよくわかる。」との部分は、明らかに探偵の勝手な推測・想像でしかありません。

いくら探偵であっても、心の中まで判断することはできません。また「熱をあげている」「夢中になっている」等のコメントも依頼主からすれば、あえて知りたくない、また言われたくない言葉でしょう。

不要な感想を排除し、客観的に判断できる内容のみが記載されているかどうかを確認しておくことが大切です。