イタズラ電話はかけられた側には犯人が誰なのかわからず、自力では解決しにくい迷惑行為のひとつです。個人にかかってくるイタズラ電話は不気味ですし、企業にかかってくると着信拒否もしづらく、業務の妨げになります。

このような嫌がらせの電話は、程度がひどければ犯罪となります。しかし残念ながら、嫌がらせ電話には警察はなかなか動いてくれません。

では犯人にイタズラ電話を止めさせたり、罪を償わせたりするためにはどうすればいいのでしょうか。この記事では、迷惑な嫌がらせ電話の解決法について詳しく解説します。もちろん個人でも企業でもそれぞれの対処法がありますので、迷惑電話に悩んでいる方は是非参考にしてください。

イタズラ電話・嫌がらせ電話は何の罪にあたるか

実は迷惑電話自体は罪にはなりません。迷惑電話によってどのような害があったかによって、どんな罪に問われるかが決まります。そのため個人が受けた場合と企業が受けた場合では罪が異なるのです。

またイタズラ電話・嫌がらせ電話と一口で言っても色々なパターンがあり、それによっても罪名は変わります。

イタズラ電話・嫌がらせ電話の種類

まずどのような電話が迷惑電話にあたるのか、どういったものが多いのかを整理しましょう。

イタズラ・嫌がらせ電話で多いパターン

  • 無言電話
  • 身分を明かさない(名乗らない)非通知の電話
  • しつこく何度も続けてかかってくる電話
  • 夜など非常識な時間に何度もかかってくる電話
  • 暴言・脅迫などの電話
  • 会社などの業務に支障が出るような電話

犯人がどんな目的・動機でかけようと、受けた側が迷惑だと思えばそれは迷惑電話です。

迷惑電話と判断されるポイント

  • 受けた側が嫌がっている・困っている
  • 回数が多い
  • 受け手に精神的・物理的な実害が出ている

これらの条件を満たすと、迷惑電話を犯罪として立証しやすくなります。

個人の固定電話・携帯電話にかけた迷惑電話

個人の場合は、電話の回数や内容によって受けた精神的被害が主な判断材料となります。

傷害罪(刑法204条)

傷害罪というと肉体的なケガだと思いがちですが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的な健康被害にも適用されます。

傷害罪と認められる健康被害の例

  • 夜に何度もかかってくるため眠れずに体調を崩した
  • 迷惑電話が怖くて電話の音が鳴るだけで息が苦しい・動悸がする
  • 電話での暴言や罵倒などが怖くて不安が消えない

傷害罪を立証するために必要な証拠

  • 電話の回数や内容の記録と録音データ
  • 健康被害についての医師の診断書

傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。また非親告罪なので警察に被害届を出せば、被害者が告訴しなくても警察が起訴のための捜査や手続きをしてくれます。

ただし被害がごく軽い場合は、当事者同士の示談が成立すれば不起訴となる、あるいは立件されないケースも多いです。また他の重大事件に警察の人員が割かれて、犯人が特定されていない場合は、イタズラ電話などの捜査は後回しにされることも少なからずあります。

脅迫罪(刑法222条)

脅迫罪は刑法において、

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

と定めてあるとおり相手や相手の家族などの命を奪う、体を傷つける、身柄を拘束するなどと言って、恐怖を感じさせた場合に適用されます。それらの行為を実際に行ったかどうかは関係ありません。客観的に被害者が恐怖を感じたと考えられるかどうかが判断基準です。

脅迫罪を立証するために必要なもの

  • 相手の脅迫を証明する音声データなど
  • どれくらいの期間・頻度で脅迫電話が行われたかの記録(通話・着信記録など)
  • 脅迫電話を受けて自分が感じたことなどの記録

脅迫罪の刑罰は、2年以下の懲役または三十万円以下の罰金です。傷害罪と同じく非親告罪なので、被害者は被害届さえ出せば告訴する必要はありません。しかし証拠があるのとないのでは、警察の捜査の精度とスピードが変わってきます。

企業・団体の電話番号にかけた迷惑電話

会社やお店などにイタズラ電話をかけた場合も、いくつかの罪に該当します。犯人の嫌がらせが悪質であるほど、罪は重くなります。

業務妨害罪(刑法233条)

イタズラ電話にも色々あり、それぞれのケースによって罪名は変わります。業務妨害罪は、他人の業務の妨害をする罪です。この場合の“業務”とはお金を稼ぐ仕事だけでなく、繰り返して行われる社会的な活動のほぼすべてが当てはまることに注意してください。

イタズラ電話が業務妨害罪と判断されるポイント

  • 業務が実際に妨害された、あるいは妨害される危険性があった
  • 犯人に嫌がらせの意図があった

実際に業務が滞っていなくても、その可能性があっただけで業務妨害罪が適用されることがあります。

イタズラ電話に業務妨害罪が適用される例

  • 迷惑電話が多すぎて一般の顧客への対応に支障が出た
  • 企業の信用を落とすような電話を顧客に何度もかけた
  • 企業やお店に嘘の注文・予約をした
  • 相手が他の電話を受けられないほど連続して電話をかけた

これら業務妨害罪(偽計業務妨害罪)の罰は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

脅迫罪(刑法222条)

企業や団体への嫌がらせの電話も、相手とその家族などの心身や自由を脅かすような内容であれば脅迫罪が適用されます。

イタズラ・嫌がらせ電話の犯人を法的に責任追求するための正しい対処法

この項では、犯人に法的な責任を取らせるための対策と対処法をメインに解説します。

また下の関連記事では

  • 迷惑電話の予防策
  • 迷惑電話の犯人の目的
  • 迷惑電話対策サービス

などについても解説しているので、すでに被害に遭っている人もそうでない人も是非読んでください。

証拠・記録をとる

迷惑電話を犯罪として訴える、あるいはそれを利用して相手と交渉するなら、証拠は必須です。本格的な証拠集めや犯人の特定は探偵や警察に任せなくてはなりませんが、かかってきた電話を録音したり、その内容の記録をとったりするには本人が最も適任です。

自分である程度情報を整理しておけば警察も動きやすいですし、探偵に依頼する際も時間や費用を軽減できます。

証拠として残すべきもの

  • 電話の音声の録音
  • 通話明細・着信履歴
  • かかってきた日時や回数、内容などの記録
  • 健康被害があれば診断書

警察としても被害を証明するものがなくては動けません。いくら非親告罪といっても、無条件で警察が捜査してくれるわけではないのです。

電話の録音の方法については、以下の関連記事でも詳しくされています。

着信拒否をする

嫌がらせ・イタズラ電話はたいていの場合非通知でかかってくるので、まずは非通知・公衆電話の着信拒否をしましょう。それで電話が止む場合もありますし、止まなければ次は番号を通知してかけてくるので、それを手掛かりに相手の情報を集めることができます。

また警察に相談しても、迷惑電話に対して最初は着信拒否のアドバイスを受けることが多いです。それでもまだ解決せずしつこくかかってきて実害が出たときに、警察もようやく積極的に動くことができます。

最初から番号通知でかかってきていても、警察に相談するなら、まずはその番号を着信拒否してからです。

余計なことをしゃべらない

相手の情報を集めるより大事なのは、これ以上こちらの情報を相手に与えないことです。

相手の目的が何であれ、しつこく迷惑電話をかけてきているなら、何らかのきっかけで嫌がらせ行為をエスカレートさせることが考えられます。それを防ぐためにも、自分のことはできるだけ電話でしゃべらないようにしましょう。

イタズラ・嫌がらせ電話の対応で気をつけること

  • 電話に出ても「はい」とだけ答えて、相手が誰かわかるまではこちらから名乗らない
  • 感情に任せて怒鳴ったりしない(相手が逆上して嫌がらせをエスカレートさせることも)
  • 相手の番号がわかってもかけ直さない(反応があると面白がって繰り返す)
  • その他、こちらの情報がわかるようなことは話さない

警察に相談する

証拠集めも大事ですが、警察への相談はできるだけ早くした方がいいです。できれば電話ではなく交番や警察署に出向く方がいいですが、まだはっきりとした被害が出ていないなら、トラブルなどの総合相談窓口の「#9110」にかけてみてください。

一部の電話からはかからないことがあるので、その場合は「06-6941-0030 (大阪)」 です。これは大阪府警の警察相談室(24時間対応)ですので、お住まいの都道府県の警察相談窓口にかけてください。

もしすでに迷惑電話による被害が出ているなら、警察にもいくつかの有効な対策ができます。

警察にできる迷惑電話対策

電話の逆探知:
相手が電話で脅迫などを行い、被害者に身の危険が迫っているような場合のみ行ってくれることがある
警察がかけなおす:
警察が介入することで、犯人に自分のしていることが犯罪になりうると自覚させることができる
通信記録や利用者情報の開示請求:
嫌がらせ電話がストーカー行為と確実に断定できる場合などに、警察の権限で通信業者に通信記録と回線の利用者情報を開示させることができる

ただし軽度のケースなら電話番号を変えるように薦めるだけにとどまることもあります。そうならないために十分な証拠をそろえて、被害届を受理してもらいましょう。

探偵に依頼する

警察が被害届を受理しても、他の重大事件を優先してすぐに捜査を進めてくれないケースもあります。そんなときに有効なのが、犯人の特定と証拠です。

迷惑電話の記録をいくらとっても、犯人を特定できることはまずありません。それは調査のプロである探偵の仕事です。探偵なら1つ1つの案件に適した対策を立て、プロの技術で証拠集めや犯人の特定をして解決に導きます。

弁護士に依頼する

証拠集めと犯人の特定が探偵の仕事なら、その調査結果を用いて解決するのは、法律と交渉のプロである弁護士の仕事です。

弁護士の協力が必要になるケース

  • 刑事裁判・民事裁判
  • 示談
  • 警察が動いてくれないとき

法的な解決法を望むなら、弁護士の協力は必須です。探偵に調査を依頼した場合は探偵からのつながりで弁護士を紹介してもらえることもあるので、相談してみましょう。

嫌がらせ・イタズラ電話を法的に解決するために

嫌がらせ・イタズラ電話にはまず着信拒否ですが、それでも止まずしつこくかかってくるようなら、充分犯罪として認められる可能性はあります。そして法的に解決するなら、警察への相談、探偵による犯人特定と証拠集め、弁護士の協力は必須です。

まずは冷静に対処し、早めに警察に相談しましょう。そして必要に応じて探偵や弁護士にも依頼してください。

初期の対策で止めさせられたならいいですが、しばらくしてから再開するケースもあります。嫌がらせがエスカレートしないうちに、犯人を特定して法的に解決しましょう。