【投稿日】 2020年8月25日 【最終更新日】 2021年10月21日

時代の変化に応じて、あの手この手でお金などを騙し取ろうとする詐欺師。様々な形態の詐欺がありますが、取られたお金を取り返すには、詐欺師の住所を特定するしかありません。

この記事では主に詐欺被害に遭った人が損害賠償を請求することを目的に、それぞれのケースでどう行動すればいいか、詐欺師の住所を特定するにはどんな方法があるかについて解説します。

詐欺は対応が遅れれば解決法が失われてしまう犯罪の1つです。そうならないために、詐欺に遭う前から相談先や必要な手続きなど、適切な知識を身につけておきましょう。

詐欺師に騙し取られたお金を取り戻すには相手の住所の特定が必須

詐欺に遭ったら、すぐに警察に相談し被害届を出す必要があります。しかし騙し取られたお金を取り返し損害を回復するには、それだけでは不充分です。

警察は万能ではありません。しかし警察にしかできないこともあります。まずはそれを理解してから、対策と詐欺師の住所特定に着手してください。

「刑事罰」を決める刑事訴訟と「損害賠償請求」のための民事訴訟

詐欺被害に対して警察ができることは、主に刑法に則った犯罪の取り締まりと、必要に応じた刑事訴訟の手続きです。刑事訴訟とは有罪か無罪か、刑罰はどれくらいが適当かなどを決める裁判です。

しかし刑事訴訟(刑事裁判)で、被害者に対する補償については審議されません。被害者の損害を犯人に償わせる方法としては、民事訴訟か示談が一般的です。

民事訴訟と示談の違い

民事訴訟(民事裁判):
被害者が原告、犯人(容疑者)が被告となって行われる裁判。双方が弁護士を代理人に建てる形が一般的。裁判官が適切な損害賠償金額を言い渡す形で結審する。途中で和解するケースや判決後に控訴・上告がなされるケースもある。
示談:
当事者同士で賠償金額をはじめとする解決方法を決めるための話し合い。間に裁判官や調停員などは挟まないが、弁護士などを代理人として立てることも多い。

騙し取られたお金を取り返すには民事訴訟ないし示談を行うことになります。そしてそのためには、相手の名前や住所の特定が必要なのです。

住所特定のためにもまずは警察に相談・被害届を

騙し取られたお金を犯人から確実に取り返すには民事訴訟や示談を行わねばならず、そのためには犯人の名前・住所の特定が必要。ここまではわかっていただけたでしょうか。しかし詐欺被害に遭ったらすぐに警察に相談し、被害届を出すことはとても大事です。

警察は被害額が少額であったり被害者が数人であったりするような事件はあまり積極的に捜査しない傾向にあります。しかしそれは逆に言えば、同様の案件に関する相談が集まれば捜査してくれる可能性が高くなるということです。

よって、被害に遭ってすぐのまだ犯人が捕まる可能性が高いうちに、警察に相談することは解決への近道となります。

そして警察が犯人を捕まえれば、犯罪利用口座から被害者にお金を分配する制度があります。詳しくは参考リンクを参照してください。

これを利用するためには、警察と金融機関への届け出が必要です。この制度を適切に利用すればお金を取り戻すのに民事訴訟を起こす必要がないので、是非早急に届け出ることをお勧めします。

さて警察や金融機関への相談・届け出が済めば、確実に結果を得るためにも、できるだけ早く犯人の住所の特定に着手しましょう。犯人の住所を特定すれば、それによって警察が積極的に捜査し、犯人を捕まえてくれることもあります。

振り込め詐欺、オークション詐欺、出会い系詐欺…形態によって詐欺師の住所特定方法は異なる

詐欺といってもその手口は様々で、最近はインターネットの普及に伴い、相手の顔も知らないまま被害に遭うケースも増えています。ネットでは名前も住所も、容姿すらいくらでも嘘をつけます。

しかし犯人としても、金銭の受け渡しをするには、全く何の情報も与えないというわけにはいきません。その際の情報が、住所の特定に役立ちます。

ケース別の詐欺の犯人の住所特定方法

  • 相手の銀行口座・携帯電話番号がわかっている → 弁護士会照会が有効
  • クラウドファンディングサイトなどを介した詐欺 → 各プラットフォームの制度と弁護士会請求を活用
  • 相手の顔や体格を知っている(画像でなく対面か動画で確認した) → 警察または探偵
  • ほぼ何もわからない → 探偵

住所の特定方法は概ねこのように分けられますが、同じような形態の詐欺であっても個々のケースで事情は異なります。他のケースの解説も読んで、適切な対策をとってください。

振り込め詐欺など相手の銀行口座や携帯番号がわかっているケース

2000年代に増加した振り込め詐欺(オレオレ詐欺)。文言に違いこそあれ、ほとんどが銀行の口座番号を指定してお金を振り込ませる形をとります。また銀行口座を介さず、携帯電話で連絡を取って直接手渡しさせるパターンもあります。

どちらにせよ、銀行口座や携帯電話番号あるいは固定電話番号がわかれば、弁護士会照会で比較的時間をかけずに相手の特定が可能です。

弁護士会照会(23条照会)とは、弁護士が依頼を受けた案件に関して必要な情報を官公庁や各企業に請求できる制度です。所属する弁護士会を通すことで、弁護士個人で行うよりはるかに多くの情報を集められます。

弁護士会照会で調べられる情報

  • 電話番号・銀行口座・クレジットカード番号から、名義人の住所・氏名・利用状況など
  • 氏名から、国籍・現住所・出入国記録など(主に外国人の場合)
  • 経営している飲食店の経営に関する情報や保健所からの許可番号など
  • 刑務所に収容されている場合は刑務所名・収容年月日など
  • ※その他、必要に応じて様々

弁護士会照会のメリット

  • 弁護士個人が情報開示請求を行うより早く済む
  • 被害者本人や弁護士個人が行うよりはるかに多くの情報が集められる

弁護士会照会のデメリット

  • 照会請求をしても拒否されるケースがある
  • 照会先に登録された情報(住所など)が虚偽だとどうにもできない

詐欺はばれないように様々な対策を講じて行われる計画的な犯罪です。振り込め詐欺であれば多くの場合、銀行口座や携帯電話も犯人特定につながらないものが使用されるので、弁護士会照会も役に立たないケースは多いです。

そうなると弁護士には犯人について調べようがないので、探偵に住所特定調査を依頼することもあります。弁護士は住所特定に関して特別な職権を有しているものの、調査のプロではないので、調査方法は限られているのです。

大手のサイトを介したクラウドファンディング詐欺・オークション詐欺などのケース

インターネット経由で資金を募るクラウドファンディングや、個人同士が物品の売買をするネットオークションなどのネット取引。どちらも金銭を受け取る側が事業登録していない一般個人であることが多く、詐欺やその他のトラブルが起こりがちです。

クラウドファンディングもネット経由の取引も、その多くは企業が運営しているプラットフォームを介して行われます。よってまずは、その企業に働きかけるのが適切な方法です。

企業のプラットフォームを介した詐欺への対処法

  • プラットフォームの補償制度を利用する。個人間取引のサイトでは、利用者間のトラブルが起きた際に損害を補償する制度が設定されていることがある。
  • 弁護士に依頼し、弁護士会照会によって相手の住所を特定する。

    弁護士会照会を参照

プラットフォームの規約や制度を確認するのは大前提ですが、民事的に詐欺と判断できる材料があるなら、弁護士会照会を利用すれば住所特定は比較的簡単です。また特にクラウドファンディングはまだ法整備が追い付いておらず、対応がずさんなプラットフォームも多いため、弁護士に相談して適切な対応を検討するのがベストです。

相手の顔や体格などを知っている・写真などがあるケース

婚活が盛んになっている現在、お互いの身元の保証もなく付き合いを始めることも多いため、婚活パーティやマッチングアプリでの詐欺は増えています。交際や結婚をほのめかし、高額な商品を交わせたり金品を貢がせたりする詐欺です。

しかしこのような場での詐欺なら、住所や氏名などは嘘がつけても、顔や体格まで完全に隠すことはできません。また話し方や持ち物、話題などからも相手を特定する材料はいくらでも出てくるものです。更に業者やサイト・アプリには顔写真が保管されているかもしれません。

このように本人と直接対面しての詐欺なら、犯人を特定する材料が多いため、被害額や被害人数などの状況によっては警察も動きやすいです。よってまずは警察に相談し被害届を出すことですが、それでもすぐに捜査に着手してもらえないことは少なくありません。

すぐに住所を特定したいなら探偵に相談しましょう。上でも述べましたが、住所を特定すれば、警察も動きやすくなります。

探偵の調査方法については、次の項で詳しく説明します。

ほとんど何もわからない・知らされた情報が架空だったケース

ネットで知り合った相手とお互いの顔も知らず、HNや断片的な情報だけで交友関係を築くことも今では珍しくありません。そのような間柄で詐欺を行われしまうと、弁護士会照会でも相手を特定することはまず不可能です。また詐欺罪が適用できるかどうかの判断も難しいため、警察も捜査に着手できません。

このようなケースでは、探偵の調査が非常に有効です。

詐欺被害に関して探偵に調査を依頼するメリット

  • 調査できる内容・方法が幅広い
  • プロの技術で迅速・確実に結果を出す
  • 調査と同時に証拠集めが可能
  • 犯罪や不法行為があったと判断できなくても詳細な調査が可能

こと詐欺被害に関しては、最後のメリットが最も大きいです。

詐欺罪は構成要件を証明しづらく、犯罪と断定しづらいという特徴があります。これは警察がなかなか捜査に乗り出せない理由の1つです。また弁護士も詐欺と断定できる明確な証拠がなくては、弁護士会照会を拒否されることがあります。

その点、探偵なら、「詐欺が行われたかどうか」を調査することができるのです。お金が返ってこないまま連絡がとれない…などの不安があるなら、できるだけ早くに探偵に相談してみてください。警察や弁護士にはできない臨機応変な対応が可能です。

但し、探偵にできるのは住所特定やその他の調査と証拠集めまでです。お金を取り返すのは弁護士の仕事になります。

詐欺師の住所を特定するために自分でできること

詐欺師からお金を取り返すために、自分で住所を特定しようと考える人もいるかもしれません。被害が少額だと警察が積極的に捜査してくれることは稀ですし、弁護士や探偵に依頼するのは割に合わないという気持ちはわかります。

では、自分で詐欺師の住所を特定する方法にはどんなものがあるのでしょうか。

自分でできる詐欺師の住所の特定方法

  • 相手に関してわかっている情報の整理
  • 相手から聞いた住所が近いなら行って調べる(誰かが住んでいる様子や痕跡があるかなど)
  • 知っているメールアドレスや電話番号、SNSなどで連絡を取ってみる
  • 住所特定のために行ったことを記録する

詐欺師を探す方法はないわけではありませんが、相手が最初から騙すつもりなら、このような方法で見つかることはほぼあり得ません。詐欺は計画的な犯罪であり、素人に見つかるような逃げ方はまずしないからです。

しかし住所特定のための行動がすべて無駄というわけではありません。自分で集めた情報は探偵に依頼する際の手掛かりになりますし、相手に対してこれだけの働きかけをしたという記録は、相手が適切な対応をせずに逃げている証拠になるからです。

詐欺師に対し何らかの対処をするつもりなら、情報集めと記録はできる限り行ってください。

詐欺被害にあったら、できることが異なる警察・弁護士・探偵!それぞれ早期の相談を

詐欺師からお金を取り返すには住所特定が必須です。しかし詐欺というのは刑事で裁けるか、民事で不法行為として訴訟できるかという判断すら難しく、すべてのケースで有効な解決法があるわけではありません。

そのため、警察、弁護士、探偵をはじめ、様々な相談先を適切に利用する必要があります。そして詐欺師が逃げてしまう前に行動を起こすことも大事です。

詐欺被害に関しては多くの相談先があるので、是非関連記事もよく読んでください。

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