ストーカー行為として多くの人が最初に思いつくのが、しつこいつきまとい・待ち伏せ・尾行などでしょう。

会社からの帰り道、数m離れてずっと後ろをついてきたり待ち伏せしたり、何をするでもなく家の周りをうろついたり、駅でいつも待っていて毎日同じ車両に乗って見つめてきたり…。

職場が同じなら、用もないのにしつこく話しかけてくる、プライベートなことを聞き出そうとするなどのケースもあります。

これらの行為はストーカー規制法の取り締まりの対象でありながら、判断が難しく、警察も動きづらいのが現状です。

また被害者本人も、「気のせいかも…」と対策をためらってしまうのではないでしょうか。

しかし、つきまといが続けば精神的に追い詰められますし、そのまま放っておいても解決するどころか、ストーカー行為がエスカレートする可能性が高いです。まだ被害の小さい初期段階に正しく対処しなくてはなりません。

つきまとい・待ち伏せの初期段階で、まず何をすればいいのか、そしてそれぞれのケースごとにどういった対応が効果的なのか。この記事を読んで正しい対処法を理解し、是非参考にしてください。

つきまとい・待ち伏せ被害が始まった初期段階ですべきこと

全てのつきまとい・待ち伏せ行為やその他のストーカー行為を受けたときに、できるだけ早く、かつ必ずすべきことがあります。気のせいかもと思うくらいの些細なことでも、後々エスカレートする可能性を考えて、その都度対処しておかなくてはなりません。

この記事でいう「つきまとい・待ち伏せ」は、ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)における「つきまとい等」とは少し異なります。明確な犯罪行為となる前の初期段階のストーカー行為の対策についてこの記事では説明します。

警察に相談する

つきまといや待ち伏せに限らず、ストーカー被害の心当たりがあれば、まずは警察に相談してください。

2000年にストーカー規制法が施行されてから、警察はストーカーに対し大きな実行力を持つようになりました。つきまといや待ち伏せといった初期のストーカー行為だけで逮捕できるわけではありませんが、警察に相談することは必ず解決に役立ちます。

ストーカー行為を警察に相談することのメリット

  • 現段階でどうすればいいか適切なアドバイスが受けられる
  • 自分の現状を客観的に考えられるようになる
  • 警察がストーカーに話をして、冷静にさせることができる
  • ストーカー行為がエスカレートした場合に警察に話が通りやすい
  • 相談実績を作っておくと、刑事事件や民事裁判に発展したときの証拠になる

この中でも自分やストーカーが冷静に現状を判断できるようになることは、ストーカーの初期段階だからこそ強い効果があります。

被害者もストーカー被害に悩みつつ正常な判断ができなくなってしまいがちですが、ストーカーというのは視野が狭くなっている場合がほとんどです。しかし初期段階であれば、警察の介入によって冷静になり、ストーカー行為をやめるというパターンは実際たくさんあります。

もちろんアドバイスを受けたり警察への相談実績を作ったりすることも役に立ちますので、是非勇気を出して警察に相談してください。

ストーカー行為の記録と証拠の保全

初期段階のストーカー行為に対してできることは限られています。しかし今後ストーカー行為がエスカレートしたときのために早いうちから自分でしておかなくてはならないのが、被害の記録です。

記録すべき内容

  • 被害を受けた日時(その場に同行していた人物についても)
  • 被害の詳細な内容(どこからどこまでつけられた、話しかけられた内容、体や持ち物に触れられたこと など)
  • これまでに相手に対して行ったこと(拒否した、会わないように行動パターンを変えた など)
  • 相手に関して知っている情報(住所・氏名・年齢・勤務先、自分との関係性と知り合ったきっかけ、ストーカー行為のきっかけの心当たり など)
  • 相手の特徴(特に犯人が知らない人物の場合)

犯人と離れてすぐ、帰宅してすぐなど記憶が鮮明なうちに記録する方がいいです。もし警察への相談の時点ですでに記録があれば持って行ってください。

また、つきまといや待ち伏せの初期ではあまりないかもしれませんが、犯人に壊されたものや渡された手紙・メールなどは証拠となるので、できるだけそのままの形で保存しておきましょう。もし、けがをさせられたら患部を写真に撮り、できれば病院に言って診断書をもらってください。

ストーカーの初期段階での注意点

ストーカー被害の初期段階にしてはいけないこと

  • 相手に話を合わせる
  • 相手の行動に合わせるような行動をする
  • ストーカー行為の証拠写真を撮る・撮ろうとする
  • 相手が話しかけてこないのにこちらから話しかける
  • 必要以上の大声や威圧的な態度で対応する
  • 手紙や文書を渡す(抗議の内容でも)
  • 自分を見ている相手に視線を返す・にらむ
  • 感情に任せて行動する

ストーカーの初期段階で大事なのは、これ以上被害を拡大させないことと、相手に積極的に働き掛けないことです。好意があると勘違いされるような行動をとっても、強く拒否しても、相手の感情を刺激するような行為は、ストーカー行為をエスカレートさせる元となるからです。

「駅・電車・夜道・職場・学校・自宅近辺」ストーカー初期段階のケース別対処法

初期のストーカー行為は明確な対策や拒否の姿勢を取りにくいのも特徴です。終わってから、相手が去ってからああすれば良かったと思うことも多いでしょう。

また被害者の生活パターンやストーカーとの関係性によって時間や場所などが大きく異なるため、臨機応変な対応が必要となります。

その場で正しい対応をとれるように、ケース別に対策と注意点をまとめました。すでに被害を受けているパターンはもちろん、その他のパターンもよく読んで、もしもの時に備えてください。

駅・電車でのつきまとい

駅や電車で会うだけの相手なら、会わないようにすることが一番の対策となります。

具体的な対策

  • 路線を変える
  • 乗車する駅を変える(ひとつ遠い駅で乗る・降りるなど)
  • 1本早い電車に乗る
  • 乗車する車両を変える
  • バスなど他の交通手段を使う
  • 同僚やクラスメイトと一緒に行動する
  • 駅員・乗務員の近くにいるようにする

通勤や通学に電車を使っていれば毎日のことなので、何か対策をとろうとするとどうしても不便を強いられます。しかしこれも身の安全のためです。1か月くらいは相手と会わないようにして様子を見てください。

もし相手が自分に合わせて行動を変えてきた場合は、改めて警察に相談する、探偵に依頼するといった本格的な対策が必要になります。

またしばらく相手を避けて何事もなく、久しぶりに元の電車に乗るときには要注意です。頼りになる人を連れて行く、駅員さんのそばを離れないなど決して1人で行動せず、いつでも110番できる状態にしておいてください。

夜の帰り道(道路上)でのつきまとい

朝もつきまとわれることはありますが、夜、帰り道でつけられると暗くて危険なうえに、自宅を知られる可能性もあります。初めてつけられたときにそれを防ぐのが一番大事です。

そのためにはつけられていると感じたらコンビニやカフェなどに寄って相手の様子を見てください。相手も同じ店に入ってきて動かない、店の前で待っているなど明らかに自分をつけているとわかる場合は、家族に迎えに来てもらうかタクシーで帰るかして、相手がついてこられないようにしてください。

あるいはこれはあくまで可能ならですが、その日はホテルなどに泊まって帰宅しないという方法もあります。

その他の具体的な対策

  • 防犯ブザーをすぐに取り出せる状態で持ち歩く
  • 帰宅時間を早める(明るいうちに帰る)
  • 明るく人通りの多い道を選ぶ
  • 帰り道で何かあったときに入れる店を見つけておく
  • 誰かに迎えに来てもらう・一緒に帰る

大事なのは1人にならないことと何かあったときに駆け込める場所を確保しておくことです。

職場・学校でのつきまとい

職場や学校では、しつこく話しかけてくる、職場や学校の外で待ち伏せされる、手紙やメールを送られるなどのケースが考えられます。相手は主に同僚や同級生、あるいは上司、先生などです。

具体的な対策

  • 上司や先生などの責任者に相談する(自宅住所・電話番号など個人情報の保護についても)
  • できるだけ他の人と行動するようにする
  • 必要以上に微笑みかけたり話しかけたりしない
  • メールや手紙は証拠として保存しておく
  • 個室で2人きりにならないように気を付ける
  • 何かに誘われても断るか、他の人にも同行してもらう
  • 上司などが動いてくれるまではそれまでと同じ対応をする
  • どうしても2人きりになるときは会話を録音する(前もって準備をしておく)

職場も学校も、どれだけたくさん人がいても、いくらでも2人きりになれる場所はあるものです。つきまといを避けるためには2人きりになるようなシチュエーションを極力避けましょう。

そのためには上司や先生などの責任者の協力が必須です。できるだけ早く相談してください。これまでの被害に関しては口頭で説明するより記録を見せる方がわかりやすいです。

また2人きりになってしまったときのために、小型レコーダーを準備するかスマホでいつでも録音できる状態にしておくのも対策のひとつです。

職場・学校付近での待ち伏せ

これは相手が同僚や同級生ではなく、職場や学校にとって部外者であるケースです。ストーカーは、ターゲットの休憩時間や退社・下校時間に合わせて話しかけたりつきまとったりするために、会社や学校の周辺をうろつくことがあります。

職場・学校の責任者への相談は必須ですが、相手は部外者なので侵入は防げても周辺をうろつくことは禁止できません。管理責任者の権限があまり有効に働かないケースです。

その他の具体的な対策

  • 1人で外に出ない
  • 社用での外出は他の人に代わってもらう
  • 帰りはタクシーを使うか家族などに迎えに来てもらう
  • 民間の信頼できそうな女性支援団体に相談する・協力を仰ぐ

女性が男性に付きまとわれている場合に限りますが、警察が動いてくれなくても民間の女性支援団体が犯人に働きかけてくれることがあります。相手の出没場所が決まっているため、特別な調査も必要ありません。

ただし民間団体の質や目的は様々です。犯人を刺激しそうな団体には決して依頼しないでください。

自宅近辺でのうろつきや待ち伏せ

自宅を知られてしまうとプレゼントや手紙の投函や盗聴など、より程度のひどい嫌がらせをされる可能性も高く、非常にやっかいです。これ以上ストーカー行為をエスカレートさせないのはもちろんのこと、エスカレートした場合も視野に入れた対策も必要になります。

具体的な対策

  • 1人で行動しない(ごみ捨て・ポストの確認などであっても)
  • 家に入るときは周りに人がいないかをよく確認してからドアを開ける
  • 1人暮らしなら誰かに泊まりに来てもらう
  • しばらく実家や頼りになる知人の家に泊まらせてもらう
  • 郵便・宅配などがきたら差出人の名前を尋ねる
  • 玄関を二重鍵にする、窓を強化ガラスにする
  • あまりに防犯性の低い部屋なら引っ越す
  • 投函された手紙・プレゼントなどはできるかぎそのままの形で保管しておく
  • ドアやポストにいたずらされた形跡があれば写真を撮り記録をとる
  • ドアポストに盗聴器が仕掛けられていないか(不審物がないか)確認する


相談先

警察:
現状を伝える、周辺のパトロールを増やすなどの対策を要請、緊急の際の最寄りの交番の電話番号を聞く など
大家さん・管理人さん:
何か起こったときに通報したり親族に伝えたりしてくれることがある
警備会社:
家(建物)を犯罪から守るプロ
探偵:
うろつき・待ち伏せ・手紙やプレゼントの投函などの証拠集め、盗聴器発見調査 など

ストーカーに自宅を知られているというのは急を要する状態ですが、うろつき・待ち伏せは証拠が集めにくいため客観的な判断が難しく、ストーカー規制法やその他の法律で逮捕するのは難しいです。

よって堅固な自衛手段が必要であり、何かあったときのことを考えるなら、お金を払ってでも専門の業者に依頼することも視野に入れてください。

ストーカー問題の解決は初期段階の対策がカギ

誰しもストーカー被害になど遭いたくないものですが、遭ってしまったら被害の小さい早いうちに解決するしかありません。

そのために大事なのが、徹底的な自衛と適切な機関・業者への相談です。これに失敗すればストーカー行為が長引くだけでなくエスカレートし、最悪の場合命を落とすことにもなりかねません。

積極的な打開策はないものの、堅固な自衛策が必要となる初期のストーカー行為。自分だけで解決しようとせず警察や知人などに相談し、その都度適切な打開策をとりましょう。