【投稿日】 2021年11月3日 【最終更新日】 2022年10月27日

浮気調査や人探しをする際に相談できる探偵や興信所。

探偵と興信所はどちらも調査のプロとして業務を行うイメージがありますが、いざ依頼先を選ぼうとした際に「そもそも探偵と興信所はどう違うの?」と疑問を持った方は多いのではないでしょうか。

また、どうせ料金を支払って調査してもらうなら、自分のニーズにマッチした依頼先を選びたいという方は多いはずです。

そこで今回は探偵と興信所の違いについて、調査内容や料金相場などの観点から解説いたします。

探偵と興信所の違い

結論から言えば、2007年に探偵業法が制定されて以降、探偵と興信所には明確な違いはなくなりました。

ですが、探偵と興信所が現れ出した当初はそれぞれ以下のような役割を担っていました。

  • 興信所:主に企業の信用調査を行う
  • 探偵:対個人の調査を行う

当初、探偵は身分を明かさず調査対象者の身辺調査を行っていた一方で、興信所は身分を明かした上で信用調査を行っていたことが分かっています。

「身分を明かしているかどうか」という点は当初の探偵と興信所の大きな違いです。

しかし現在は明確な違いはなく、興信所も探偵も探偵業法に基づいて調査を行っています。

強いて言えば、興信所のほとんどは信用調査を依頼することができますが、探偵の場合、すべてが信用調査を引き受けているわけではありません。

このように誕生した当初の名残が残る点は多少ありますが、現代においての違いはほとんどないと言ってよいでしょう。

探偵と興信所の成り立ち

探偵の起源は戦国時代に遡り、敵方の様子を探る活動を行っていた「隠密」「間者」などが探偵の起源であるとされています。

江戸時代になると岡っ引きや同心などの警察のような機能を担った存在が「探偵方」と呼ばれていました。

その後明治28年には日本初の探偵事務所が誕生。

創業者は元警視庁の警察官を務めていた岩井三郎という人物です。

現在の探偵と異なる点は警察と協力して刑事事件の調査を行っていた点です。

あまり知られていませんが、現在の探偵アニメや小説で描かれる探偵は岩井三郎の影響を受けていると考える動きがあります。

探偵事務所が誕生する少し前の明治25年には、日本銀行大阪支店長でありアサヒビールの創業に携わったことで知られる外山脩造が、信用調査を行う「商業興信所」を設立しました。

設立にあたっては日銀や大阪地区にある30ほどの銀行の協力を集めたことが分かっています。

探偵・興信所でできることや調査内容

探偵・興信所は調査内容についてもほとんど違いはありません。

探偵・興信所は探偵業法によって、調査できることやできないことが定められており、調査手段として聞き込み・張り込み・尾行を行うことが許されています。

聞き込み・張り込み・尾行によって以下のような調査を行うことが可能です。

浮気調査 パートナーや配偶者へ張り込み・尾行などを行い、浮気の事実はあるかどうかを調査する
素行調査 調査対象者の日頃の行いや過ごし方を調査する
人探し 所在不明者の居場所を調査する
企業調査(企業内調査・信用調査・雇用調査) 取引先企業や従業員、内定者が信用できる人物であるかという点や勤務態度、日頃の行いについて調査する
いやがらせ、イタズラ調査 いやがらせやイタズラの証拠収集や犯人の特定を行う
ストーカー対策調査 ストーカー行為の証拠を収集し、ストーカーをしている人物の特定を行う

聞き込み・張り込み・尾行を行うことが許されている一方で、違法行為や調査対象者の権利やプライバシーを侵害する行為は行うことができません。

そのため、盗撮・盗聴などの違法性のある調査や差別に繋がるような調査、ストーカーやDVが目的の調査は依頼することができないので注意しましょう。

探偵・興信所に得意不得意はある?

探偵と興信所という括りでは得意不得意はないと考えてよいでしょう。

一方で、事務所単位で考えると、得意不得意は存在します。

探偵・興信所が行う調査は大きく分けると対個人の調査と対企業の調査の2種類となり、各事務所によってどちらを得意としているかは異なります。

また、対個人の調査にも浮気調査や人探し、素行調査などがあり、得意不得意が存在します。

そのため、探偵・興信所を選ぶ際は自身の依頼内容を得意としている探偵・興信所を選ぶとよいでしょう。

探偵・興信所の料金相場

探偵・興信所は料金面でも違いはありません。

以下の表は探偵・興信所の主な調査内容の料金相場をまとめたものです。

浮気・不倫調査 2〜3万円/時間
素行調査 1万円〜3万円/時間
人探し 1.5万円〜3万円/時間
企業調査(信用調査・雇用調査・企業内調査) 7万円〜25万円/件
嫌がらせ・いたずら調査 1万円〜3万円/時間

料金は主に「パック型」「時間型」「成功報酬型」の3つのプランに分けられ、調査の難易度や調査時間、人件費などによって決定します。

時間型やパック型の場合は1時間当たりの調査料金を比較的簡単に割り出すことが可能ですが、成功報酬型の場合は単純に計算するだけでは割り出すことができません。

料金相場と照らし合わせたいという場合は探偵・興信所側に予想される調査時間を確認しておきましょう。

時間型 1時間あたりの調査料金+調査にかかった時間を元に算出される。簡潔明瞭で短時間の調査では一番安くなるが、調査が長引く可能性がある場合は高額になるため避けたほうがよい。
パック型 調査料金、経費、成功報酬金、報告書作成料などの料金がすべて含まれているのが特徴。お得な料金に設定されていることが多いが、調査が短時間で完了した場合は割高になる可能性がある。
成功報酬型 調査前に成功条件を設定し調査が成功した時に料金が発生する。成功しなかった場合は料金を支払う必要はないが、契約時に支払った着手金は戻ってこない。

あまり違いがない探偵と興信所。結局どちらを選べばいいの?

探偵と興信所は調査内容や料金相場に違いはありません。

どちらも浮気調査、人探し、素行調査など幅広い調査に対応しています。

そのため、探偵か興信所かという基準で選ぶよりも、事務所ごとの特徴や得意分野、料金体系を把握した上で、自身の依頼内容にきちんと対応できる事務所を選ぶことが大切です。

例えば、浮気調査を依頼するのであれば、調査方法や調査を行える範囲、大まかな料金などをHP上に明記している探偵・興信所を選ぶのがよいでしょう。

人気がある探偵・興信所だからと言ってHPを確認せずに問い合わせや契約を行うと、実は不得意分野だったというケースもあります。

企業調査以外であれば、大体どの探偵・興信所でも同じような調査の依頼を受け付けているため、不得意分野であってもある程度調査を行うことができますが、得意分野としている事務所と比較すると調査に時間がかかり、料金が高くなってしまう可能性があります。

そのため、気になる探偵・興信所がある場合は、まずHPから実績や調査内容、料金をチェックして自分のニーズに合うかどうかを見極めましょう。

探偵と興信所を探す時は事務所ごとの得意不得意を見抜くことが大切!

現代において、探偵と興信所には明確な違いはありません。

しかし実際には「探偵」「興信所」という2つの名称が統合されることなく残っています。

どちらの名称も残っている理由は探偵と興信所に違いはほとんどなくなったものの、探偵・興信所が誕生した当初の役割のイメージが根付いているからです。

例えば、企業調査を得意としているところが、過去に習って「興信所」と名乗ることは少なくありません。

ただ、探偵であっても個人に対しての調査だけではなく、企業調査も得意としている事務所はあります。

あくまで名称は参考程度に考え、実際の実績や調査内容、料金などで得意不得意を見抜くことが大切です。