【投稿日】 2019年12月14日 【最終更新日】 2021年10月21日

競合関係にある他社や同業者、ライバル店などからの嫌がらせは、はっきりと実害が出るケースが多いです。営業妨害を放っておけば金銭的な損害は大きくなり、最悪の場合は廃業に追い込まれることもあります。

しかしその反面、恨みなどによる嫌がらせよりは相手の悪意や違法性が認められやすく、犯人を特定し、証拠を集めれば示談・裁判などで解決できる可能性は高いです。

嫌がらせや営業妨害をやめさせ、金銭的・精神的被害の損害賠償請求をするために、まずは探偵に相談しましょう。証拠をそろえてから弁護士を通して法的措置をとるのが一番の解決法です。

競合他社・同業者からの嫌がらせや営業妨害のパターン

競合他社・同業者からの嫌がらせや営業妨害にはどのようなものがあるのでしょうか。よくあるパターンや法的に解決しやすいものを中心に挙げていきます。

悪評・風評被害やインターネット上での嫌がらせ

最近ではターゲットに接触せず簡単にできる、インターネット上での嫌がらせが増えています。

インターネット上での嫌がらせ・営業妨害の例

  • 口コミサイトで☆1をたくさんつける
  • SNS・掲示板などで事実無根の悪評を書き込まれる
  • 不正クリックによる広告費の無駄遣い
  • サイトなどに嫌がらせメールを送り業務を妨害する
  • ネットで大量の注文をしてキャンセルする

口コミサイトで低評価をつける嫌がらせは多く、インターネット上での風評被害は思っている以上に深刻です。法的に解決するには、書かれた口コミが事実に即しているか、実際にお店を利用して書いたかがポイントとなります。

3つめの不正クリックによる広告費の無駄遣いというのは聞きなれない方もいるかもしれませんね。

GoogleやYahoo!などの検索サイトから広告をクリックすると、そのクリック数に応じて広告を出しているお店・企業が広告費を支払うシステムがあります。そのシステムを悪用し、実際にお店を利用する気がないのに大量クリックして広告費を無駄にたくさん支払わせる嫌がらせです。

どの嫌がらせも犯人を特定して証拠を集めることが重要です。また弁護士を通せば、プロバイダやサイトの管理人への発信者情報開示請求をして書き込みの犯人を特定することも可能です。

組織的な嫌がらせ

新規参入の業者や店舗などに対しては、既存の同業者から組織的な嫌がらせが行われることも多いです。

組織的な嫌がらせの例

  • 価格操作などによる市場や業界からの排除・締め出し
  • 組合などの会合での理不尽な糾弾・吊し上げ
  • 関連企業に取引停止させる
  • 流通経路の妨害
  • 納入先のお店で見えにくい場所に陳列させる

人脈や影響力を利用して営業妨害されると、新規の業者は自力では太刀打ちできません。しかしどれも悪質な営業妨害であり、プロの技術で確実な証拠を集めれば法的解決は可能です。

証拠集めに失敗すれば相手はさらに巧妙なやり方に変えることもありえるので、できるだけ早く探偵に相談しましょう。

その他店舗などへの嫌がらせ

その他店舗などへの嫌がらせの例

  • 口コミや張り紙などで近隣に悪評を流す
  • もう閉店したと嘘の情報を広める
  • 嘘の予約をして当日キャンセルする

これらの嫌がらせも、解決には犯人の特定と証拠集めが必須です。相手がわかっていても不用意に行動せず、探偵や弁護士に相談して計画的に解決を図ってください。

競合他社・同業者からの嫌がらせや営業妨害の解決法は?

嫌がらせや営業妨害の目的は、基本的には相手を困らせることではなく自分の利益を守ることです。よってそのせいで訴えられたり、逆に自分の評判が落ちたりするようなことは犯人も嫌がります。

つまりしっかり証拠をそろえて法的手段をとれば、比較的穏便に解決できるケースが多いのです。そのためのステップと、有効な法律なども知っておきましょう。

犯人を特定し証拠を集める

法に訴えるために大事なのは、犯人の特定と確たる証拠です。自分で集められる証拠もありますが、どんな証拠が有効か、どうやって集めて保存すればいいかなど、まずは探偵や弁護士の指示を仰ぐべきです。無駄や失敗をなくし、着実に解決を目指しましょう。

主に必要となる証拠

  • 相手との会話の録音
  • 張り紙や店先でのイタズラをする様子を収めた動画
  • 相手が残していったもの(張り紙、落とし物、壊した物などがあれば)
  • 関係者や第三者による証言
  • ネットの嫌がらせならIPなどの発信者情報

発信者情報は弁護士が開示請求をしなくては手に入りませんし、動画の撮影、証言集めも当事者にはまず無理です。探偵・弁護士と協力して迅速かつ確実に証拠を集めましょう。

営業妨害で民事裁判や示談にする

犯人を特定し証拠が集まれば、民事裁判や示談といった法的措置をとることができます。

民事裁判:
当事者同士が権利や損害賠償に関するトラブルを、法に則って解決するためのもの。双方の合意がなくとも判決は下され、判決には強制執行力がある。
示談:
弁護士などを挟んでお互いがトラブルについて話し合い、解決を目指すもの。お互いの合意を元に示談書を作成し、公正証書化すれば法的な執行力をもたせることができる。

こう説明すると裁判の方が解決法として強力なイメージですが、示談にも利点はあります。

示談の利点

  • お互いが合意すれば損害賠償やペナルティを自由に取り決められる
  • 問題を大ごとにせずに済むため周囲からの評判が下がりにくい
  • 今後も関わる相手との完全対立を避けられる
  • 裁判を最後の手段として残すことで相手をけん制できる

また民事裁判を起こした場合も途中で和解し、お互いの合意のもとで様々な条件を付けることができます。民事裁判と示談、どちらがいいとは一概には言えないので、やはり弁護士に相談して対応を決めましょう。

民事裁判でも示談でも、それぞれのケースに適した法律を利用すれば、有利な条件で解決できます。

「不正競争防止法」競合他社・同業者からの嫌がらせに広く適用できる

競合他社・同業者からの嫌がらせや営業妨害は、多くのケースで不正競争防止法違反が適用できます。不正競争防止法とは企業間の公正な競争を維持するための法律で、違反が認められれば損害賠償をはじめとする様々な措置が言い渡されます。

不正競争防止法違反になりうる例

  • 虚偽あるいは不正な口コミなど(インターネット、張り紙なども含む)
  • 相手の許可なく同じような商品を作って売る
  • ライバル店の従業員を脅迫し、レシピなどの情報を要求・入手する
  • 他の店の名前を騙っての営業(似た名前の店名・マークなどの使用)
  • 入札前に相手の入札価格を不正に知る

不正競争防止法ではこれらの行為に対して、差し止め請求、廃棄除去請求、信用回復措置、損害賠償請求などの権利が被害者に認められます。単に不正行為をやめるだけでなく、そのせいで被った損害や悪評・風評被害をなくすために行動しなくてはならないのです。

「損害賠償請求」嫌がらせ・営業妨害によって受けた損害を補填させる

不正競争防止法が適用されない範囲であっても、嫌がらせ・営業妨害との因果関係が立証されれば、損害賠償請求はもちろん可能です。そのためには犯人の特定、損害に関する記録と証拠などが必要です。

嫌がらせ・営業妨害の記録と証拠のとりかたについては、下の関連記事に詳しく説明されているので参考にしてください。

「示談書」公正証書化すれば強制執行も可能

示談書は示談でのとりきめを文書化したもので、合意書・和解書とも呼ばれます。念書や誓約書が一方的に要求するものであるのに対し、示談書はお互いの合意の証明です。

しかし示談書は「当事者同士でこういった話し合いをしました」という証明でしかありません。裁判の判決のような執行力を持たせるには、示談書の公正証書化が必要です。相手が協議内容に従わなかったときのことも考えて、弁護士には示談書の作成と同時に公正証書化も依頼しましょう。

関連記事:示談交渉

「資格・免許のはく奪」交渉を有利に進めるための材料になる

相手が士業やその他の資格や免許を必要とする職業であれば、嫌がらせ・営業妨害などの不法行為によって資格・免許はく奪の可能性もあります。

ただし資格・免許がはく奪されたからといって、嫌がらせが止むとは限りません。むしろ逆恨みし、失うものがなくなったことで更にひどい嫌がらせに発展することもあります。免許・資格はく奪は、あくまで交渉材料として用いるのが無難です。

相手も冷静なうちなら資格がなければ仕事で大いに不利になることは充分理解できるので、強力な交渉材料となります。

刑事裁判を起こす

多くの場合嫌がらせ・営業妨害には、民事裁判か示談のどちらかで解決するのが最善です。しかしあまりにもひどい犯罪行為があれば、刑事事件にするしかありません。相手が拒否して示談が成立しない場合も同様です。

同業者からの嫌がらせ・営業妨害に適用される主な罪

  • 信用毀損罪:他人の社会的な信用を貶めた罪
  • 業務妨害罪:他人の社会的な行動(仕事に限らない)を妨害した罪
  • 名誉毀損罪:他人の名誉を貶めた罪
  • 脅迫罪:暴力などをほのめかすことで他人を恐れさせる罪
  • 強要罪:暴力や脅迫などを用いて他人にする義務のないことをさせる、あるいは相手の意思に反してやめさせるなどする罪
  • 器物損壊罪:他人の物を壊したり傷つけたりする罪

刑事告訴には警察や検察官の判断なども関わってくるため、示談での証拠より強力な誰でも納得できる証拠が必要となります。このような証拠は素人では集められませんし、もちろん裁判に勝つためには弁護士も必要です。しかも判決が出るまでに時間もかかるうえ、刑事裁判では損害賠償請求などはできません。

相手に刑罰を受けさせるのが目的でないなら刑事裁判は極力避けて、民事裁判や示談での解決を目指しましょう。

同業者からの嫌がらせ・営業妨害は民事裁判や示談で解決を

競合他社や同業者からの嫌がらせ・営業妨害は、相手も損得勘定をしたうえで行っているケースがほとんどなので、示談や民事裁判に持ち込むのはあまり難しくありません。相手も警察沙汰になるのは避けたいからです。

しかし仮に、相手の方が業界で人脈や権力を持っていたら? 自分1人では太刀打ちできませんし、最悪自分が悪者にされる可能性もあります。

そこで役に立つのが、犯人の特定と証拠集めのプロである探偵と、法律と交渉のプロである弁護士です。自分1人で解決しようとせず、プロの力を借りて最善かつ最速の解決を目指してください。

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