【投稿日】 2020年3月2日 【最終更新日】 2022年5月10日
取引先の信用調査は、自社の利益を守り、先々のリスク回避をする、という観点から重要な調査と言えます。
本記事では、取引先の信用調査を行うべき理由や、信用調査で分かる内容、信用調査をすべき取引先の判断基準、信用調査の具体的な方法などについて詳しく解説していきます。
SAT探偵事務所 京都本部の代表取締役社長。
浮気調査や人探しといった個人向けのメジャーな調査はもちろん、他所では受任できない難度の企業向けの調査(信用調査、与信調査、M&A時等におけるDD 等)や経営コンサルティング業務にも従事している。
取引先の信用調査(与信調査)とは?
取引先の企業に支払い能力などがあるのかどうか、債務超過などはないかどうか、など金銭面について調べることを信用調査(与信調査)と言います。
取引先に直接ヒアリングを行うのではなく、民間の調査会社など第三者機関に依頼して調査を行うのが一般的です。
取引先の信用調査(与信調査)をすべき理由とは?
取引にはリスクがつきものです。一番のリスクは、金銭のやりとりに関するリスクでしょう。例えば、依頼を受け仕事をしたはいいが、相手側に支払い能力が無く、代金が支払われないという事は是が非でも避けたいもの。
こういったリスクを事前に回避するために行うべきなのが取引先の信用調査(与信調査)です。
実際に、取引先の信用調査(与信調査)を行わずに取引をしてしまい、後々に次のような金銭トラブルや被害につながることも少なくありません。
- 昔から懇意にしていたので信用していた会社が、突然経営難で倒産してしまった。
- クリーンな会社経営だと思っていたら、実は反社会勢力とつながっていた。
- 取引をしていた会社から自社の内部情報を流されて、特許が取れなくなった。
- 取引先の資金繰りやリストラの噂が流れていたが、取引先に尋ねても問題ないと言われたのでそのまま取引を続けていたら取引先組織が解体され、売掛金を回収できなかった。
- 表向きは普通の会社だったので取引をしていたが、実は裏で詐欺を行なっており自社の 経営に大きな影響が出てしまった。
このようなトラブルや被害を事前に回避する上でも、取引先の信用調査(与信調査)は円滑な企業経営には必要不可欠な調査と言えます。
実際に行われている取引先の信用調査の内容
取引先の信用調査(与信調査)では具体的に以下のような調査を行っていきます。
- 取引先の資金・企業経営の体力的な部分の調査
- 取引先が詐欺などの犯罪を行っている団体かどうかの調査
- 取引先の経営実態や問題点の調査
基本的に「安定した財務基盤や、支払い能力があるかどうか?」といった取引先の金銭面に関する信用を見極めるための調査を行いますが、「詐欺や犯罪を行っている団体ではないか?」など反社チェックなども合わせて行うことが多いです。
信用調査(与信調査)内容1:取引先の資金・企業経営の体力的な部分の調査
これは、簡単に言うと、取引先が潰れたり経営が行き詰まってないかの調査です。具体的な調査としては、以下のような内容です。
- 取引先の経済的状況(資金繰りや売掛金の未回収の有無など)
- 取引先の資産状況(不動産や特許といった資産の有無など)
- 取引先の発注・受注に関する情報(他企業との取引の状況確認など)
信用調査(与信調査)内容2:取引先が詐欺や犯罪を行っている団体かどうかの調査
これは、簡単に言えば、反社チェックです。
詐欺など犯罪に手を染めている団体ではないか、または反社会的勢力との関わりが深い団体ではないか、などをチェックしていきます。具体的には以下のような調査を行います。
- 取引先が公開している基本情報の裏付け調査(虚偽の情報の有無)
- 取引先の組織情報や背後関係の調査(暴力団や詐欺団体などとつながっていないか)
- 取引先の過去の経歴(横領・詐欺・意図的な申告漏れなどの有無)
支払い能力など金銭面以外でも、こういった反社会的勢力と繋がりを取引によってつくってしまうと、自社の社会的信用の失墜につながってしまったり、実際に詐欺など犯罪に巻き込まれてしまい、会社に致命的なダメージを与えかねません。
こういったリスクを排除するという意味で、重要な調査になります。
信用調査(与信調査)内容3:取引先の経営実態や問題点の調査
今現在問題が表に出ていなかったとしても、今後何か経営において問題が起こるようでは取引を続けるのは危険と言えます。
取引先のありのままの経営実態を知ることも、取引の見通しを立てる上で重要な調査となります。具体的には、以下のような調査を行います。
- 取引先の従業員に関する情報(苦情が多い・反社会的勢力とのつながりの有無など)
- 取引先の噂や口コミ情報(態度の悪い社員がいた・よくトラブルを起こすなど)
- 取引先の人員整理に関する情報(リストラ・減俸・左遷など)
取引先の信用調査をした方が良い典型的な7つのケースとは?
取引先の信用調査(与信調査)は、経営上すべての取引先に対して行った方が良いと言えますが、信用調査(与信調査)をするにもお金がかかります。
すべての取引先において信用調査(与信調査)を行うのが難しいという事であれば、金額の大きな取引の場合や、次のようなケースに該当する取引先をピックアップして信用調査(与信調査)を行いましょう。
- ケース1:話がうますぎる取引の場合
- ケース2:金額が大きいリスキーな取引の場合
- ケース3:取引先に関する悪い噂を聞いた場合
- ケース4:ライバル会社に自社の企業秘密がバレている場合
- ケース5:取引先からの連絡やお付き合いが減ったり対応が悪くなった場合
- ケース6:取引先の担当者の態度や言動が威圧的な場合
- ケース7:その他の不安事項がある場合
ケース1:話がうますぎる取引の場合
信用調査(与信調査)は、取引先の支払い能力があるかどうか、金銭面だけではなく、詐欺や犯罪を行っていないかも合わせて調査します。
「これはあまりに話がうますぎる」と考えられる場合には、事前に取引先の信用調査(与信調査)を行った方が良いと言えます。
例えば、「数百万の投資を行えば配当が毎月20%」などうますぎる共同出資や投資などが来た場合には、出資・投資先企業に対して信用調査(与信調査)を行い、相手側に本当にそれだけの高配当を支払い続ける能力があるのか、などを調べるべきと言えます。
ビジネスのうまい話にはリスクがつきものです。「うますぎる=リスクが大きい」という判断で、信用調査(与信調査)を行うべきケースと言えます。
ケース2:金額が大きいリスキーな取引の場合
金額が大きく、リスクが大きい取引などの場合にも取引先の信用調査(与信調査)は行うべきと言えます。
例えば、不動産売買やM&Aなどがそれにあたります。金額が大きい分、失敗した時のダメージも大きいため、会社の存続に影響しないように、事前にできるリスクヘッジはすべて行っておくべきです。
ケース3:取引先に関する悪い噂を聞いた場合
実際に経営者が取引先に対して信用調査を行った理由として1番多いのが、取引先に関する悪い噂を聞いた場合です。具体的には以下のような内容です。
- 取引先が大規模なリストラをしているという噂を聞いた。
- 元従業員から経営の実情を聞かされた。
- 取引先の仕事の仕方が違法かも知れないという噂が流れている。
- 取引先に反社会的勢力が出入りしているという話を聞いた。
- 取引先が他の企業と裁判で揉めているという噂を聞いた。
- 取引先が元従業員に訴えられているらしい。
- 取引先と付き合いのある企業から悪い情報をリークされた。
このような例の多くは人伝てに聞くことが多く、かといって相手に確認しにくいデリケートな問題です。本当ならば大問題ですが、嘘であった場合には取引先の気分を損ねてしまうかも知れません。取引先の信用調査でこのような噂の真実を明らかにしていくことで、経営者が持つ疑問や不安を取りのぞきます。
ケース4:ライバル会社に自社の企業秘密がバレている場合
秘密裏に進めていた筈の企業計画や企業秘密がライバル会社にバレている時、疑うべきポイントの一つが取引先の企業です。もし次のようなことがあった場合、もしかしたら取引先が情報を漏らしている可能性があります。
- 新規移転先の候補に上がっていた土地が、契約前にライバル会社に売却された。
- ヘッドハンティング予定の人がライバル会社へ入社した。
- 新規開発していた新商品と類似した商品が、ライバル会社から先に販売された。
- 取引先にしか話していない業務内容を、なぜかライバル会社が知っていた。
- 仕事上必要な資材の調達をいつもタイミングよくライバル会社に邪魔される。
同じ業界では、どうしても取引先がライバル会社とバッティングすることも少なくありません。本来なら取引先の企業は守秘義務がありますが、仕事意識が低い営業マンだとうっかり喋ってしまったり、明らかに買収されてスパイ行為を行う人もいます。取引先が仕事のパートナーとして信用できるかを確かめるのも、信用調査(与信調査)では重要な項目です。
ケース5:取引先からの連絡やお付き合いが減ったり対応が悪くなった場合
長いお付き合いのある取引先だと、頻繁に連絡や会合の機会が設けられたり、業務を優先してもらえます。しかし、もし次のようなケースがある場合には、一度信用調査(与信調査)をしてみることをお勧めします。
- これまで用が無くても顔出ししてくれていた取引先の社長が来なくなった。
- お食事会のお誘いをしても断られる頻度が増えた。
- 取引先に連絡をしても担当に繋がらず、折り返しの電話も来ない。
- 新しくかわった取引先の担当者に自社の情報が伝わってない。
- 取引先に自社の業務が後回しにされることが多くなった。
上記のようなケースで1番多いのは、取引先の企業内で何か問題が起こっている時です。具体的には次のような例になります。
- 取引先で派閥問題が起こり業務が滞っている。
- 取引先に反社会団体が絡んでまともに機能していない。
- 取引先の経営が悪化して資金繰りに追われている。
- 取引先がライバル会社から嘘の情報を吹き込まれている。
- 取引先の経営方針が変わり、自社への対応をないがしろにし始めている。
取引先への信用問題は、契約時だけではなくその後のお付き合いでも継続していくものです。信用していた会社なのにおかしいと疑問を感じた時には、あらためて確認するためにも取引先の信用調査(与信調査)をおすすめします。
ケース6:取引先の担当者の態度や言動が威圧的な場合
相手の言動や行動を注意深く観察していると、ふとしたところでおかしいと気がつくこともあります。もし取引先の担当者に次のような行為が見られる時には、反社チェックの意味でも、取引先の信用調査(与信調査)を行なっておくと安心です。
- 同席した担当者の上司が威圧的。
- 言動が暴力的で違和感がある。
- 脅迫まがいの要求をされる。
- 会議に指定された場所が閉鎖的で危険を感じる。
- 話し合いが思い通りにならないと態度が豹変した。
ケース7:その他の不安事項がある場合
ケース1〜ケース6以外にも、信用調査(与信調査)をしてみたら取引先に問題があったというケースがあります。
もし下記のような状況がある時には、確認の意味でも取引先の信用調査(与信調査)を行なってみましょう。
- 担当者がコロコロ変わってしまう
- 契約前に内容を変えられてしまう
- 一度話した内容を忘れられてしまう
- お金のやり取りがルーズ
- 仕事の締め切りや支払い期限が守られない
- 取引先の会社に出向いた時の対応が悪い
- 連絡した時の対応に不審感がある
取引先の信用調査(与信調査)の方法
取引先の信用調査(与信調査)は、安定した経営を続ける上で重要な調査です。
具体的には、取引先の信用調査(与信調査)は、以下の3つの方法で行うのが一般的です。
- 自社調査
- 直接調査
- 調査会社への依頼
- 探偵事務所への依頼
それぞれどのような調査方法なのか、どのような場合にどの方法を選ぶのが適切なのか、などを詳しく見ていきましょう。
信用調査(与信調査)の方法1:自社調査
思いついた時にすぐ行えるのは、自力による信用調査です。
実際に信用調査(与信調査)を自社で行なったという企業では、次のような方法によって調査が行われています。
- インターネットによる取引先の基本情報の収集。
- 口コミサイトによる取引先の評価を調べる。
- 取引先の周辺の人に話を聞いてみる。
- 参加している商工会議所で情報を聞いてみる。
- 取引先と付き合いのある企業に話を聞いてみる。
- 商業登記簿や不動産登記簿などを取得して確認。
これら自力での調査方法は、自力で行えるので費用が掛からず、自分でもすぐ出来るというメリットがある反面、次のようなデメリットがあります。
- 信用調査(与信調査)の精度が低い
- 取引先に気づかれやすい
- 大企業であれば良いが、中小企業などはネットに情報が乏しい
とくに長年パートナーシップを築いてきた取引先だと、かえって機嫌を損ない取引が終わるかもしれません。
自力調査では 証拠も取りにくいので、少しでも難しい、リスクが高い、と感じたら自力調査は行わない方が賢明です。
そのため、あくまで簡易的に信用調査(与信調査)を行う場合や、調査会社の依頼前の下調べとして行うのがおすすめです。
信用調査(与信調査)の方法2:直接調査
取引先に直接ヒアリングなどを行い、調査する方法です。直接電話やメールなどで問い合わせを行い調査を行います。
例えば「ネットに書かれているこの情報は本当なのか?」など確認の意味で行うにはおすすめですが、表向きの情報などしか得られない可能性が高いので、疑わしい企業などに対してはあまり効果的な調査方法とは言えません。
信用調査(与信調査)の方法2:調査会社への依頼
取引先の信用調査(与信調査)のうち、企業の母体や資産・営業成績などのデータに関する調査を、企業調査専門の会社に依頼するのも一つの方法です。
取引先の経営面の体力は、そのまま自社の売り上げにも影響してきます。次のような点で疑問点がある場合には、調査会社へ連絡してみましょう。
- 初めての取引先になるが、支払い能力があるだけの資産があるか知りたい。
- 取引先の母体企業や、関連性のある団体がどのようなものか知りたい。
- 経営不振に陥っていないか確かめたい。
- 取引先が過去にトラブルを起こしていないか確認したい。
- 取引先の評判や経営状況を知りたい。
調査会社は独自のデータベースやノウハウを持っているので、自力調査よりもより正確な情報が得られるというメリットがあります。しかしその一方で、次のような問題点が起こる可能性も少なくありません。
- 自分の知りたい情報とは少しずれていた。
- 信用調査をしたことが取引先にバレることもある。
- 取引先の社員に関するプライベートな調査までは難しい。
- 経営者が不安に思う部分を理解してもらえなかった。
- 情報は得られたがその後の方針は相談できなかった。
調査会社は、企業関係のデータ収集に特化している分、経営者が持つ漠然とした不安や疑問まで手が回らないこともあります。企業調査専門の会社へ依頼する時には、「どんなことに不安が」「どんな情報を調べれば良いか」という細かな部分をしっかり見定めてから連絡すると良いでしょう。
信用調査(与信調査)の方法3:探偵事務所への依頼
信用調査(与信調査)は主に金銭的な支払い能力を調べる調査ですが、取引によって企業が背負うリスクは金銭的な問題だけではありません。反社との繋がりなど自社にとって取引後の不利益などにつながらないかどうかもチェックする必要があります。
そういった取引先の金銭面の信用調査(与信調査)だけではなく、その後リスクとなるような項目も丸っと調査できるのが探偵事務所です。
また、探偵事務所の場合は、例えば取引先の社長の素性や経歴など一個人に踏み込んだ調査もできるため、より精度の高い信用調査(与信調査)を行うことができます。
例えば、うまい出資話があったとします。その出資先の企業の信用調査(与信調査)をして、企業としての支払い能力は特に問題はなかったとしても、その企業の経営者が過去に詐欺の犯罪歴があったとしたらどうでしょうか?また、反社会的勢力との繋がりがあったとしたらどうでしょうか?
このように、探偵事務所の場合は、企業のみならず、企業の社長や役員など運営する一個人まで丸っと調査を行うことが可能です。また、データベースや公的書類などには出てこない実態調査(張り込みや聞き込みなどによる現地調査)も可能なので、表に出てきづらい実態も含めた精度の高い調査ができます。
そのため、ある程度金額が大きな取引の前や、リスクの高い取引などの前の信用調査(与信調査)は探偵事務所に依頼するのがおすすめです。
また、探偵事務所に依頼するメリットは次のように他にもあります。
- 無料相談から始められるので漠然とした不安や疑問を解消できる。
- 守秘義務があるので情報が漏れない。
- 調査方法まで細かく相談できる。
- 情報を得た後にどのようにすれば良いかアドバイスをもらえる。
一方で、費用もそれなりにかかってくるので、特に重要な取引先の信用調査(与信調査)などの場合に依頼するのがおすすめです。
取引先の信用調査(与信調査)は探偵事務所SATにおまかせ!
ここまで、取引先の信用調査はどのようなケースの時に行うべきか、調査内容や具体的な事例も交えて詳しく解説してきました。
探偵事務所SATでは、多くの企業様からの取引先の信用調査(与信調査)依頼をお受けしております。警察OBの探偵が在籍しており、直接相談できるだけではなく、他社で断られる難易度の高い調査と、精度の高い調査報告が可能です。
また、信用調査(与信調査)だけではなく、反社チェックなども高精度で丸っと行うことができるので、「この取引先と取引をして大丈夫か?」という事が金銭面だけではなく、色々な観点から調査できます。
まずは、電話・メールにてご相談ください。(相談は無料です)